かんせつりうまち
関節リウマチ
免疫の異常により関節の腫れや痛みが起こる病気
14人の医師がチェック 139回の改訂 最終更新: 2020.02.14

関節リウマチで手術が行われることはあるのか?どんな手術が行われるのか?

関節リウマチの一部の人に対して手術を勧められることがあります。大きく分けて以下の場合に適応(手術が適している)とされます。

  • 神経障害が起こるリスクが高い、または起こっている場合
  • 関節の変形が進行し日常動作が困難になっている場合
  • 腱が断裂した場合
  • 著しい滑膜増殖を伴う場合

では、これらの場合にどのような手術が行われるのでしょうか。用語の説明とともに解説します。

環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)とは首の骨の炎症の結果、首の骨が不安定な状態になることを言います。環軸椎亜脱臼は、あとで述べる手根管/肘管症候群などと同様に、神経を圧迫し麻痺を残してしまう恐れがあるため、手術の絶対的適応(絶対適応)となることが多いです。つまり、手術ができない明確な理由がない限り、手術を強く勧められます。
手術の方法としては固定術や減圧術が選択されます。固定術とは不安定になった骨を手術で固定し、骨がずれて神経を圧迫することを防ぐ手術です。減圧術とは狭くなった神経の通り道を広げる手術です。

手首や肘(ひじ)には神経の大事な通り道があります。手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)とは手首の炎症の結果、手首の神経の通り道(手根管)が狭くなることを言います。手根管症候群では手の指のしびれや痛み、力の入れにくさを自覚します。
肘管症候群(ちゅうかんしょうこうぐん)とは肘の炎症の結果、同様に肘の神経の通り道(肘管)が狭くなることを言います。
関節の腫れにより神経の通り道が狭くなっている場合には、飲み薬や点滴の関節リウマチ治療薬、またステロイドの関節注射により改善が見込まれます。しかしながら、骨の変形により神経の通り道が狭くなっている場合や、神経の麻痺の症状が出ている場合には、手術が選択されることがあります。手術で神経の通り道を広げます。

関節の変形が進行し、曲げられないことにより日常生活に支障を来している場合これらの手術が選択されます。
人工関節置換術とは変形した関節を人工関節に置き換えることを言います。関節固定術とは不安定になった関節をぐらつかないようボルトなどで固定することを言います。
一般的に肩関節、肘関節、股関節、膝関節などでは人工関節置換術、手関節、手指関節、足関節、足趾関節などの小さな関節では関節固定術が選択されることが多いです。

関節は筋肉により引っ張られることで曲げたり伸ばしたりが可能になります。筋肉が関節に付着する部分は硬い腱(けん)になっています。関節リウマチでは関節の炎症が波及して腱が断裂する(切れる)ことがあります。腱が断裂してしまった場合、関節の曲げ伸ばしができなくなってしまうため、手術を考える対象となります。
手術では切れてしまった腱をつなぎ合わせます。腱筋修復術または腱筋再建術と言います。

関節は骨と骨のつなぎ目ですが、関節の中を詳しく見ると、骨と骨の間には滑膜(かつまく)という組織があります。滑膜は骨が関節の中に表れている面を覆っています。関節リウマチの痛みや腫れは滑膜の炎症の結果とされています。
関節リウマチの治療では、飲み薬や点滴の薬で滑膜の炎症を抑えます。それでも十分良くならない場合、滑膜自体を手術で取ってしまうことがあります。これが滑膜切除術です。
近年では飲み薬や点滴の薬で効果的な薬剤がたくさん登場してきているので、以前より滑膜切除術が必要になる場面は減ってきました。ただ、症状が出ている関節が少ない場合などを中心に、現在も滑膜切除術が選択される場合があります。

どんな手術でも、手術が原因で望ましくない事態が引き起こされる場合があります。手術によって引き起こされる問題を合併症(がっぺいしょう)と言います。合併症はどんなに手術が上手な外科医でもゼロにはできません。手術にミスがなかったとしても合併症が現れることはあります。
合併症を起こさないよう細心の注意を払って手術は行われます。しかし、どんなに上手に手術をしても、体に傷をつけて操作する以上、ある程度の合併症は起こる可能性があります。そこで手術のメリットとデメリットを天秤にかけながら、患者さん自身の価値観に基づいて、最終的に手術するべきかどうかが判断されます。
手術に関する情報はこちらのコラムにも記載しておりますので、興味がある方は参考にしてみてください。
関連記事:「関節リウマチ」の治療法について|手術、リハビリ、薬物療法

では関節リウマチの手術によってどんな合併症が起こるのでしょうか。主な合併症の例を挙げて説明します。

関節の中は清潔な場所で本来細菌などはいません。しかし手術では、皮膚に切開を加えて関節を露出した状態にするため、外から細菌が入るリスクが生じます。また、手術では人工呼吸器に繋がれたり、点滴を入れられますが、これらも外から体内に細菌が入るリスクとなります。そのため、手術では清潔な処置を心がけ、予防的に抗生物質を投与するなどして、細菌感染が起こらないよう対応されます。

関節や背骨の近くには神経が通っており、手術操作で神経を傷つけるリスクがあります。また、術後に組織の中で出血が溜まり神経を圧迫することもあります。
予防策として、手術操作ではなるべく神経が多いところを避けます。さらに術後数日間はドレーンチューブといって、手術の傷による出血を体外で回収するためのチューブを入れておきます。

深部静脈血栓症は非常に重要な合併症です。一般的にエコノミークラス症候群として有名なものです。
関節や背骨の手術は術後数日はベッドから動けないことが多く、その間に体の中で血栓ができてしまうリスクがあります。血栓が血管の中を流れて行って肺に詰まると命に関わることがあります。
そこで、手術で血栓ができることを防ぐため、手術後はなるべく早期にリハビリを開始します。その他の予防策として血を固まりにくくする薬を注射したり、弾性ストッキングを履くこともあります。