かんせつりうまち
関節リウマチ
免疫の異常により関節の腫れや痛みが起こる病気
14人の医師がチェック 139回の改訂 最終更新: 2020.02.14

関節リウマチの検査:血液検査で何がわかるか?

血液検査は関節リウマチの診断や病気の勢いを知るために用いられます。リウマチ因子や抗CCP抗体は関節リウマチかどうかの診断に、炎症反応(CRPESR)やMMP-3は病気の勢いを知る上でも役に立ちます。 

血液検査は関節リウマチの診断のためにも、病気の勢い(疾患活動性)を知るためにも重要です。
診断の上で大事な検査としてリウマチ因子(Rheumatoid factor: RF)や抗CCP抗体があります。リウマチ因子や抗CCP抗体は関節リウマチで見られる異常な抗体です。関節リウマチがある多くの方で検出されます。
病気の勢いを知る検査として炎症反応(CRP、ESR)、MMP-3があります。これらは関節炎の程度を見ることができる検査です。関節炎とは、関節リウマチで見られる関節が痛みや腫れを起こしている状態のことです。
関節リウマチに対してよく使う血液検査は、血液検査のできるほとんどの病院、クリニックで対応できます。血液採取をしてから結果が出るまでには通常1週間程度かかります。検査のために入院する必要はありません。

専門的な話になりますが、リウマチ因子が生理学的にどのような物質なのかを説明します。病院でもらう検査結果を理解するためにはこの章を飛ばしても問題ありません。
リウマチ因子はIgGのFc領域に対する自己抗体です。1940年にWaalerとRoseによって初めて報告されました。リウマチ因子は抗体のサブクラスに応じて、IgM-RF(IgGのFc領域に対するIgM)、IgG-RF(IgGのFc領域に対するIgG)、IgA-RF(IgGのFc領域に対するIgA)に分けられます。通常診療で検査に用いられるのはIgM-RFです。
リウマチ因子は関節リウマチの診断に有用な検査ですが、実はリウマチ因子が関節リウマチの発症にどのように関与しているかはわかっていません。ほかの自己免疫疾患でもリウマチ因子が検出される場合があります。一説にはリウマチ因子が自己免疫反応を増強しているのではないかとされています。
リウマチ因子の産生メカニズムとしては、細胞内でうまく生成できなかったIgGが誤って抗原提示され、IgGに対する自己抗体が生成されるという考えが近年提唱されています。

参照:Proc Natl Acad Sci. 2014;111:3787-92.

リウマチ因子が陽性であったとしてもそれだけで関節リウマチの診断になるわけではありません。
病気がなくても若い方で5%、高齢の方だと20%がリウマチ因子陽性である、という報告もあります。
血液検査結果に加えて、腫れている関節は何箇所か、症状が持続している期間はどれくらいか、といった情報も参考にしながら診断されます。健診などでリウマチ因子を計測されることもありますが、リウマチ因子が陽性であった場合には、専門機関での診察を受けることが勧められています。

出典:今日の臨床検査 2015-2016

リウマチ因子、抗CCP抗体は関節リウマチの診断に役立ちますが、どちらも単独で診断を決定するほどの力はありません。
少し難しい話ですが、検査の性能を表す数値として感度特異度があります。「感度は実際に関節リウマチがある人のうちで検査が陽性となる割合」です。「特異度は実際には関節リウマチがない人のうちで検査が陰性となる割合」です。
リウマチ因子と抗CCP抗体の感度・特異度は以下の通りです。

  • リウマチ因子  感度  69%  特異度  85% 
  • 抗CCP抗体 感度 67%、特異度 95%   

リウマチ因子と抗CCP抗体が陽性ならば関節リウマチである確率は高いと言えますが、絶対ではありません。また、どちらも単独では関節リウマチの3割ほどで陰性の結果が出る計算になります。
参照:Ann Intern Med. 2007;146:797-808.

リウマチ因子の測定法には定性法、定量法があります。定性法とは陽性または陰性の2段階で表される検査、定量法は抗体量を数値で測定する検査になります。リウマチ因子の定量法の基準値は15 IU/ml以下です。陰性、低値陽性、高値陽性の3段階が以下のように決められています。

  • 陰性  15 IU/ml以下の時
  • 低値陽性  15 IU/mlを超えるが45 IU/ml以下の時
  • 高値陽性  45 IU/mlを超える時

参照:Arthritis Rheum. 2010;62:2569-81.

関節リウマチの診断においては、2010年にアメリカリウマチ学会とヨーロッパリウマチ学会から提唱された診断基準(分類基準)が広く用いられています。ここではその基準を紹介します。

◎適用対象集団

  • 1ヶ所以上の関節に明確な臨床的滑膜炎(腫脹)が見られる
  • 滑膜炎をより妥当に説明する他の疾患がみられない
罹患関節 大関節*1ヶ所 0点
大関節2-10ヶ所 1点
小関節**1-3ヶ所(大関節の罹患の有無を問わない) 2点
小関節4-10ヶ所(大関節の罹患の有無を問わない) 3点
11ヶ所以上(1ヶ所以上の小関節を含む) 5点
 *「大関節」とは肩関節、肘関節、股関節、膝関節、足関節
 **「小関節」とは中手指節関節、近位指節間関節、第2-5中足趾節関節、親指指節間関節、手関節 
血清学的検査
(分類には1回以上の検査結果が必要)
リウマチ因子陰性かつ抗CCP抗体陰性 0点
リウマチ因子低値陽性または抗CCP抗体低値陽性 2点
リウマチ因子高値陽性または抗CCP抗体高値陽性 3点
急性期反応物質
(分類には1回以上の検査結果が必要)
CRP正常かつESR正常 0点
CRP異常またはESR異常 1点
症状の持続期間 6週未満 0点
6週以上 1点

関節リウマチの分類には合計6点以上が必要

参照:Arthritis Rheum. 2010;62:2569-81.

この分類基準は、臨床試験などを想定して、関節リウマチを分類するために決められたものです。必ずしも6点未満なら関節リウマチと診断されないという意味ではありません。