とうにょうびょう
糖尿病
血液中のブドウ糖(血糖)濃度が慢性的に高値となる病気。長期に放置すると眼、神経、腎臓など多くの臓器に悪影響が出る
36人の医師がチェック 311回の改訂 最終更新: 2024.11.12

糖尿病神経障害に出される薬の特徴、副作用、注意点

糖尿病神経障害は糖尿病によって起こる合併症の一つで、手足のしびれや痛み、感覚が鈍くなるなどの症状があらわれます。糖尿病神経障害の治療では、しびれや痛みを和らげるために、神経に対して効く薬が主に使われています。よく使われる4種類の薬の副作用や使用上の注意点を説明します。

1. プレガバリン(商品名:リリカ®)

プレガバリンは痛みやしびれ、特にジンジン・ピリピリといったような痛みに対して効果が期待できる薬です。

糖尿病だけでなく帯状疱疹後や線維筋痛症などによる痛みを和らげる目的でも使われ、多くの「神経の痛み」に対して有効とされている薬です。

神経へ作用することもあって、眠気やふらつきなどの副作用があらわれる場合があります。プレガバリンに関してはコラム「リリカの効果と副作用は?神経障害性疼痛やしびれに対する効果について」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

2. デュロキセチン(商品名:サインバルタ®)

デュロキセチンは、もともとは抗うつ薬として使われていた薬です。SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という分類に当たります。抗うつ薬の一部はうつ病などに対する効果に加えて「神経の痛み」を和らげる作用が知られ、痛みを抑える目的で以前からよく使われてきました。

デュロキセチンは糖尿病神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症にも保険で使うことが認められています。

もともとは抗うつ薬ですので、あらわれる可能性がある副作用として眠気や頭痛、めまいなどの精神神経系症状があるほか、吐き気、食欲不振などの消化器症状に注意してください。また頻度はまれですが、排尿障害や眼圧の変動などがあらわれる可能性もあるので、前立腺肥大や緑内障がもともとある人は、糖尿病の診察を受けるときには必ず持病を伝えてください。

3. エパルレスタット(主な商品名:キネダック®)

エパルレスタットは、糖尿病性神経障害によるしびれや痛みなどの症状を改善します。

副作用が出る頻度はまれですが、腹痛や吐き気などの消化器症状や肝機能異常などがあります。

エパルレスタットはほかの糖尿病の薬と違って食前(一般的に、食事前30分以内)に飲むので、間違えないよう注意してください。

4. メキシレチン(主な商品名:メキシチール®)

メキシレチンはもともとは不整脈の治療薬ですが、糖尿病性神経障害に伴う痛みやしびれにも使われます。

心臓に影響する薬なので、動悸や脈が乱れるといった症状があらわれる可能性があり、特にもともと心臓の病気を持っている人はより一層注意が必要です。

5. その他の薬

この他にも、ガバペンチンなどの抗てんかん薬、メコバラミン(主な商品名:メチコバール®)などのビタミンB12製剤、牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)などの漢方薬も使われています。2019年には、プレガバリンに続く同系統の薬としてミロガバリン(タリージェ®)が発売され、糖尿病性末梢神経障害などへの有用性が考えられています。

またこれらの薬で痛みの改善が不十分な場合に、オピオイドと呼ばれる種類の、強い痛みに効果が期待できる薬も使われます。最近ではトラマドールというオピオイド成分が痛みの緩和目的としてよく使われてきています。オピオイドには吐き気、眠気、便秘などの副作用もあり、より注意が必要な薬になります。