けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう(てぃーてぃーぴー)
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
全身の細い血管に血のかたまり(血栓)ができ、さまざまな臓器の機能が低下したり、血小板が足りなくなって出血しやすくなる病気
7人の医師がチェック 124回の改訂 最終更新: 2024.05.08

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)とは?:症状、原因、検査、治療

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は血栓が体内のあちこちにでき、その結果血小板が減少してしまうする病気です。血液中にあるADAMTS13という物質がなくなることで起こります。発熱、赤血球が壊れることによる貧血溶血性貧血)、精神神経症状、腎障害が特徴です。治療では血漿交換療法を行います。

1. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)とはどのような病気か

TTPは身体のあちこちに血栓ができたり、それにより血小板が消費されることで、血小板の数が減少する珍しい病気です。ADAMTS13(アダム・ティーエス・サーティーン)という物質がなくなることにより起こることがわかっています。ADAMTS13の活性は血液検査で調べることができ、TTPの診断においても非常に重要です。

2. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の症状

TTPでは全身にさまざまな症状があらわれます。症状は以下のように大きく5つの種類に分類できます。5種類全てがあらわれるというわけではなく、この中のいくつかが同時にあらわれるのが特徴です。

  • 発熱による症状
    • 熱(38度を超えることも多い)
    • 倦怠感
    • 筋肉痛
  • 血小板減少による症状
    • あざができやすくなる(紫斑
  • 貧血による症状
    • 息切れ
    • 動悸(どうき)
    • たちくらみ
  • 精神神経症状
    • 頭痛
    • 錯乱(さくらん)
    • 意識を失う(意識障害
    • 痙攣(けいれん)
    • 手足の麻痺
    • 言葉がしゃべれない(失語
  • 腎臓の障害による症状
    • 血尿
    • 尿が泡立ちやすくなる(タンパク尿
    • 手足がむくむ

これらの症状については「症状について」のページでくわしく説明しています。

3. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の原因

TTPはADAMTS13の量が少なくなることで起こります。ADAMTS13はフォン・ウィルブランド因子という止血に関わる物質が適切に働くのをコントロールしている物質です。ADAMTS13がなくなると、フォン・ウィルブランド因子が適切に働くことができなくなり、身体のあちこちに血栓と呼ばれる血の固まりを作ってしまいます。

TTPでは身体の中でたくさんの血栓ができることで、血小板が大量に消費されるため、血小板の数の減少していきます。このような「血栓」ができる、「血小板」が減るといった特徴が病気の名前の由来になっています。

こちらのページでは「ADAMTS13がどうして少なくなるのか」、「どういう病気が原因でTTPが起こるのか」についても説明しています。

4. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の検査

TTPが疑われる人には問診、身体診察、血液検査などが行われます。特に血液検査はTTPの診断や重症度を把握するうえでも重要です。血液検査では以下の検査項目を中心にチェックしていきます。

  • 血小板
  • ヘモグロビン
  • 塗抹検査
  • BUN・クレアチニン
  • ADAMTS13活性
  • ADAMTS13インヒビター

TTPでは血小板やヘモグロビン、ADAMTS13活性の減少などが見られます。それぞれの検査項目についてくわしくはこちらのページで説明しています。

5. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療

TTPの治療の中心は血漿交換療法です。

血漿交換療法はTTPの患者さんの血漿を取り除いて、代わりに健康な人の血漿を投与する治療法です。血漿(けっしょう)とは血液のうち、白血球、赤血球、血小板といった血球成分を除いた液体成分のことで、TTPの原因物質が含まれています。そのため、血漿交換療法を行うことでTTPの原因物質を除去することができます。血漿交換療法と同時にステロイド薬を使うこともあります。

なお、TTPは血小板が減少する病気ですが、血小板の輸血は基本的には行いません。血小板の輸血により血栓の形成が促進され、病気が悪化することがあるためです。

こちらのページではステロイド薬の使い方や注意点について取り上げるとともに、改善しにくい場合に用いられるリツキシマブ(リツキサン®など)についても説明しています。

6. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の医療費助成について

TTPも厚生労働省の指定する難病(指定難病)に分類されています。指定難病は国の指定する重症度基準の一定基準を満たした場合には医療費助成の対象となります。

難病の医療費助成の申請手順

難病の医療費助成の申請は大まかに以下の手順です。自治体ごとに準備する書類が異なりますので、詳しくは住んでいる都道府県の保健所にお問い合わせください。

【難病の医療費助成申請の大まかな手順】

  • 医療費助成に必要な以下の書類を準備します。(カッコ内は入手可能な場所)
    • 臨床調査個人票(厚生労働省のホームページ、福祉保健局のホームページ、市区町村の窓口)
    • 特定医療費支給認定申請書(福祉保健局のホームページ、市区町村の窓口)
    • 個人番号に関わる調書(市区町村の窓口)
    • 住民票(市区町村の住民票窓口)
    • 市区町村税課税証明書(市区町村の住民税窓口)
    • 健康保険証の写し
       
  • 臨床調査個人票の記入を医師(※)に依頼します。臨床調査票は難病であることの証明(診断書)でもあるので、医師による記入が必要になります。
     
  • 上記の書類を揃えて、住んでいる市区町村窓口で申請します。指定難病として認定されると、医療券が発行されます。要件が満たされないと判断された場合には不認定通知が発行されます。認定の決定は、指定難病審査会で行われ、結果が出るまでには3ヶ月程度の時間がかかります。

※臨床個人調査票は難病の臨床調査個人票の記入を都道府県知事から認定された医師しか作成できません。この都道府県知事から認定された医師を「指定医」と呼びます。主治医が指定医であるかは主治医に直接問い合わせてください。各自治体の福祉保健局のホームページなどにある一覧などでも確認できます。