かんせつりうまち
関節リウマチ
免疫の異常により関節の腫れや痛みが起こる病気
14人の医師がチェック 139回の改訂 最終更新: 2020.02.14

関節リウマチの治療はどんな薬?

関節リウマチは免疫の異常により起こる病気です。そのため、治療として免疫をコントロールする薬が用いられます。中心的な役割を担っている薬はメトトレキサートになります。
一方、免疫をコントロールする薬の代表的な副作用としては感染症があります。いつもよりひどい風邪の症状や咳、だるさを自覚された場合には、医療機関を受診するようにしてください。 

目次

1. 関節リウマチの治療薬の一覧
2. メトトレキサート(略号:MTX)(商品名:リウマトレックス®など)
3. タクロリムス水和物(商品名:プログラフ®など)
4. サラゾスルファピリジン(商品名:アザルフィジン®ENなど)
5. ブシラミン(商品名:リマチル®など)
6. プレドニゾロン(副腎皮質ホルモン製剤)(商品名:プレドニン®、プレドニゾロン)
7. イグラチモド(商品名:コルベット®、ケアラム®)
8. ペニシラミン(商品名:メタルカプターゼ®)
9. レフルノミド(商品名:アラバ®)
10. ミゾリビン(商品名:ブレディニン®など)
11. TNF阻害薬とは?
12. インフリキシマブ(商品名:レミケード®など)
13. エタネルセプト(商品名:エンブレル®)
14. アダリムマブ(商品名:ヒュミラ®)
15. ゴリムマブ(商品名:シンポニー®)
16. セルトリズマブ ペゴル(商品名:シムジア®)
17. TNF阻害薬の注意すべき副作用とは?
18. IL-6受容体阻害薬(トシリズマブ、サリルマブ)(商品名:アクテムラ®、ケブザラ®)
19. アバタセプト(商品名:オレンシア®)
20. JAK阻害薬(トファシチニブ、バリシチニブ、ペフィシチニブ、ウパダシチニブ)(商品名:ゼルヤンツ®、オルミエント®、スマイラフ®、リンヴォック®)
21. その他の抗リウマチ薬
22. NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
23. オピオイド鎮痛薬
24. 費用はどれくらい?

関節リウマチの治療薬として多くのものが使われています。以下がその例になります。

  • メトトレキサート
    • リウマトレックス®など
  • タクロリムス
    • プログラフ®など
  • サラゾスルファピリジン
    • アザルフィジン®ENなど
  • ブシラミン
    • リマチル®など
  • プレドニゾロン
    • プレドニン®など
  • イグラチモド
    • コルベット®
    • ケアラム®
  • ペニシラミン
    • メタルカプターゼ®
  • レフルノミド
    • アラバ®
  • ミゾリビン
    • ブレディニン®など
  • TNF阻害薬
    • レミケード®
    • エンブレル®
    • ヒュミラ®
    • シンポニー®
    • シムジア®
  • IL-6受容体阻害薬
    • アクテムラ®
    • ケブザラ®
  • アバタセプト
    • オレンシア®
  • JAK阻害薬
    • ゼルヤンツ®
    • オルミエント®
    • スマイラフ®
    • リンヴォック®
  • NSAIDs
    • ロキソニン®
    • セレコックス®
  • オピオイド鎮痛薬
    • トラマール®
    • ワントラム®
    • トラムセット®

これらの薬には各々の特徴があり、病状に適したものが使用されます。次の章からは薬の特徴について述べていきます。

メトトレキサート(略号:MTX)は葉酸代謝拮抗薬(ようさんたいしゃきっこうやく)と呼ばれる種類の薬です。メトトレキサートは関節リウマチと診断されたらまずはじめに使うべき薬です。世界的に最もよく使われている関節リウマチの治療薬です。メトトレキサートは他の抗リウマチ薬や生物学的製剤と組み合わせて使われることも多いです。

メトトレキサートの作用の仕組みを考える上で重要となる物質が葉酸(ようさん)です。

ビタミンの一種である葉酸は体内で代謝され活性化された後、細胞増殖などに必要なDNAの合成に関わります。メトトレキサートによって葉酸の活性化が抑えられることで、細胞の活動や増殖が抑えられます。

関節の中では滑膜細胞やリンパ球炎症を起こしています。炎症を起こしている細胞は活動や増殖が活発ですが、メトトレキサートの作用により減少し次第に活動も落ちていきます。これにより徐々に炎症が治まっていき、関節の痛みや腫れを改善する作用が現れます。

メトトレキサートの免疫に関わる作用の仕組みもあって、肝炎ウイルス結核などの病歴を持つ場合には注意が必要です。過去の病歴や薬剤の服用歴などは事前に医師に伝える必要があります。B型肝炎C型肝炎ウイルスキャリアの人へのメトトレキサート投与による重い肝炎や肝障害などの発現が報告されています。

メトトレキサートで注意すべき副作用として口内炎、吐き気や食欲不振などの消化器症状、骨髄抑制、間質性肺炎、肝障害、腎障害、リンパ節腫脹などがあります。具体的には以下のような症状に気をつける必要があります。

  • 38℃以上の発熱
  • 全身のだるさ
  • 咳や息苦しさ
  • 青あざが出来やすくなった
  • 歯を磨いた時など歯茎から出血しやすくなった
  • 首のまわり、わきの下、足の付け根などにしこりができた

メトトレキサートは副作用の種類や程度により、中止しなければならない場合もあります。いつもと異なる症状や気になる症状がある場合には、担当の医師、薬剤師に相談するようにしてください。

リウマチ治療においてメトトレキサートを服用する場合には通常、週1回または週2回の服薬日を決め、週の他の曜日は休薬とします。一般的にメトトレキサートの服用量が週8mgを超える場合や副作用の度合いや副作用が現れやすい状態(たとえば、高齢者や腎機能が低下している状態など)では葉酸製剤(一般的にはフォリアミン®)を服用します。葉酸製剤には副作用を軽減したり、予防したりする効果があります。

葉酸製剤を服用するのは、メトトレキサートを最後に服用した翌日または翌々日です。例えば、メトトレキサートを日曜日に服用する場合、葉酸製剤を服用するのは通常、月曜日または火曜日となります。ただし、これらの飲み方は個々の状態などによっても変わってきますので、担当の医師や薬剤師からメトトレキサートと葉酸製剤の服用方法をしっかり聞いておくことが大切です。

また体調の変化があった場合、たとえば咳が続く、発熱が続くといった場合では、メトトレキサートの中止を指示される場合もあります。

感染症に関連することで予防接種への注意もあります。

注意したいのはBCGや麻疹などの生ワクチンです。生ワクチンはウイルスや細菌の毒性や感染力を弱めて造られたものです。メトトレキサートによる治療中は生ワクチンによる予防接種が原因で感染する可能性があり、原則として生ワクチンを控えます。

一方で不活化ワクチンが使われるインフルエンザ肺炎球菌などの予防接種は積極的に勧められます。不活化ワクチンの場合は、予防接種が原因で感染する心配もなく、感染症の予防に役立てることができるためです。

このようにメトトレキサート服用中の予防接種は、受けていけないものと受けた方が良いものがあります。また、その時の体の状態などによっても接種可能か変わってくる可能性がありますので、予防接種を希望する場合は事前に担当の医師に相談するようにしてください。

メトトレキサートの作用の仕組みにおいてビタミンの葉酸がポイントとなります。葉酸は野菜などの食品にも含まれる物質です。しかし、通常の食事の範囲なら治療に影響する心配ありません。

主治医から特別な指示がない場合には日常生活での食事の内容に制限は必要ないと考えられます。ただし、サプリメントなどの健康食品には比較的多くの量の葉酸を含むものがあり、メトトレキサートの効果を弱めてしまう可能性もあるので注意が必要です。サプリメントなどの健康食品を摂取してもいいかどうかは事前に担当の医師に相談することが必要です。

メトトレキサートは関節リウマチなどの自己免疫疾患以外に、がんの治療に使われる場合もあります。

メトトレキサートが細胞の増殖を抑える作用をあらわすため、無秩序な細胞増殖を行っているがん細胞に対しての抗腫瘍効果が期待できるためです。

細胞の増殖には遺伝情報を保存しているDNAの合成が必要です。DNA合成にはビタミンの一つである葉酸(ようさん)が必要となります。メトトレキサートによってDNA合成が阻害されるため抗腫瘍効果が現れます。

関節リウマチの治療でメトトレキサートを使っているときに、メトトレキサートはがん治療にも使われると聞くとドキッとするかもしれません。リウマチ治療とがん治療では使われる用量や使用方法なども異なりますし、メトトレキサートの作用の仕組みを考えてみると、抗腫瘍効果を現すことも理解できるのではないでしょうか。

タクロリムスは免疫抑制作用を持つ薬剤です。

タクロリムスは、体内の免疫反応の中心的な役割を果たしているリンパ球であるT細胞の活性化を阻害することにより、免疫抑制効果を現します。

T細胞の活性化は関節リウマチにおいても症状悪化や関節破壊につながる主な要因となるため、タクロリムスは関節リウマチにも効果を発揮します。タクロリムスはほかに重症筋無力症ループス腎炎潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患の治療にも使われています。

免疫を抑える薬であるため、感染症に注意が必要です。使用している用量や体質などによっても感染の危険性は異なりますが、日頃から手洗い・うがいを行うなど日常生活における注意も大切です。

その他、腎障害、血圧上昇などの循環器症状、ふるえやしびれ、不眠などの精神神経系症状、高血糖(耐糖能異常)、肝障害などに注意が必要です。

タクロリムスによる治療中にグループフルーツを摂取した場合、体内でのタクロリムスの分解が阻害され血液中の濃度が上昇する可能性があります。場合によっては腎障害などの副作用が現れることも考えられるため注意が必要です。同じ柑橘類でもみかん(温州みかん)では相互作用の問題がないとされていますが、八朔(ハッサク)などの柑橘類ではグレープフルーツほどではないにせよ相互作用が現れる可能性も考えられます。日頃から柑橘類をよく食べる習慣がある場合は、事前に医師や薬剤師に食べても問題がないかなどを確認しておくことも大切です。他にもセイヨウオトギリソウ(セントジョンズワート)というハーブを含む食品であったり、一部の抗菌薬抗生物質)や抗ウイルス薬などの薬剤との相互作用が現れることがあるため注意が必要です。

サラゾスルファピリジン(又はスルファサラゾピリン:SSZ)は関節リウマチの治療に使われる免疫調節薬の一つです。免疫調節薬は異常な免疫機能を正常化する薬剤のことで、免疫抑制薬に比べ正常な免疫細胞への影響は少ないと考えられています。そのため、免疫抑制薬と比べると副作用が少ないと考えられますが、一方で免疫抑制薬と比べると効果が弱めです。

関節リウマチに対する薬物治療はメトトレキサートが中心的な薬剤となりますが、サラゾスルファピリジンはメトトレキサートとの併用で使われたり、なんらかの理由でメトトレキサートが使えない場合に使われることもあります。

注意すべき副作用としては発疹や肝障害があります。発心や発熱などを伴う重い症状が現れる可能性もあります。他には吐き気や口内炎などの消化器症状の副作用にも注意が必要です。

サラゾスルファピリジンは薬剤の成分の色により皮膚や爪、尿や汗などが黄色や赤に近い色に着色されることもあります。下着等に着色して不快に感じられる場合には、担当の医師とも相談してみてください。

ブシラミンも免疫調整薬の一つです。日本で開発され1987年に承認された薬剤です。

ブシラミンもメトトレキサートと比べると効果に劣りますが、安全性が高いことからよく選択される抗リウマチ薬の一つになります。副作用などの懸念からメトトレキサートが使えない場合や、メトトレキサートだけで効果不十分な場合にメトトレキサートとの併用などで使われることが多いです。

ブシラミンの副作用として特に注意が必要なものに間質性肺炎蛋白尿があります。もしブシラミンを使用していて、息切れや尿の異常を自覚される場合には担当の医師と相談するようにしてください。その他の副作用としては血球減少、肝障害、発疹、食欲不振や吐き気などがあります。

プレドニゾロンは、一般的に「ステロイド」と呼ばれる薬剤の一つです。強い抗炎症作用や免疫抑制作用などをあらわします。プレドニゾロンはステロイド剤の代表的な製剤の一つです。ほかにもメチルプレドニゾロン(商品名:メドロール®)、ベタメタゾン(商品名:リンデロン®)などのステロイド剤が使われています。

関節リウマチにおける薬物治療ではメトトレキサートが中心的な薬剤となっていますが、活動性が高い状態を改善するためにメトトレキサートとステロイドの併用療法が初期治療に使われることがあります。

関節リウマチ治療では一般的に内服のプレドニゾロンとして1日5mg前後、多くても1日10mgほどの量が用いられ、投与期間なども含めて副作用に関して十分配慮された上で使われています。ただし、ステロイドの投与でなければ改善できない重い病態である場合、一時的により多い量のプレドニゾロンが使用されることもあります。

関節リウマチ治療においてプレドニゾロンなどのステロイドは内服薬や注射剤(主に関節腔内注入)によって投与され高い有効性をあらわす一方で、副作用に注意が必要となります。ステロイドの副作用には以下のものがあります。

  • 眠れなくなる
  • 気分が落ち込んだり、高ぶったりする
  • 血糖が上がる
  • 血圧が上がる
  • コレステロールが上がる
  • 太りやすくなる(中心性肥満、満月様顔貌)
  • 感染症にかかりやすくなる
  • 骨粗鬆症
  • 緑内障白内障

このように副作用を挙げると、副作用を怖いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、避けたいのは副作用が心配だと思うあまり、自己判断ステロイドを中止することです。ステロイドをある程度の期間継続している状態では投与されるステロイドの薬剤に体が頼ることで、通常であれば副腎で作られるはずのコルチゾールなどのステロイドホルモンの産生が抑えられます。その状態で突然、自己判断でステロイドの薬剤を中止してしまうと、治療している関節リウマチの症状が悪化したり、体内で必要とするステロイドホルモンまで不足し、通常の体内の活動に支障が出る可能性もあります。

事前に医師や薬剤師などからステロイド使用時の注意事項や服用量・服用期間などをしっかりと聞いておき、仮になんらかの体調変化があった場合でもまずは医師や薬剤師などに連絡・相談することが大切です。

イグラチモドは日本で開発され2012年に承認された抗リウマチ薬で、既存の抗リウマチ薬とは異なるクロモン骨格という化学構造を持つ薬剤です。

関節リウマチの病態に深く関わる免疫グロブリンの産生抑制、炎症の悪化や組織障害などの因子となる炎症性サイトカインのTNFα(Tumor Necrosis Factor‐α:腫瘍壊死因子α)やインターロイキン1βやインターロイキン6(IL-1β、IL-6)などの産生を抑えることで抗リウマチ作用を発揮します。イグラチモドはメトトレキサートと併用すると、より効果的であるとされています。

注意すべき副作用として、肝障害、血球減少、消化性潰瘍間質性肺炎などがあります。その他、腹痛や口内炎などの消化器症状、発疹やかゆみなどの皮膚症状などにも注意が必要です。

また抗凝固薬のワルファリン(商品名ワーファリン®など)の治療中にイグラチモドを併用するとワルファリンの作用が増強し、過度な出血などを引き起こす可能性があるため、原則としてワルファリンによる治療中はイグラチモドの服用を控える必要があります。

ペニシラミンは抗菌薬(抗生物質)のペニシリンを加水分解することにより抽出された成分です。抗リウマチ薬のブシラミンと類似した化学構造を持ち、その作用に関しても類似点が多い薬剤です。金属イオンと結合(キレート結合)する性質を持ち、関節リウマチ治療以外にも鉛・水銀・銅といった重金属による中毒の治療薬や、全身の臓器に銅が沈着するウイルソン病の治療薬としても承認されています。

副作用などを考慮し、日本では類似した作用をあらわすブシラミンの方がより一般的ですが、病態などによってはペニシラミンも治療の選択肢になっています。

レフルノミドは日本では2003年に承認された免疫抑制薬です。海外ではサラゾスルファピリジンとほぼ同程度の効果や、メトトレキサートとほぼ同等の評価を受けている薬剤です。

レフルノミドはDNAやRNAの合成を抑えることにより、結果的に炎症反応などを亢進させる活性化リンパ球の増殖が抑えられ関節リウマチの症状を改善すると考えられています。

日本においては発売開始から間もなくして間質性肺炎の副作用報告があったこともあって、使用されることが少なくなっていますが、海外ではなんらかの理由がありメトトレキサートが使用できない場合にレフルノミドが治療の最初に使われる薬として考慮されています。

間質性肺炎は海外に比べると国内での頻度が(主に発売開始直後の結果を受けて)高いとされています。特に間質性肺炎などの既往歴を持つ場合でより注意が必要とされています。その他、骨髄抑制、肝機能障害、大腸炎や下痢などの消化器症状、発疹などの皮膚症状などには注意が必要です。

ミゾリビンは、DNAやRNAといった核酸の合成(プリン合成系)を阻害する免疫抑制薬です。元々は腎移植後の拒否反応を抑える薬として承認されました。その後、1992年に関節リウマチの治療薬として承認されています。その他、ループス腎炎ネフローゼ症候群の治療薬としても承認されています。

ミゾリビンはDNAの合成を抑制し、炎症反応などを亢進させるリンパ球T細胞やB細胞の増殖を阻害することで抗リウマチ作用などをあらわします。

関節リウマチの治療で使われる場合、比較的副作用は少ないとされますが、骨髄抑制、感染症、肝機能障害、食欲不振などの消化器症状、発疹などの皮膚症状などには注意が必要です。関節リウマチ治療におけるミゾリビンは連日継続する服用方法のほか、週1〜2回のメトトレキサートの服用時に合わせて併用するパルス療法などもあります。

以下の薬はTNF阻害薬に分類されます。

  • インフリキシマブ
  • エタネルセプト
  • アダリムマブ
  • ゴリムマブ
  • セルトリズマブペゴル

TNF阻害薬は、TNF(TNFα)という炎症反応に関する体内物質の働きを抑えることで関節リウマチの症状を改善する薬です。遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジー技術によって造られた経緯もあり生物学的製剤とも呼ばれます。

TNFα(Tumor Necrosis Factor‐α:腫瘍壊死因子α)は腫瘍細胞の壊死を誘導する因子として発見されたサイトカインと呼ばれる生体内物質の一つです。TNFαはその後の研究で炎症の悪化や組織の障害などの因子であることがわかってきました。

関節リウマチでは関節の滑膜からTNFαが大量に産生され、炎症性細胞の浸潤、滑膜増殖、破骨細胞の活性化などを介して、局所での炎症悪化、軟骨や骨の破壊が引き起こされると考えられています。
TNF阻害薬は主に炎症反応において中心的な役割を担っているTNFαを阻害することで関節リウマチによる症状を改善する作用をあらわします。関節リウマチ治療ではメトトレキサートが中心的な薬剤となっていますが、メトトレキサートを中心とする治療で効果が不十分な場合はできるだけ早期にTNF阻害薬などの生物学的製剤を導入し関節破壊などを防ぐという治療が推奨されています。

現在(2018年7月時点)、日本で使われているTNF阻害薬はインフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴルです。なお、TNFα自体は関節リウマチだけでなく、ベーチェット病クローン病潰瘍性大腸炎などの疾患の発症・増悪などに関わることから、薬剤によってはこれらの治療薬として使われるものもあります。

インフリキシマブは国内では最初に発売されたTNF阻害薬です。2003年に発売されました。

インフリキシマブは病院などの医療機関で投与(静注)する注射剤です。関節リウマチの治療では個々の体重に合わせた薬剤量を通常、初回・2週後・その4週後(初回投与から6週後)と投与し、その後は通常、8週ごとの投与を行っていきます。状態などによっては必要に応じて投与量を変更したり、間隔を4週ごとにするなどの変更が考慮される場合もあります。

インフリキシマブは中和抗体といって薬剤に対する抗体ができてしまうこともあり、それによって効果が減弱する場合があります。インフリキシマブの関節リウマチ治療は通常、メトトレキサートとの併用によって行われますが、これには中和抗体を作られにくくする目的も含まれます。

なお、インフリキシマブはTNFαが関与するとされるクローン病潰瘍性大腸炎ベーチェット病乾癬強直性脊椎炎といった病気の治療薬としても使われています。またTNFαの関与が考えられている川崎病に対しても効果が認められ、急性期における治療の選択肢にもなっています。

エタネルセプトは日本では2005年に発売になったTNF阻害薬です。

エタネルセプト製剤(エンブレル®)の投与は皮下注射で行われます。医師によって妥当であると判断された場合、在宅での投与(自己注射)も可能です。自己注射の安全性や簡便性などをより考慮した剤形(剤型)であるペンタイプ(エンブレル皮下注50mgペン1.0ml)も発売されています。

なお、エタネルセプトは関節リウマチのほか、若年性特発性関節炎の治療に使われる場合もあります。

アダリムマブは、日本では2008年に発売されたTNF阻害薬です。

関節リウマチの治療では通常、2週間に1回投与していきます。投与量は1回40mgを基本としますが、病態や併用薬の有無などを加味した上で1回80mgまで増量することもできます。

アダムリムマブ製剤(ヒュミラ®)は皮下注射によって投与されますが、医師によって妥当であると判断された場合、在宅での投与(自己注射)も可能です。

なお、アダリムマブは関節リウマチ以外にもTNFαが関与するとされる乾癬、強直性脊椎症、クローン病潰瘍性大腸炎若年性特発性関節炎ベーチェット病などの治療で使われる場合もあります。

ゴリムマブは、日本では2011年に発売されたTNF阻害薬です。

ゴリムマブ製剤(商品名:シンポニー®)は病院などの医療機関で注射(皮下注射)により投与することが多いです。2018年には医師によって妥当であると判断された場合には在宅での投与(自己注射)も可能になっています。関節リウマチ治療では通常、個々の状態やMTXの併用の有無などによって1回50mgか100mgが選択され、その量を4週に1回投与していきます。

なお、ゴリムマブは関節リウマチ以外に潰瘍性大腸炎などの治療に使われる場合もあります。

セルトリズマブ ペゴルは、日本では2012年12月に承認され、2013年3月に発売されたTNF阻害薬です。

セルトリズマブ ペゴル製剤(シムジア®)は皮下注射によって投与します。通常、1回400mgを初回、2週後、4週後と投与し、その後は2週間ごとに1回200mgを投与していきます。症状が安定してきた場合には、1回400mgを4週間ごとに投与する方法も可能です。また医師によって妥当であると判断された場合には在宅での投与(自己注射)も可能となります。

TNF阻害薬は体内の免疫反応の中で炎症反応などに深く関わるTNFαに作用することでその効果を発揮する薬です。そのため主な副作用の多くは「免疫」に関連したものが現れると考えられます。

TNF阻害薬で特に注意したい副作用は免疫抑制作用による感染症です。

中でも肺炎ニューモシスチス肺炎細菌性肺炎など)や結核といった肺の病気にはより注意が必要となります。重症化することはかなりまれとされていますが、最初は軽度な症状に感じても急に悪化するケースも少なからず考えられます。咳(空咳)、息苦しさ、発熱などの症状がみられた場合はたとえ症状が軽度でもできるだけ早く医師や薬剤師などに連絡し、受診や検査の必要の有無などを相談することが重要です。

もちろん細菌性の感染症だけでなく帯状疱疹インフルエンザなどのウイルス性の感染症に対しても注意が必要です。

その他、アレルギー反応やそれに関連した注射部位反応などにも注意が必要です。場合によってはアナフィラキシーといった深刻な状態が引き起こされる可能性も考えられます。アレルギー症状は個々の体質や薬剤ごとの特徴などによって異なります。TNF阻害薬を使用される場合には、事前に担当医などからしっかりと聞いておき、仮に何らかの体調の変化が現れたとしても早い段階で連絡するなど、適切に対処することが大切です。

トシリズマブは関節リウマチを悪化させる因子のサイトカインの一つとなるインターロイキン6(IL-6)の働きを阻害する作用を現します。国内で開発された生物学的製剤です。

インフリキシマブやエタネルセプトなどの生物学的製剤は主にTNFαというサイトカインを阻害する作用を現しましたが、トシリズマブはTNFαとは別のサイトカインであるIL-6に作用します。関節リウマチではIL-6が体内で過剰に産生され、炎症や炎症による様々な症状を引き起こしています。トシリズマブはIL-6が本来結合するはずの受容体(IL-6R)に結合することで、IL-6とIL-6Rの結合を阻害する作用を現します。これによりIL-6の細胞内へのシグナル伝達を抑えることで、炎症や炎症による関節破壊などを抑える効果を現します。

トシリズマブ(アクテムラ®)には静脈内注射タイプと皮下注射タイプの剤形(剤型)があり病態などによって選択されます。また医師によって妥当であると判断された場合、在宅での投与(自己注射)も可能です。安全性や簡便性などをより考慮したオートインジェクタータイプの皮下注射製剤もあります。

2017年9月には新しいIL-6受容体阻害薬としてサリルマブ(ケブザラ®)が関節リウマチの治療薬として承認されました。ケブザラはIL-6受容体との結合がより強くなるように開発された薬剤になります。また、サリルマブはヒトの実際の抗体に近い形に設計されているため、サリルマブに対する抗体による効果減弱(二次無効)は起こりにくいと考えられています。

IL-6受容体阻害薬も他の生物学的製剤と同様に免疫に関わるため感染症や間質性肺炎には注意が必要です。炎症を抑える薬剤であるため、逆に感染症による炎症がわかりにくくなることも考えられます。発熱、喉の痛み、咳、鼻水など風邪のような症状が現れた場合、最初は症状が軽度だったとしても重症化するケースも考えられるため、これらの症状が現れたら医師や薬剤師などに連絡するなど適切に対処することが大切です。

また頻度は非常にまれとされていますが血圧低下や呼吸困難などのアナフィラキシーが現れる場合があります。他に口内炎や下痢などの消化器症状、血中コレステロール増加などの代謝異常、発疹などの皮膚症状、かゆみや疼痛などの注射部位反応などにも注意が必要です。

アバタセプトは日本では2010年7月に承認され同年の9月から発売されている生物学的製剤です。

作用の仕組みを詳しく説明するには、T細胞がサイトカインを産生する仕組みを考える必要があります。炎症性のサイトカインを産生するT細胞が活性化するには、第1のシグナルである抗原特異的シグナルと第2のシグナルである共刺激シグナルという少なくとも2種類のシグナルが必要となります。

抗原特異的シグナルはT細胞と抗原提示細胞による複合体により伝達されます。また共刺激シグナルは複数存在する共刺激分子によって伝達され、この分子の中でもT細胞の表面にあるCD28と抗原提示細胞の表面にあるCD80及びCD86(CD80/86)という物質による相互作用がT細胞の活性化に重要な共刺激シグナルと考えられています。

アバタセプトは抗原提示細胞表面のCD80/86に結合し、CD28共刺激シグナルを阻害することによりT細胞の活性化を阻害し、これによりT細胞からの炎症性サイトカインの産生を抑えて関節リウマチによる関節の痛みや腫れを緩和する効果を発揮します。

アバタセプト(オレンシア®)には静脈内注射タイプと皮下注射タイプの剤形(剤型)があり病態などによって選択されます。また医師によって妥当であると判断された場合、在宅での投与(自己注射)も可能で、安全性や簡便性などをより考慮したオートインジェクタータイプの皮下注射製剤もあります。

アバタセプトはほかの生物学的製剤と同様に免疫の働きに関わるため感染症や間質性肺炎には注意が必要です。ほかに過敏症、発疹などの皮膚症状、口内炎や下痢などの消化器症状、頭痛などの精神神経系症状、血圧の変動などの循環器症状、かゆみや疼痛などの注射部位反応などにも注意が必要です。

関節リウマチなどの要因となり体内で炎症反応を引き起こすサイトカインの一つにインターロイキン6(IL-6)があります。IL-6は自身のIL-6受容体に結合した後、細胞内のいくつかの経路によりシグナルが伝達されることで免疫細胞を活性化します。この細胞内のシグナル伝達に関わっているのがJAK(ヤヌスキナーゼ)と呼ばれる物質です。JAK阻害薬はJAKを阻害する作用を現しサイトカインの過剰な産生を抑えることで、関節リウマチを改善する効果を現します。

トファシチニブ(ゼルヤンツ®)は関節リウマチに対して、メトトレキサートをはじめとする抗リウマチ薬などによる治療を行っても効果不十分な場合に対する薬剤として2013年に承認されました。トファシチニブはTNF阻害薬・IL-6受容体阻害薬・アバタセプトと同程度の効果があると考えられています。

トファシチニブの特徴は飲み薬である点です。これまでTNF阻害薬・IL-6受容体阻害薬・アバタセプトなどの高い効果を示す薬剤は点滴薬や注射薬であるのに対して、トファシチニブは飲み薬であるにも関わらず、高い効果を発揮します。

また2017年以降、新たなJAK阻害薬としてはバリシチニブ(オルミエント®)、ペフィシチニブ(スマイラフ®)、ウパダシチニブ(リンヴォック®)と新しいJAK阻害薬が承認されています。

関節リウマチ治療で使われる生物学的製剤などと同じように、JAK阻害薬でも感染症に対しての注意は必要です。特にヘルペスウイルス等が活性化するという報告があるため、これらを起因とする帯状疱疹などの疾患に対してはより注意が必要です。その他、血中コレステロール増加などの代謝異常、高血圧などの循環器症状、貧血などの血液障害、頭痛などの精神神経系症状、下痢や吐き気などの消化器症状などにも注意が必要です。

以上のほか、アクタリット(商品名:モーバー®など)、ロベンザリット(商品名:カルフェニール®)、金チオリンゴ酸ナトリウム製剤(商品名:シオゾール®)といった抗リウマチ薬があり、病態などによっては治療の選択肢となる場合も考えられます。

また、日本では皮膚エリテマトーデス・全身性エリテマトーデスの保険適用(2017年5月現在)を持つ免疫調整薬のヒドロキシクロロキン(商品名:プラケニル®)は、欧米ではメトトレキサートおよびサラゾスルファピリジンとの併用療法などのように関節リウマチ治療の選択肢となっています。

いわゆる一般的に「痛み止め」と呼ばれる大半の薬がNSAIDs(エヌセイズ)に該当します。ロキソプロフェンナトリウムなど医療用医薬以外にも市販薬としても多くの薬剤が販売されています。

NSAIDsは痛みや発熱に対しての高い有益性を持つ一方で、消化器障害(胃痛、胸やけ、消化性潰瘍など)や腎機能障害などの副作用があらわれることがあり、注意が必要です。医療用医薬品にはCOX-2選択的阻害薬(セレコキシブなど)と呼ばれる、一般的に消化器障害が少ないNSAIDsもあり使われる場合もあります。

主な商品名:ロキソニン®、セレコックス®

注意するべき副作用などについては、コラム「副作用は胃痛、胸やけだけじゃない!? ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン® など)について」で詳しく解説しています。

関節リウマチに対して使われるオピオイドは、トラマドールなどの非麻薬性(日本における「麻薬及び向精神薬取締法」で指定されている「麻薬」に含まれない)オピオイドが多く、使用する薬の量も十分考慮されて処方されています。

症状がかなりひどい痛みに対してはNSAIDsなどの痛み止めでは効果が不十分な場合もあります。一般的にオピオイドは強い鎮痛作用をあらわすため、他の薬を用いても痛みが治らない場合などにおいては選択肢の一つとなっています。

最近、慢性疼痛においてもよく使われている非麻薬性のオピオイドの一つです。変形性関節症帯状疱疹後神経痛などに対する有効性が確認されています。

トラマール®やワントラム®はトラマドールのみを鎮痛成分とする製剤です。トラムセット®配合錠はトラマドールに加えアセトアミノフェンが配合され、2種類の鎮痛成分を含むため、トラマドール単独成分の薬に比べて鎮痛効果の増強が期待できる製剤になっています。

関節リウマチの治療薬にはかなり高価なものもあり、また長年にわたって使い続ける場合があります。費用について考えておくことも大事です。

費用負担を減らす方法としては以下のものが考えられます。

  • 高額療養費制度などの公的な制度を利用する
  • 後発医薬品を使用する

以下で詳しく説明していきます。

高額療養費制度とは、家計に応じて医療費の自己負担額に上限を決めている制度です。

医療機関の窓口において医療費の自己負担額を一度支払った後に、月ごとの支払いが自己負担限度額を超える部分について後で払い戻しがあります。払い戻しを受け取るまでに数か月かかることがあります。

たとえば70歳未満で標準報酬月額が28万円から50万円の人では、1か月の自己負担限度額が80,100円+(総医療費-267,000円)×1%と定められています。それを超える医療費は払い戻しの対象になります。

この人の医療費が1,000,000円かかったとします。窓口で払う自己負担額は300,000円になります。この場合の自己負担限度額は80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円となります。

払い戻される金額は300,000-87,430=212,570円となります。所得によって自己負担最高額は35,400円から252,600円+(総医療費-842,000円)×1%まで幅があります。

高額療養費制度について詳しくは下記の厚生労働省による説明も参考にしてみてください。

高額療養費制度を利用される皆さまへ

後発医薬品を利用する

近年、医薬品の中には後発品(ジェネリック医薬品)と呼ばれる先発医薬品と同じ有効成分を使っており、品質、効き目、安全性が同等な薬が登場してきています。後発品は先発品に比べると安いことから、費用負担を減らす一つ方法と考えられます。

関節リウマチの治療では特に生物学的製剤のように点滴や注射の薬の値段が高いです。生物学的製剤においてもバイオシミラーと呼ばれ、先発品と比べ値段の安い薬が登場してきています。同じ生物学的製剤でもバイオシミラーのものを選択することで費用負担を減らすことができるため、今後需要が増えていくものと予想されます。2018年7月現在、インフリキシマブ、エタネルセプトのバイオシミラーである「インフリキシマブBS」、「エタネルセプトBS」が発売されています。