子どもが熱性けいれんを起こしたら、知っておきたいその後の薬の使い方 | MEDLEYニュース
2020.03.17 | コラム

子どもが熱性けいれんを起こしたら、知っておきたいその後の薬の使い方

使わないほうがいい薬・使い方に注意が必要な薬について説明します
子どもが熱性けいれんを起こしたら、知っておきたいその後の薬の使い方の写真
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「子どもが高熱とともにけいれんを起こした!」
子どもの脳は熱に敏感であり、風邪などのよくある熱でもけいれん発作を起こすことがあります。熱とともに起こる子どものけいれんのほとんどは「熱性けいれん」と呼ばれるもので、命に関わることはなく後遺症もまず残ることはありません。
けいれんが治まったあとはこれまでと何ら変わらず過ごすことができるので過度に心配する必要はありませんが、薬の使用に関しては注意して欲しいことがありますので、このコラムでお伝えしたいと思います。

1. 熱性けいれんはよくある病気

熱性けいれんは生後6か月から5歳までの子どもに起こることが多いです。また、日本人は海外の人に比べ熱性けいれんを起こしやすいと言われており、人口の約8%が熱性けいれんを経験します。特に家族に熱性けいれんを経験した人がいる場合、熱性けいれんを起こす可能性は高くなるので注意が必要です。熱性けいれん起こした子どものうち7割は一生に一度だけで済み、残り3割はけいれんを繰り返します。

 

2. 熱性けいれんをしたことのある子どもに使わないほうがいい薬とは?

熱性けいれんを経験したことがある人は、再発する可能性を考慮して、一部の薬は熱性けいれんをほぼ起こさなくなる学童期になるまで使用を避けたほうがをよいとされています。具体的には、ヒスタミン薬は熱がある時に控えたほうがよく、テオフィリンは平熱時であっても飲まないほうがよいです。

 

抗ヒスタミン薬(商品名:ザイザル®、アレジオン®、アレロック®など)

抗ヒスタミン薬は花粉症蕁麻疹などのアレルギーを改善する薬で、鼻汁、鼻閉、くしゃみ、かゆみなどを抑える効果があります。具体的にはザイザル®アレジオン®アレロック®ジルテック®ポララミン®などが含まれます。子どもの鼻症状に対して抗ヒスタミン薬を処方されることがあるため、熱性けいれんを起こしたことがある場合には、その旨をお医者さんに伝えるようにしてください。

これには、抗ヒスタミン薬を服用中にけいれんが起きてしまった場合、けいれんが長引きやすいという理由があります。ヒスタミンは脳内にもある物質で、けいれんを抑える作用がありますが、抗ヒスタミン薬を飲むとその作用が抑えられてしまいます。

また、ドラッグストアなどで購入できる子ども用のかぜ薬の一部にも「くしゃみ、鼻水、鼻詰まりを抑える成分」として抗ヒスタミン薬の成分が含まれているため注意が必要です。熱性けいれんを起こしたことがある子どもが発熱した場合には安易に市販薬を使うのは避けて、症状が辛そうであればお医者さんか薬剤師さんに相談するようにしてください。

 

テオフィリン(商品名:テオドール®、テオロング®など)

テオフィリンは気管支喘息の薬です。喘息に対して効果のある薬ですが、血液中の濃度が上がりすぎると、けいれんを起こしやすくなります。そのため、採血して血中濃度を測定し、安全性に十分配慮して使用されますが、熱性けいれんなど過去にけいれんを起こしたことのある子どもでは使用は推奨されていません。喘息の治療を受ける場合には、熱性けいれんを起こしたことがある旨をお医者さんに必ず伝えるようにしてください。また、すでに喘息の治療中であれば、処方の中にテオフィリン(商品名:テオドール®テオロング®など)がないか確認するようにしてください。

 

3. 熱性けいれんの予防薬ダイアップ®︎坐剤を使うときの注意点とは?

熱性けいれんを経験した子どもの中には、今後の熱性けいれんの予防としてダイアップ®️坐剤という薬を処方された人がいるかもしれません。ダイアップ®️は抗けいれん作用のある座薬です。座薬なのでゆっくり吸収され、かつ効果が長く続くことが特徴です。

 

【ダイアップ®️坐剤の使い方】

  • 37.5度以上の発熱に気づいたら、できるだけ速やかにダイアップ®️坐剤を肛門から入れてください
  • 8時間後にも38.0度以上の熱が続いている場合には、2回目のダイアップ®️坐剤を挿入します

 

ダイアップ®️を使う目的はあくまで発熱時にけいれんを起こさないための「予防」なので、このように高熱になる前に使用を開始します。

注意が必要なのは、「けいれんが起きてから使うのは望ましくない」ということです。ダイアップ®️はゆっくり吸収されるため、けいれんが起きてから使ってもけいれんを止める効果は期待できません。また、効果が長く続くので、使ったあと数時間寝続けてしまうことがあるのも理由の1つです。

熱とともにけいれんが起こる病気の中に脳炎・脳症があります。脳炎・脳症は命を落とすこともある重い病気であり、その症状に意識障害、つまり眠り続けて起きない状態があります。熱性けいれんと区別することが重要ですが、けいれんが起きたあとにダイアップ®️を使って眠ってしまった場合、寝ているのが薬の影響なのか脳炎・脳症の症状なのか区別がつきにくくなり、治療が遅れる恐れがあります。

これらのことから、ダイアップ®️はあくまでけいれんが起こる「前」の予防薬として使用することが重要です。

 

4. 発熱時に解熱薬は使っていいのか?

子どもが熱で辛そうであれば解熱薬を使っても良いです。

以前は、解熱薬を使用して体温を急激に下げてしまうと、その後体温が急上昇する時に熱性けいれんを起こしやすくなる、と言われていました。しかし、現在のところ、解熱薬の使用は熱性けいれんの再発率を上げることもなければ、逆に下げることもないと考えられています。

解熱薬を使用する目的は、単に熱を下げるというよりは「熱による辛い症状をとってあげること」です。熱でぐったりしている時、食事や水分が取れない時を解熱薬を使うひとつの目安としてください。

 

座薬タイプの解熱薬を使うときの注意

座薬のタイプの解熱薬(アルピニー®️坐剤アンヒバ®️坐剤など)と前述したダイアップ®️を使用する場合には大事な注意点があります。それは、必ずダイアップ®️坐剤を先に使用し、30分以上あけてから解熱薬の座薬を使用するということです。同時に2つの座薬を使用してしまうと、ダイアップ®️の吸収効率が落ちると言われています。ただし、飲み薬の解熱薬であればダイアップ®️と同時に使用しても大丈夫です。

 

5. 予防接種は受けられるか?

薬ではありませんが、よく聞かれる熱性けいれんとワクチンの関係についてもここで触れておきます。

熱性けいれんを受けた後に接種してはいけないワクチンというものはありません。定期接種、任意接種となっているものすべてが接種できます。

予防接種の副反応として発熱することがあるため、熱性けいれんを経験した子どもに受けさせるのが心配になるかもしれません。しかし、予防接種を打つことで重症な感染症を予防できることができ、ひいてはその感染症に伴う熱性けいれんを防げることから、中止したり先延ばししすぎるのはお勧めできません。

熱性けいれん後どのくらい期間をあけて予防接種を打つと良いかのタイミングに明確な決まりはありませんが、熱が下がって体調が良ければ1-2週間程度で接種しても問題ありません。先延ばしする場合でも、最後の熱性けいれんから2-3ヶ月までに打つことが多いです。それぞれのお子さんの状況によって異なるので、小児科のお医者さんとも相談してみてください。

なお、予防接種後の発熱にダイアップ®️や解熱薬を使用することは問題ありません。接種後2週間は発熱の可能性がありますので、注意して観察してあげてください。

 

熱性けいれんを起こした後に使用する薬について、正しく理解することで熱性けいれんを必要以上に恐れなくて済むことを願っています。

 

参考文献

日本小児神経学会、熱性けいれん診療ガイドライン策定委員会監修、「熱性けいれんガイドライン2015」、診断と治療社、2015 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。