けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう(てぃーてぃーぴー)
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
全身の細い血管に血のかたまり(血栓)ができ、さまざまな臓器の機能が低下したり、血小板が足りなくなって出血しやすくなる病気
7人の医師がチェック 123回の改訂 最終更新: 2021.11.23

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の検査について:血液検査など

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)が疑われる人には問診、身体診察、血液検査などが行われます。血液検査で調べられるヘモグロビン血小板、ADAMTS13活性の結果がTTPの診断に特に重要です。

1. 問診

問診とは医師などの質問に答える形で身体の状態や生活背景を伝えることをいいます。TTPの人は以下のようなポイントを聞かれます。

  • どのような症状があるか
  • 飲んでいる薬は何かあるか
  • 治療中の病気・持病はあるか
  • 妊娠はしているか
  • アレルギーがあるか

どのような症状があるかはTTPの診断するうえで重要です。TTPは全身性エリテマトーデス強皮症といった他の病気が原因になることがあるので、今かかっている病気の情報も欠かせません。また過去にアレルギーの経験があれば、使用できる薬に制限がかかる場合があります。

2. 身体診察

身体診察は、TTPによる症状の確認や、原因となっている病気の診断に役立てられます。例えば、皮下出血の跡があれば、血小板の数が少なくなっている可能性があります。また、身体診察からTTPの原因となっている病気のサインが見つかるかもしれません。このように身体診察からは即座に多くの情報を得ることができます。そして、この身体診察の結果を元に、次の血液検査で調べる検査項目を決定していきます。

3. 血液検査

血液検査では以下の項目を中心にチェックしていきます。

  • 血小板
  • ヘモグロビン
  • 塗抹検査
  • クレアチニン
  • ADAMTS13活性
  • ADAMTS13インヒビター

以下でそれぞれの項目について説明していきます。

血小板

TTPでは身体の中でたくさんの血栓ができることで、血小板が大量に消費されるため、血小板の数が減少していきます。血小板の正常値は15-40万/μLです。10万/μL未満への減少がTTPの診断項目の一つとなっています。TTPの患者さんの血小板は1-3万程度まで低下することが多いです。

参考文献:難病情報センター「血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)」(2021.2.4閲覧)

ヘモグロビン

ヘモグロビンは貧血の程度を見るための血液検査項目です。12 g/dL未満への減少がTTPの診断項目の一つとなっています。TTPの患者さんではヘモグロビン値は8-10 g/dL程度まで低下することが多いです。

参考文献:難病情報センター「血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)」(2021.2.4閲覧)

塗抹検査

塗抹検査は血液をガラス板の上にまき、血液細胞の形を顕微鏡で確認する検査です。TTPでは赤血球が壊れることで、貧血が起こります。そのため、塗抹検査で赤血球の形を見てみると、破砕赤血球といって壊れた赤血球が確認できます。破砕赤血球は他の貧血の原因ではあまり見られないのでTTPの診断の手がかりになります。

クレアチニン

クレアチニンは腎臓の機能を調べる検査です。TTPでは腎臓の障害の程度を調べるため、クレアチニンを調べます。クレアチニンは腎臓から排泄されています。腎臓の機能が落ちてくると、血液中のクレアチニンを排泄できずに濃度が上昇してきます。そのため、腎臓の機能を予測する検査として用いることができます。

ADAMTS13活性

ADAMTS13活性はADAMTS13がどれだけ働いているかを調べる検査です。正常な人の値を100%とすると、TTPの場合はADAMTS13活性が10%未満まで低下します。

ADAMTS13インヒビター

多くのTTPはADAMTS13を阻害する物質(ADAMTS13インヒビター)が身体の中でできることで、TTPを起こします。ADAMTS13インヒビターは血液検査で測定することができ、TTPの診断に役立てられています。

4. 便培養検査

TTPと症状が似た病気に溶血性尿毒症候群(HUS)があります。HUSはTTPよりも見通しが良く、治療法も異なるため、TTPとHUSは見極める必要があります。HUSは赤痢菌やO157などの細菌によって引き起こされます。便培養検査は便の中にいる細菌を調べる検査です。もし、HUSに似た症状があり、赤痢菌やO157が便培養検査で見つかれば、HUSの診断を行うことができます。