ねっせいけいれん
熱性けいれん
主に生後6ヶ月から5歳頃までの乳幼児が、発熱時(38℃以上)におこす「ひきつけ」のこと
18人の医師がチェック 145回の改訂 最終更新: 2020.02.19

熱性けいれんではどんな症状がみられる?

熱性けいれんでは熱の出始めに突然意識を失いけいれん発作を起こします。全身の筋肉が自分の意志とは無関係にこわばりガタガタと震え、5分以内に自然に止まることが多いです。けいれんが5分以上続くときには薬で止める必要があるので救急車を呼んでください。熱性けいれんの70%は生涯に一度しか起こしません。

1. 熱性けいれんに前兆はあるのか?

熱性けいれんとは、乳幼児に38℃以上の発熱があった時に引き起こされる発作のことです。

熱性けいれんの発作は、けいれん(急激に自分の意志とは無関係に筋肉がこわばりガクガクと震える発作、ひきつけ)だけでなく、脱力や一点凝視、眼球上転(目が上を向いて白目がちになること)なども含まれます。けいれんがなくほかの症状だけが出る場合もあります。

熱性けいれんに前兆はありません。発熱に伴い突然意識を失い発作を起こすので、未然に防ぐことはできません。熱性けいれんは熱の出始めに起きることが多く、熱性けいれんが病気の始まりの症状となることもあります。

2. けいれんの特徴

熱性けいれんの多くは、突然意識を失い、全身の筋肉が自分の意志とは無関係にこわばりガタガタと震えますが、5分以内に自然に止まることが多いです。身体の一部分だけのけいれんや15分以上続く場合には、再発やてんかん発症するリスクが高くなります。

どんなけいれんが起こる?けいれんはどのくらい続く?

熱性けいれんには、単純型熱性けいれんと複雑型熱性けいれんがあります。

  • 単純型熱性けいれん
    • 全身のけいれん
    • 持続時間は15分以内(多くは5分以内)
    • 24時間以内の再発作がない
  • 複雑型熱性けいれん
    • 身体の一部分(手足1本のみ、身体の片側のみなど)のけいれん
    • 持続時間は15分以上
    • 24時間以内に再発作がある

複雑性熱性けいれんは上記の3項目のうち一つ以上に該当するものを言います。

熱性けいれんの多くは単純型熱性けいれんです。複雑型熱性けいれんでは再発やてんかん発症のリスクが高くなります。

熱性けいれんを起こした後に、混乱や興奮、眠気がみられることがあります。発作後の眠気が長時間続く場合は、髄膜炎や脳の異常など他の原因があるか、発作がまだ続いていると考えます。目が開いたままで正面を向かず一方向に偏っている場合にも、けいれん発作が続いていると考えます。

熱性けいれんが30分以上続く場合、意識が回復しない間に何度もけいれんを繰り返す場合を、熱性けいれん重積状態と言います。通常熱性けいれんでは5-10分以内に止まることが多いですが、5分以上続く場合は治療を行わないと30分以上続き熱性けいれん重積状態になる可能性が高くなります。けいれんが30分以上続くと脳に障害を来たす可能性があるので、治療を行いけいれんを止める必要があります。

熱性けいれんを初めて起こした場合、けいれんが5分以上続く場合には、救急車を呼んでください。けいれんが5分以上続く場合には薬物を投与してけいれんを止める治療を行います。

発作が治まった後であれば、急ぐ必要はありません。自家用車かタクシーなどを利用しかかりつけの小児科を受診してください。

熱性けいれんと区別するべき症状には、悪寒戦慄、髄膜炎や脳炎など脳の感染症によるけいれんなどがあります。

〇悪寒戦慄

悪寒戦慄は、熱が上がるときに誰もが一度は経験したことのあるものです。寒気とともに身体がガタガタと自分の意志とは無関係に震えます。悪寒戦慄は、関節近くの細かいリズミカルな振動です。熱性けいれんではしばしば顔の筋肉や、首や胸にある呼吸に作用する筋肉にもけいれんが起こりますが、悪寒戦慄ではまれです。また悪寒戦慄は身体の左右両側に同時に起こり、意識消失を伴いません。熱と共に身体が震えているとき、触れてみることで悪寒戦慄と熱性けいれんとの区別ができることがあります。悪寒戦慄では身体に触れると震えが止まりますが、熱性けいれんでは止まりません。

〇脳の感染症(髄膜炎、脳炎)によるけいれん

髄膜炎や脳炎でも、熱性けいれんと同じように発熱とけいれんが起こることがあります。髄膜炎の60%では身体診察で項部硬直(仰向けになり頭を持ち上げると首に抵抗があること)やケルニッヒ徴候(仰向けになり股関節と膝を90度曲げた状態から膝を伸ばせないこと)がみられます。髄膜炎の40%ではこれらの変化がみられず、年齢が低くなるほどみられないことが多くなります。意識の悪い状態が30分以上続く場合、頭痛や吐き気・嘔吐など髄膜炎を疑う症状がある場合、大泉門(頭頂部にある骨と骨のつなぎ目で、1歳~1歳半で閉鎖するまで開いている柔らかい場所)の膨隆など頭蓋骨内部の圧力が高まっている様子がみられる場合には、細菌性髄膜炎の可能性があるため、腰椎穿刺(腰の背骨の間から細い針を刺して、脳や脊髄の周りを流れる髄液を採取する検査方法)による髄液検査を行うことがあります。

細菌性髄膜炎は、Hibワクチンや肺炎球菌ワクチンの普及により減っていますが、ワクチンを接種していない6か月~1歳児ではリスクが高くなります。

3. 発熱とけいれんの関係について

熱性けいれんの多くは、熱の出始め(発症1日目)に熱が急に上がる際に起こります。

熱性けいれんは39℃以上で起きることが最も多いですが、熱性けいれんの25%は38-39度の発熱の時に起きています。

熱の上昇した割合よりも熱のピークが高ければ高いほど熱性けいれんが起こりやすくなります。つまり37度から39度に上がった時よりも39度から40度に上がった時のほうがよく起こります。

熱性けいれんを起こす発熱の原因は様々ですが、多くはウイルス感染です。インフルエンザウイルスやヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)などのウイルス感染により高熱が出ると、熱性けいれんが起こりやすくなります。細菌感染から熱性けいれんが起きることはまれです。

4. 意識消失は起こるのか?

熱性けいれんの発作中は、意識消失が起こります。発熱に伴い、突然意識を失いけいれんを起こすのが熱性けいれんです。発作が治まった後は速やかに意識は戻りますが、眠気がしばらく続くことがあります。

5. 症状が繰り返されることはあるのか?

1回の発熱中に熱性けいれんの発作を繰り返すことがあります。24時間以内に発作を繰り返す場合を、複雑型熱性けいれんと言います。意識が回復しない間に発作を繰り返す場合を、熱性けいれん重積状態と言います。

また熱性けいれんが治まり熱も下がった後に、別の原因で発熱した時に熱性けいれんが現れる(再発する)こともあります。熱性けいれんの再発率は30%です。再発しやすくなる条件には以下のようなものがあります。

  • 両親のどちらかが熱性けいれんを起こしたことがある
  • 1歳未満で発症した
  • 発熱から1時間以内に発作が起きた
  • 発作を起こした時の体温が39度以下だった

以上の条件のいずれかが当てはまる場合、熱性けいれんの再発率は2倍以上になります。