アレルギー性結膜炎の原因
アレルギー性結膜炎の原因となる主な
1. アレルギー性結膜炎はどのように起こるか
免疫によって敵と認識された物質を抗原(アレルゲン)と呼びます。アレルゲンが体内に入ってから分単位に起こる反応を即時相、数時間後に起こる反応を遅発相と呼びます。
アレルギー性結膜炎が起こるメカニズム
次に、アレルギー性結膜炎が起こるメカニズムについて説明しますが、難しい内容なので読み飛ばしても構いません。以下に大まかな流れを示します。
- アレルゲンが目の表面につき、結膜から体内に侵入する
- 免疫担当細胞の一種であるマクロファージが、アレルゲンを異物と認識して貪食(細胞内に取り込んで処理すること)する
- マクロファージが取り込んだアレルゲンの情報が、免疫担当細胞のT細胞や
B細胞 に次々と伝えられる - B細胞が、アレルゲンを
特異的 に認識するIgE抗体 を作る- これにより、次回同じアレルゲンが体内に入ってきた時に速やかに反応できる状態になります。抗体は肥満細胞(マスト細胞)の表面にも保管されます
- アレルゲンが目に再度入ると、結膜中の肥満細胞表面にあるIgE抗体とアレルゲンが反応する
- 肥満細胞から化学物質(ケミカルメディエーター)が放出されて、さまざまな症状が現れる
- IgE抗体にアレルゲンがくっつくと、肥満細胞は
ヒスタミン やロイコトリエンなどの化学伝達物質を放出します - これらの化学伝達物質が身体に作用し種々の症状がでます。ヒスタミンは目のかゆみを起こし、涙の分泌が増えます
- IgE抗体にアレルゲンがくっつくと、肥満細胞は
アレルギー性結膜炎で最もよく使われる薬である抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが身体を刺激する段階に作用して効果を発揮します。また、
アレルギー性結膜炎には、ある時期に限って起こる季節性アレルギー性結膜炎と、季節によらず起こる通年性アレルギー性結膜炎があります。それぞれで原因が異なるので、分けて説明をします。
2. 季節性アレルギー性結膜炎の原因
季節性アレルギー性結膜炎とは、花粉症で起こる目の
- 春:スギ、ヒノキ
- 夏:イネ科、シラカンバ
- 秋:ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ
- 冬:スギ
このように季節によって飛散する花粉の種類は異なります。日本は地域によって気温の差が大きく、同じ植物の花粉でも地域によって飛散する時期は異なります。
季節ごとの花粉の特徴について説明します。
春:スギ、ヒノキ
アレルギー性結膜炎の原因アレルゲンとしてはスギが最多です。2月頃から症状が起こり、人によっては5月初旬まで症状が続きます。
スギは植林面積が広いことと、花粉を風に乗せて飛ばす性質があることから、日本ではスギ花粉症の人が多いです。北海道や沖縄にはスギが少ないため、この地域でスギ花粉症にかかる人はあまり多くありません。
ヒノキの植林面積はスギの約半分です。昭和50年代以降に植林されたことと、樹齢25-35年に花粉が最も多く作られることから、今後ヒノキ花粉症が増加する可能性があります。また、スギ花粉の飛散量が多い年はヒノキも同様に多く飛散する傾向にあります。
夏:イネ科、シラカンバ
アレルゲンとなる代表的なイネ科の植物は、カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなどです。
イネ科花粉の飛散時期は長く、春から秋(4-10月)です。春から梅雨にかけてと晩夏から秋にかけての2回、飛散のピークがみられます。
イネ科植物の多くは牧草として栽培される他、路端や河川敷にも生息します。スギやヒノキと違ってイネ科花粉の飛散距離は数十メートルまでで、遠くへは飛びません。植物の生えている場所に近づかないようにすると症状が抑えられます。
北海道ではスギ花粉症が少ないかわりにシラカンバ花粉症がみられます。シラカンバは北海道から東北地方に多く、この地域では4月から6月まで飛散します。
秋:ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ
秋の代表的なアレルゲンはキク科のブタクサです。8-10月に多く飛散します。以前は空き地や河原、水気の多いところに群生していましたが、現在はだいぶ減りました。スギ、ヒノキ、イネ科花粉症の次に多い花粉症です。
同じくキク科のヨモギや、クワ科のカナムグラ、イラクサ科のイラクサなども秋に飛散します。秋に飛散する花粉の多くも遠くへ飛散することなく、数十メートルの範囲内です。
冬:スギ
冬の季節性アレルギー性結膜炎は少ないですが、北海道と沖縄を除く地域では微量ながらスギ花粉が飛散しています。
3. 通年性アレルギー性結膜炎の原因
1年を通して存在するハウスダストやダニが主な原因になります。ネコなどの動物の毛やフケでアレルギーを起こすこともあります。
ダニ
ダニは通年性アレルギー性結膜炎の代表的な原因です。アレルギー性結膜疾患の一つである「春季カタル」の原因にもなります。主にコナヒョウダニやヤケヒョウダニの糞や死骸がアレルゲンになります。
動物の毛やフケ
ペットの毛やフケがアレルギー性結膜炎の原因になることがあります。ネコやイヌだけでなく、鳥類やハムスター、フェレットなどのアレルギーもあります。
ハウスダスト
ハウスダストとは室内のホコリのことで、ダニ、カビ、動物のフケ、繊維などのさまざまなものが混じっています。そのためアレルゲンの検査でハウスダストが陽性になった場合には、ダニなどのアレルゲンも陽性になることが多いです。ハウスダスト1g中にはダニが数百匹から数千匹検出されます。