あれるぎーせいけつまくえん(しゅんきかたるをふくむ)
アレルギー性結膜炎(春季カタルを含む)
目の結膜でアレルギー反応が生じて、炎症の起こる病気
11人の医師がチェック 128回の改訂 最終更新: 2019.11.08

アレルギー性結膜炎の人が知っておくとよいこと

アレルギー性結膜炎になったら、コンタクトはしても良いのか、目は洗ったほうが良いのかなど気になることが出てくると思います。このような生活に関わる疑問をはじめ、アレルゲンを遠ざける方法、治療に関わる注意点など、アレルギー性結膜炎になった人が知っておくとよいことについて、このページで詳しく説明します。

1. アレルギー性結膜炎の予防・セルフケアについて

アレルギー性結膜炎では点眼薬が治療の中心になりますが、症状を軽減させるためには原因となるアレルゲンを避けることも重要です。アレルゲンにできるだけ触れないようにすることで予防にもつながります。

アレルギー性結膜炎の予防に効果的な方法は何か

アレルギー性結膜炎の最も重要な予防法はアレルゲンの回避です。花粉やダニ、ハウスダストなどのアレルゲンに触れる機会をできる限り減らします。それぞれの回避方法について説明します。

◎ダニの除去方法

通年性アレルギー性結膜炎の主な原因はハウスダストです。ハウスダストにはダニの成分が多く含まれていて、ハウスダストのアレルギーはダニのアレルギーとほぼ同等と考えられます。対策にはダニを減らすことが重要です。

【ダニを減らす方法】

  • 床の掃除機がけを行う
  • 毎日掃除機をかけるの理想です。少なくとも週に2回以上行えると良いです。吸引部をゆっくりと動かして、1畳当たり30秒以上の時間をかけます。畳は畳の目に沿って掃除機を動かすと効果的です。特に寝室の床の掃除機がけを念入りに行ってください
  • 掃除機がけを行う時は、窓をあけて掃除機の排気を排出しましょう。フローリングなどのホコリの立ちやすい場所は、拭き掃除の後に掃除機をかけると、掃除機の排気によるホコリの巻き上げが少なくなります。
  • 布張りのソファー、カーペット、畳はできるだけやめる
  • 床材はフローリングが理想的です。カーペットや畳の場合には、上記の方法で丁寧に掃除機がけを行ってください。布張りのソファにも掃除機をかけると良いです
  • ベッドのマット、布団、枕にダニを通さないカバーをかける
  • ダニが通過できない高密度の繊維で作られたカバー類の使用が効果的です
  • 寝具を十分に乾燥させる
  • ダニは乾燥に弱いので、布団を干すか、布団乾燥機を使って、よく乾かします。布団は週に2回以上、天日干しするのが理想です。なお、布団をたたくとダニアレルゲンが細かくなって布団表面に浮き上がり、このままにすると、寝ている時に吸い込んで、症状を悪化させることがあります。布団を干した後には、必ず掃除機をかけてください
  • 週に1回以上、布団の表と裏に掃除機をかけることも効果的です
  • 室内の温度、湿度の管理をする
  • ダニは気温25-35℃、湿度60-85%でよく繁殖します。快適さを保ちつつダニの繁殖を抑えるには、部屋の湿度を40-60%、温度を20-25℃にするのがおすすめです
  • シーツや布団カバーをこまめに洗濯する
  • 週に1回以上の洗濯が理想的です

参考:鼻アレルギー診療ガイドライン 2016年版

◎花粉の除去方法

季節性アレルギー性結膜炎の主な原因は花粉です。花粉の回避方法を『鼻アレルギー診療ガイドライン(2016年版)』から紹介します。

【スギ花粉を減らす方法】

  • 花粉情報に注意する
  • 花粉の多い時の外出は控える。外出時にマスク、眼鏡を使う
  • 表面が毛羽立った毛織物などのコートの使用は避ける
  • 帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ
  • 飛散の多いときは窓、戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、短時間にとどめる
  • 飛散の多いときの布団や洗濯物の外干しは避ける
  • 掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除をする

屋内の花粉を除去するために掃除をまめに行うと良いです。新鮮な花粉はやや重いため大半は床に落ちています。そのため、モップや掃除機での床掃除で簡単に除去することができます。

床に落ちた花粉はそのまま放置されると乾燥して細かく砕け、室内を浮遊し始めます。浮遊した花粉の除去には、加湿器や空気清浄機が有効です。

洗眼(目を洗う)は効果があるのか

アレルギー性結膜炎は目の表面にアレルゲンが付着することで症状が起こります。付着したアレルゲンを洗い流すことで、症状を軽くすることができます。洗う時には、水道水に目をつけるのではなく、防腐剤無添加の人工涙液を使うのが良いです。目を洗う時のポイントは次の通りです。

【洗眼する時のポイント】

  • 防腐剤無添加の人工涙液を使用する
  • 片目につき1回あたり5-6滴程度点眼する
  • カップ式の洗浄器具は使用しない

洗眼はセルフケアとして勧められますが、防腐剤が入っていると角膜を傷つけることがあります。そのため防腐剤無添加のものが望ましく、さらに使い切りタイプの人工涙液だとなお良いです。

カップ式の洗浄器具を使うと、目の周囲に付着した汚れやアレルゲンが洗眼液中に流れ込んで眼球に接触してしまうため、あまりよくありません。また、洗眼液中には添加物や防腐剤が含まれることがありますので、購入時は確認してください。

眼鏡やゴーグルに予防効果はあるのか

花粉が原因となる季節性アレルギー性結膜炎の予防には、花粉対策用の眼鏡やゴーグルが有用です。着用することで目に入る花粉の量を減らすことができます。

2. 日常生活の疑問点

アレルギー性結膜炎になるとコンタクトをして良いのか、効果のある食べ物はあるのか、などが気になるかもしれません。ここでは日常生活の疑問点について説明します。

コンタクトレンズはしても良いのか

かゆみ、充血、目やになどの症状が強い時には、コンタクトレンズの使用を避けてください。レンズにアレルゲンや目やにが付着して症状が悪化することがあります。症状が軽い時期や治った時期にはコンタクトレンズを使用しても構いませんが、できれば簡便に清潔さを保てる1日使い捨てタイプがお勧めです。1日使い捨てではないタイプを使用する場合には、きちんと洗浄をすることが大切です。

コンタクトレンズを装用する人でも使える点眼薬はあるのか

コンタクトを使いたい人でも抗アレルギー薬の点眼薬を使用することはできます。点眼するときには一度コンタクトレンズを外して点眼薬をさし、5-10分以上あけてからコンタクトレンズをつけてください。つけたり外したりする手間を考慮すると、「1日2回」タイプの点眼薬が使いやすいです。

なお、コンタクトレンズを外して点眼するのが基本ではありますが、つけたまま点眼できる薬もあります。処方してもらう時にはコンタクトレンズを使用していることをお医者さんに伝えてください。

◎防腐剤の有無について

コンタクトレンズをつけたまま防腐剤が含まれている点眼薬をさすと、レンズに防腐剤が付着して目に影響を与えたり、レンズの変形が起こることがあるため安全面で望ましくありません。防腐剤が含まれていない点眼薬はいくつかありますが、コンタクトレンズをつけたまま使用できると明記されている点眼薬としてアレジオン®があります。

◎点眼回数について

抗アレルギー薬の点眼薬は1日4回使用するものが多いですが、1日2回のタイプを選ぶと、朝コンタクトをつける前に点眼し、夜外した後に点眼するだけでよいので、日中レンズをつけたり外したりする面倒を省くことができます。1日2回タイプの点眼薬にペミロラストカリウム(一般名)があります。点眼薬をさした後にコンタクトレンズを装着する場合には5-10分以上あけてください。また、アレジオン®️LX点眼液0.1%は点眼回数が1日2回であり、さらにコンタクトをつけたまま点眼可能です。

プールは入っても良いのか

アレルギー性結膜炎は感染症ではなく、人にうつることはことはないので、症状が強くなければプールに入れます。ただし、プールの水に含まれている塩素が刺激になることがあるので、プールから上がったら水道水で顔を洗ってください。防腐剤が入っていない人工涙液で目を洗うとさらに良いです。

学校などの屋外行事はどうすればいいのか

屋外活動すると、アレルギー性結膜炎の症状が悪化しがちです。屋外活動の後には洗顔をし、防腐剤が入っていない人工涙液で目を洗ってください。洗眼することでアレルゲンを除去でき症状の軽減につながります。

アレルギー性結膜炎に効果のある食事はあるのか

アレルギー性結膜炎にはっきりと効果のある食事はありません。花粉症の人を対象としたアンケートではヨーグルト、乳酸菌、甜茶などを花粉症対策として摂取している人が多かったですが、効果に関して有効と言えるものは現時点ではありません。

3. 治療についての疑問点

アレルギー性結膜炎の治療はいつまで続くのか、自然に治ることはないのかなどの疑問があると思います。ここでは治療に関する疑問について説明します。

アレルギー性結膜炎の治療期間はどれくらいか

アレルギー性結膜炎の治療期間は季節性と通年性で異なります。季節性の場合には原因となる花粉が飛散する時期を中心に治療を受けることになります。通年性の場合には基本的には1年を通して治療が続くことになります。

季節性アレルギー性結膜炎では、花粉が飛散する前や症状の軽いうちから薬物治療をはじめる「初期治療」を行うことで、花粉飛散のピーク時期の症状をやわらげることができます。例年花粉が飛び始める時期の1-2週間前か、遅くとも花粉症による目のかゆみなどの症状を感じたらすぐにに抗アレルギー薬の点眼薬の使い始めると良いです。

アレルギー性結膜炎は治るのか:自然治癒など

アレルギー性結膜炎が自然治癒することはほとんどありません。季節性アレルギー性結膜炎で多いスギ花粉症は、中高年になってごくまれに症状の軽快が見られることがありますが、どのような人が治りやすいかなどについてははっきりしていません。

アレルギー性結膜炎が治らない時に他の治療法はあるのか

アレルギー性結膜炎の治療の中心となる点眼薬は、症状を抑える対症療法であり病気を根本的に治す方法ではありません。ただし、スギを原因とした花粉症には免疫療法があり、治る可能性があります。ダニアレルギーの免疫療法もありますが、こちらはダニによるアレルギー性鼻炎が適応になるため、アレルギー性結膜炎のみでは受けることができません。

免疫療法は「減感作療法」や「アレルゲン免疫療法」とも呼ばれ、アレルゲンを少しずつ摂取して身体を慣らすことで、アレルギー症状を起こしにくくします。

これまでは注射でアレルゲンを体内に入れる「皮下免疫療法」が行われていましたが、2014年に薬剤を舌の下に含んで体内にアレルゲンを吸収させる「舌下免疫療法」が登場し、より安全に免疫療法が行えるようになりました。治療期間はできれば3年以上がのぞましく、長期間の治療が必要です。花粉症の症状が強い人や、ダニによるアレルギー性鼻炎の症状がある人は検討してみても良いかもしれません。行いたい場合にはお医者さんに相談してみてください。

アレルギー性結膜炎を放置するとどうなるのか

アレルギー性結膜炎が自然治癒することはほとんどなく、放置した場合には悪化することがあります。また、かゆみで目をかきながらの生活が続くと、結膜に傷がついたり、まぶたや目の周囲の皮膚に炎症を起こすことがあります。かゆみは薬で和らげることができるので、早めの受診を検討してみてください。

また、身体のアレルギー反応が強い人ではアトピー性角結膜炎や春季カタルになることがあります。これらの病気では角膜に傷がついて目が見えにくくなったりすることがあります。かゆみが強い場合や、目が痛い、目がかすむなどの症状がある場合にはお医者さんに見てもらってください。

アレルギー性結膜炎の薬の処方は何科でしてもらえるか

アレルギー性結膜炎の薬は主に眼科で処方されます。アレルギー性鼻炎などで耳鼻咽喉科や内科にかかっていて目の症状も出てきたという人には、かかりつけのお医者さんに点眼薬を合わせて処方してもらうこともできます。ただし、通常の抗アレルギー薬の点眼薬でも症状が治らない場合には、アレルギー結膜炎以外の目の病気の可能性が考えられるので眼科の受診してください。

また、症状が強い人ではステロイド点眼薬を使用することがあります。ステロイド点眼薬の副作用には「眼圧上昇」があり、緑内障を引き起こす可能性があります。ステロイド点眼薬を安全に使用するために、眼圧を測定できる眼科への通院が必要です。

アレルギー性結膜炎はうつるのか

アレルギー性結膜炎は感染症ではないのでうつることはありません。しかし、アレルギー性結膜炎に似た症状が出るウイルス性結膜炎や細菌性結膜炎では、うつることがあります。周りに感染を広げやすい結膜炎の場合には、家庭での生活に気をつけたり、学校や会社を休んだりする必要があります。

アレルギー性結膜炎と似た症状が現れる、感染性の結膜炎は次の通りです。

このうちウイルス性結膜炎は特にうつりやすい結膜炎です。ウイルス性結膜炎での目やには、や粘っこいものよりもサラサラしたものが多いです。しかし、自分で判断するのは難しいため、疑わしい症状がある人は眼科を受診してください。

参考文献

・鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会/編, 「鼻アレルギー診療ガイドライン(2016年版)」, ライフ・サイエンス, 2015