糖尿病の症状:喉の渇き・多飲多尿・体重減少ほか
糖尿病になってすぐはあまり症状はありません。健康診断ではじめて
1. 症状はなくても糖尿病なのか
糖尿病の状態になってすぐは症状がない場合が多いです。そのため、症状がないから安心ということにはなりません。
血糖値とHbA1c(
2. 糖尿病であらわれる症状
なかには糖尿病に気がつかないまま時間が過ぎ、体調の変化を感じたことから糖尿病と診断される人もいます。
- 口が渇く、のどが渇く
- 水分をたくさん飲みたくなる、飲んでしまう
- トイレが近くなる、尿の量が多くなる
- 身体がだるい
- 気持ち悪さを感じる
- 吐き気がする、嘔吐する
- 頭痛がする
- 体重が減少する
過去に血糖値が高いと言われたことがあって口の渇きなどの症状があれば、糖尿病である可能性は非常に高いです。
何年も健康診断を受けていない人や、糖尿病と診断されてからまだ治療を始めていない人でこのような症状があれば、早めに病院に行って血糖値をチェックしてください。
糖尿病の治療中も高血糖症状に注意
高血糖による症状は、糖尿病の治療中も続くことがあります。
糖尿病の治療で血糖値が適切にコントロールされていれば症状は抑えられますが、どうしても高血糖になってしまうことはあります。血糖値を変化させる要因は食事のほかにもたくさんあるため、完全に血糖値を安定させるのは難しいからです。
下記は、高血糖の症状が出やすい状況です。
- 食べすぎてしまう
- 運動不足で体重が増えている
- 治療を始めたばかりである
- 感染を起こしている
- 糖尿病以外の薬の飲み合わせが悪い
ステロイド を使っている
糖尿病の治療中で高血糖の症状が繰り返すときは、治療を見直す必要があるかもしれません。口の渇き、多飲多尿、体重減少などの症状をこまめにチェックしてください。
糖尿病には症状のない危機が潜んでいる
糖尿病の怖さは合併症にあります。自覚症状がないからといって治療をないがしろにしていると、次第に糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害といった合併症につながります。また、心筋梗塞や脳梗塞が糖尿病によって引き起こされることもあります。
糖尿病の合併症もまた、症状を感じないうちに進行していることがあります。たとえば、心筋梗塞は胸の痛みや締め付けられるような感覚が代表的な症状ですが、まったく痛みを感じない場合もあります。
つまり、症状だけで糖尿病の合併症に気づくこともできません。糖尿病と診断された人は定期的に眼科の診察を受けるなど、症状の有無にかかわらず合併症の状態を定期的に調べることが重要です。
3. 糖尿病の合併症による症状
糖尿病は
- 糖尿病網膜症
- 視力低下や突然の
失明 の原因になる
- 視力低下や突然の
- 糖尿病腎症
- 進行すると
むくみ などを起こし、さらに悪化すると透析 が必要になる
- 進行すると
- 糖尿病神経障害
- しびれ、感覚の低下、排尿・
排便障害 、勃起障害などを起こす
- しびれ、感覚の低下、排尿・
- 糖尿病足病変
- 足に
潰瘍 ができるなどして、悪化すると切断しなくてはいけなくなる
- 足に
糖尿病網膜症と糖尿病神経障害は比較的早い時期から進行することが多いです。糖尿病網膜症は糖尿病の診断基準にも入っています。
ここで気を付けて欲しいのは、糖尿病の合併症の症状は見逃しやすいという点です。
特に見えにくさは感じていなかったのに、
そのため、糖尿病の治療中は、お医者さんから合併症に関する症状がないか質問されます。また、眼科で糖尿病網膜症が進んでいないか調べたり、尿検査で腎臓の状態を調べたりと、必要に応じて検査をして個々の合併症への対策をとります。
免疫機能の低下による感染症の症状
糖尿病の治療が不十分なままだと、
糖尿病と言われた人は、数年前に比べてかぜを引きやすくなっていないか、治りが悪くなっていないかを振り返ってみてください。
インフルエンザワクチンや
糖尿病による緊急事態の症状
糖尿病の症状は、長期的にだんだん現れてくる症状だけではありません。まれに、糖尿病ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧症候群という危険な状態を引き起こすことがあります。これらは緊急の救命処置を必要とする状態で、1日程度で急激に意識がもうろうとする、
心筋梗塞や脳梗塞の症状
糖尿病で高血糖の状態が続いていれば、確実に動脈硬化は進んでいきます。動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な病気にもつながります。心筋梗塞や脳梗塞であらわれる症状の例を挙げます。
長年糖尿病が続いていて、胸の痛みや動きにくさの症状が出たら、命の危険が迫っているかもしれません。速やかに医療機関で診察を受けてください。
4. 糖尿病の薬による低血糖の症状
糖尿病と診断され、薬を飲んだり注射したりして治療することになったら、最も気を付けるべき副作用が「低血糖」です。糖尿病は高血糖になる病気ですが、血糖値を下げる薬を使うことでバランスが崩れて、血糖値が下がりすぎることがあるためです。
知っておきたい低血糖の症状とは?
低血糖は非常に危険なので、糖尿病の薬の使い始めや体調が悪いときは特に、以下の症状をチェックしてください。
- あくび
- 空腹感
- 気持ち悪さ
- めまい
動悸 (どうき)- 発汗
- 震え
- 顔面蒼白
- 意識もうろう
万一こうした症状を感じた時の対応を次に説明します。
低血糖の症状に気付いたらどうすればいいか
低血糖が進行すると昏睡に陥ります。これは命に関わる事態です。
糖尿病の薬を使っていて低血糖の症状を自覚したら、まず血糖値を測定してください。血糖値が70mg/dLよりも低くて症状が出ていれば、手近なもので糖分を摂ってください。
外出中などで血糖値を測定できないときは、低血糖かもしれないと思ったら糖分を摂ってください。もし間違って一時的に血糖値が上がってしまったとしても、高血糖は糖尿病の治療でカバーできますが、低血糖ならば一刻を争います。
日頃の低血糖対策には何をする?
糖尿病の薬を使うときは、普段から低血糖に備えて、念のためブドウ糖を含む食品を携帯しておくとよいでしょう。携帯しやすいブドウ糖として、グルコレスキュー(スティックタイプのゼリー状ブドウ糖飲料)や、ブドウ糖タブレットなどが発売されています。
以下の場合は低血糖が起こりやすいので、特に注意してください。
- 体調がすぐれなくて食事をなかなか摂れない
- 飲み過ぎや食あたりなどで食べたものを吐いた
- 最近治療薬を変更した
- 脱水などで
腎機能 が落ちてしまっている- 腎臓から体外に排出されるはずの糖尿病治療薬が血中に残ってしまうため
- 感染を起こしている
抗菌薬 (抗生物質 、抗生剤)を使っている- 糖尿病以外の薬の飲み合わせが悪い
低血糖発作が起こってしまったら、必ず主治医に知らせて、原因をしっかりと考えてください。原因を見極めることで、薬を替えるなど、次の低血糖発作を防ぐ対策ができるようになります。
糖尿病の人が注意するべきシックデイとは?
体調が悪くて食事が摂れないことは、糖尿病患者にかぎらず誰にでもあります。
では、食事が摂れなかった日は、低血糖を予防するために糖尿病薬を飲まないほうがいいのでしょうか?
実は食事が摂れなかったときに糖尿病の薬を休むのは非常に危険です。というのも、糖尿病治療中は薬があってはじめてバランスがとれ、血糖値が保たれるようになっているので、急に薬がなくなると血糖値も急激に上がりやすいからです。急速に血糖値が上がると、糖尿病ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧昏睡といった命に関わる状態になりかねません。
糖尿病の治療中に風邪を引いたり、気持ち悪くなったり、下痢になったりして、血糖値が乱れやすい日のことを「シックデイ」と言います。シックデイに自己判断で糖尿病の薬を休んだり量を減らしたりすると、それまで血糖値が安定していても嘘のように血糖値が上昇することがあります。
シックデイにも薬は主治医の処方に従って続けてください。
シックデイに糖尿病の薬はどうすればいい?
シックデイには食べられないから血糖値は下がりやすいという問題と、薬を使わないと血糖値が上がりやすいという問題の板挟みになってしまいます。こんなときは「薬は続けながら、できるだけ食べる」というのが最善です。可能であれば血糖値を3-4時間毎にチェックして、低血糖にすぐ気付けるようにしてください。
対処法のコツをまとめます。
- 食事が摂れなくても、
インスリン 注射や飲み薬は元通り続ける - 食べやすいものを食べる(例:おかゆ、ジュース、アイスクリームなど口当たりのよいもの)
- 脱水にならないように水分をしっかり補給する
- どうしても何も食べられないときはかかりつけの医者あるいは救急センターに連絡する
どうしても食べられなかったり下痢や吐き気が止まらなかったりする場合は、入院の必要性が出てきますので、必ず医療機関にかかって診察を受けてください。
また、あらかじめ、食事がとれなかったときはどうしたらよいかを、かかりつけのお医者さんに聞いておきましょう。
5. まとめ
糖尿病が進むにつれて出てくる症状を紹介しました。順にまとめます。
- 糖尿病は症状がないまま進むことも多い
- 糖尿病の症状は喉の渇き・多飲多尿・頭痛・吐き気・体重減少など
- 糖尿病の合併症の症状は視力低下・感覚低下・足の潰瘍など
- 命に関わる事態を疑わせる症状は意識もうろう・胸の痛み・息苦しさなど
- 低血糖の症状はあくび・発汗・震えなど
血糖値の異常があると言われたことがあれば、糖尿病かどうかをしっかり見極めて、症状が出ないうちから対策できるようにしてください。