たんせきしょう(たんのうけっせき)
胆石症(胆のう結石)
胆のうの中に、砂つぶのようなかたまり(胆石)ができた状態。突然の痛みが起こることがある
12人の医師がチェック 146回の改訂 最終更新: 2024.11.08

胆石症の人が知っておきたいこと:予防法や疑問について

胆石症は日本で少なくとも20人に1人はいるといわれていて、食生活の欧米化や肥満の増加に伴い増えてきていると考えられています。このページでは、胆石症を予防するための具体的な方法や注意点、また胆石症を放置したらどうなるかなど、さまざまな疑問について説明しています。

1. 胆石症の予防について:生活習慣の見直しなど

胆石は大きく分けてコレステロール胆石と色素胆石の2種類があります。このうちコレステロール胆石は生活習慣の影響をうけることがわかっています。ここでは、コレステロール胆石ができないようにするために、自分でできる対策について説明していきます。(胆石ができるメカニズムについては「胆石症ができる原因について」を参照。)

食生活の見直し

コレステロール胆石ができやすいとされている食事内容は次のようなものになります。

  • 一日の摂取総カロリーが高い食事
  • 炭水化物(米、パン、麺類など)が多い
  • 糖分(お菓子、ジュースなど)が多い
  • 動物性脂肪(牛肉や豚肉、バター、乳製品など)が多い

一日に必要なカロリーは「推定エネルギー必要量」を計算することで、ある程度の目安を知ることができます。推定エネルギー必要量は年齢や性別、普段の生活での活動量をもとに次の式から計算されます。

  • 推定エネルギー必要量=基礎代謝量(基礎代謝基準値×参照体重)×身体活動レベル

推定エネルギー必要量を大幅に超えるような高カロリーの食事を日常的に摂っている人は、エネルギーを過剰に摂取していると考えられ、肥満にもつながる可能性があります。炭水化物や糖分、動物性脂肪を多く含む食事を好んで摂っている人は、次にあげる、胆石ができにくくする食事へ変えられるところがないか検討してみてください。

コレステロール胆石ができにくくなるといわれている食事内容は以下のとおりです。

  • 果物
  • 野菜
  • ナッツ類
  • 多価不飽和脂肪酸を多く含む食品(マグロ、サバ、ごま油、菜種油など)
  • カフェインを含む食品(コーヒーなど)

大豆や穀類に含まれるような植物性たんぱく質や、食物繊維を多く摂ることも胆石ができにくくなるといわれています。普段の食生活を見直す際には、適切なカロリー摂取の方法も含めて管理栄養士に相談することをおすすめします。医療機関へ受診した際に、栄養相談をしたいと伝えれば紹介してもらえることが多いです。

肥満の解消

肥満傾向の人は男女ともに胆石ができやすいといわれています。肥満とは、医学的には肥満度の指標の一つであるBMI(Body Mass Index)が25以上の人のことを指します。

  • BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

肥満の解消には、BMIが22のときの体重を目標にすると良いといわれています。BMIが22のときの体重は適正体重と呼ばれ、統計的にもっとも病気にかかりにくい体重といわれています。

ただし、急激な体重減少や、ダイエットのリバウンドなどによる急激な体重増加など、短期間で体重が大きく変動することは胆石ができやすくなる要因の一つですし、胆石に限らず健康を損なうことになりかねません。肥満を解消することは、胆石症だけでなく多くの病気を遠ざけることにつながりますので、ダイエットの仕方がわからない人は栄養士などに相談をして、無理のない方法で体重コントロールに取り組んでみてください。

2. 胆石症の疑問について

このページでは、胆石症に関するよくある疑問について一つずつ解説していきます。

胆石症とコーヒーやアルコールの摂取は関連があるのか

女性に限った研究ですが、コーヒーに含まれるカフェインは胆石症をできにくくするという報告があります。カフェインは脂肪を分解する働きがあるため、コレステロール胆石ができにくくなるのではないかと考えられています。

アルコールは適量であれば胆石ができにくくなるとの報告もありますが、摂りすぎてしまうと胆石ができやすいといわれていますので、過度の飲酒には気を付けてください。詳しくは「胆石の原因になりやすい食事と飲酒について」を参照してください。

症状のない胆石を放置したらどうなるのか

症状がない胆石(無症状胆石)の人が治療しないままでいると、年に2-4%程度の割合で胆石による症状が出るといわれています。また、まれではありますが、放置した場合に次のような病気が続いて起こるという報告もあります。無症状胆石の患者全体で約4%に胆のう炎、黄疸、膵炎、胆のうがんを発生する可能性が指摘されています。具体的には以下の確率で起こると報告されています。

無症状胆石の人に胆石の症状が新たに出始めるのは、胆石が発見されてから最初の3年以内が最も多いという報告もあります。多くの調査報告の結果をまとめると、無症状胆石は無症状のまま経過することがほとんどだと考えられていますが、上記のような病気が起こることもあります。そのため、無症状胆石の人は1年に一度くらいの間隔で、定期的に画像検査でお腹の様子を確認してもらうことがすすめられます。

症状がある胆石を放置したらどうなるのか

胆石発作という、胆石によっておこる急激な強い腹痛が症状として出ることがあります。胆石発作を経験した人が手術を受けないまま最長で5年間観察したところ、半分の人は症状がなくなったが、残りの半分は再び発作が出て手術を受けたという報告があります。このように、症状が消えてしまうこともありますが、症状があって手術を受けなかった胆石の人を長期間観察した調査では、10年以上無症状のまま過ごせた人は全体の5.7%にとどまったとのことです。さらに20年以上無症状のまま過ごせたのは3.6%で、一度胆石で症状が出たことがあれば10年以上経ったあとでも再発する可能性は潜んでいることがわかります。とくに高齢者の胆石症は、長期間無症状であった後に急激に重篤な状態で再発することがあるといわれており、手術がすすめられます。

また、症状がある胆石の中には急性胆のう炎を伴っている人もいます。胆石によって急性胆のう炎が生じている状態にもかかわらず放置してしまうと、強い炎症のために胆のうに穴があいてしまって、重篤な胆のう炎を引き起こすこともあります。急性胆のう炎に伴う重篤な状態として胆のう周囲膿瘍と胆汁性腹膜炎の2つがあります。

また、胆石が胆のうの出入り口付近ではまり込んだまま治療をせずに炎症が強くなってしまうと、Mirizzi症候群とよばれる特殊な胆管炎を引き起こすこともあります。(胆のう周囲膿瘍を伴う急性胆のう炎、胆汁性腹膜炎、Mirizzi症候群については、「胆石症の治療について」で詳しく説明しているので参照してください)

胆石による急性胆のう炎が起こっている状態で放置してしまうと、上記のような重篤な状態を引き起こすこともあります。症状がある人は、早めに医療機関を受診するようにしてください。

胆石症で死亡することはあるのか

胆石があるだけで命に関わることはまずありません。しかし、胆石によって引き起こされる急性胆のう炎となった人の中には、非常にまれですが生命が危険な状態になることがあります。さまざまな検査や治療方法が進歩していることもあり、急性胆のう炎によって死亡する確率は近年では1%未満とされています。急性胆のう炎の中でも最も重症な胆汁性腹膜炎を伴う状態では、命を落とす可能性もでてくるので速やかな治療が必要です。

胆石症は手術が必要なのか

胆石症のすべての人に手術がすすめられるわけではありません。診療方針はガイドラインや過去の報告などが参考にされますが、どの病気においても最終的な方針を決定するのは患者さん自身であり、お医者さんはその決定の手助けをするために協力していきます。

無症状胆石の人で、胆のうがんがある可能性が極めて低いと判断される時は積極的に手術をすすめられることはありません。

なんらかの症状がある胆石症の人は、まず最初に胆のう摘出術をすすめられることになります。症状がある人では、手術をせずに様子をみても90%以上の人に再び症状が出てしまうことが分かっています。

症状がありながらさまざまな理由で手術を選ばなかった人で、レントゲン写真に写らないような石灰化のないコレステロール胆石の人に対しては、胆石溶解療法や破砕療法といった手術以外の方法をすすめられることがあります。(詳しくは「胆石の治療について」のページで説明しています。)

胆のう摘出術(手術)の名医はいるのか

名医の明確な定義はありません。それは、お医者さんと患者さんの関係も人間同士の関わりなので、出会った医師を名医と呼べるかどうかは患者さん自身の考え方も大きく影響するからです。名医と判断するかはその人によって異なると考えられます。ここでは具体的な病院や医師の名前を挙げることはしませんが、名医に出会うための方法について考えてみたいと思います。

胆石症は日本人の20人に1人はいる、比較的よくみる病気の一つです。よって消化器内科や消化器外科と標榜のある医療機関では多く受診される病気の一つとなります。

胆石症の診断や治療には十分な知識と経験が必要となります。また治療の基本が手術となることから、最初に受診することの多い内科と、手術を行う外科の連携がスムーズに行われていることも大事な要素となります。

そのようなお医者さんや医療チームがどこにいるかは一見するとわからないものです。そこで、医療機関がホームページなどで公開している胆のう摘出術の数を参考にすることは有効な方法の一つと考えられます。治療数の多い医療機関では、患者が多く集まり判断が難しいケースも多く経験していることが予想されます。

また現在の日本では、胆のう摘出術は腹腔鏡下手術が一般的となっています。腹腔鏡下手術に関しては、日本内視鏡外科学会で定めた、ある一定の技術基準を満たした人に与える技術認定制度があります。この技術認定を胆道の分野で取得した医者は、腹腔鏡下手術でより安全な胆のう摘出術を行える可能性が高いと考えられますので参考になるかもしれません。技術認定取得者の一覧は、日本内視鏡外科学会のウェブサイトで確認することができます。

ただし、治療実績が多いことや技術認定を取得していることが必ずしもあなたにとっての名医を意味しないことには注意が必要です。患者の訴える症状や気持ちを受け止めて、患者にとってよりよい方向へ治療をすすめるには、医師と患者のあいだにおける信頼関係も大事です。性格が合う、話しやすいといったコミュニケーション面も考慮し、自分が大切にする名医の基準を考えてみてください。

胆石症の手術のあとの生活で気をつけることは何か

胆のう摘出術を受けておよそ3ヶ月ほど経つと、胆石症になる前の日常生活とほとんど変わりなく感じる人が多いです。胆のう摘出術後に軟便や下痢になる人も時々いますが、ほとんどの人は3カ月程で改善してきます。また、手術による傷の痛みも、3ヶ月ほど経てば、多くの人は気にならなくなるようです。

ただし、退院した後に創感染といって手術の傷が化して赤く腫れてしまう人が時々います。命に関わるほどの重症になることはほとんどありませんが、気づいたら早めに受診するようにしてください。

手術をして退院した後にお腹が痛くなったり、熱が出たりした時は、まれな合併症を起こしている可能性も否定できません。気になることがあれば、手術を受けた医療機関へ相談するようにしてください。(手術の後の生活や合併症については「手術でよくある疑問」で詳しく説明しています。)

胆石症のガイドラインはあるのか

ガイドラインとは、診療の手引きとなる参考書のようなもので、多くの研究報告をもとに客観的な信頼度の高い研究結果を重視しながら作られています。胆石症の診療では、日本消化器病学会が作成している「胆石症診療ガイドライン」に基づいて行われることが多いです。

胆石があると胆のうがんになりやすいのか

胆石症の人が胆のうがん発症しやすいかについては、今のところはっきりとは分かっていません。胆のうがんは比較的まれな病気のため、まだ十分にわかっていないことが多くあります。しかし、胆のうがんの人は胆石がある割合が高いことがわかっているので、胆石症の検査をする際に、胆のうがんが隠れていないかを入念に調べられることとなります。

胆石症の治療について」でさらに詳しい説明をしているので参考にしてください。

【参考文献】

胆石症診療ガイドライン2016
・「NEW外科学」(出月康夫, 古瀬彰, 杉町圭蔵/編集)、南江堂、2012
・今村直哉、七島篤志、甲斐真弘. 胆石症の外科治療 胆道 32 (1): 51-61, 2018
・日本胆道学会学術委員会 胆石症に関する2013年度全国調査結果報告. 胆道 28: 612-617, 2014
・正田純. 性差による臨床像の差異ー胆石症ー. 胆と膵 39 (6): 515-519, 2018
・山口和哉、谷村広、石本喜和男ほか 剖検例からみた最近の胆石保有率と胆嚢癌合併率. 日臨外会誌 58: 1986-1992, 1997