とうにょうびょうせいもうまくしょう(とうにょうびょうせいれちのぱちー)
糖尿病性網膜症(糖尿病性レチノパチー)
血糖が高い状態が続くと血管がもろくなり、網膜の血管が損傷し出血が起こる。視力低下や失明の原因となる病状
6人の医師がチェック 142回の改訂 最終更新: 2018.05.06

糖尿病性網膜症(糖尿病性レチノパチー)の基礎知識

POINT 糖尿病性網膜症(糖尿病性レチノパチー)とは

眼の一番奥には網膜という膜があり、多くの細かい血管があります。糖尿病の患者さんの血はドロドロで、細かい血管を詰まらせたり、血管の壁に負担をかけたりして血管を痛めてしまいます。傷んだ血管が酸素や栄養を十分に運べないために、網膜は健康を損なってしまいます。また、血管の壁が傷むことで眼の奥に出血を起こします。病気が進むと、網膜がボロボロになって、霞んで見えたり、失明してしまうこともあります。悪化を防ぐためには、早い段階で発見し、レーザーなどの治療を行うことが重要なのですが、初めのころは全く症状がないことが、糖尿病網膜症の恐ろしいところの一つです。初期の糖尿病網膜症は自分では気づくことができないので、糖尿病と診断されたら何も症状がなくても眼科を受診するようにしてください。

糖尿病性網膜症(糖尿病性レチノパチー)について

糖尿病性網膜症(糖尿病性レチノパチー)の症状

  • 進行の程度により症状が異なる
    • 単純糖尿病性網膜症(初期)
      • 自覚症状はほとんどない
      • 進行してこないと症状が現れてこない
    • 前増殖糖尿病性網膜症
      • 自覚症状が徐々に現れる
        • 目のかすみなど
    • 増殖糖尿病性網膜症(進行した場合)
      • 視野に黒い影
      • 飛蚊症(視野の中に虫のようなものが見える)
      • 急な視力低下
      • 強い視野の歪みや失明網膜剥離(牽引性網膜剥離)による

糖尿病性網膜症(糖尿病性レチノパチー)の検査・診断

  • 網膜の検査を行う
    • 眼底検査
    • 蛍光眼底造影検査
  • 光干渉断層計:目の中の状態を調べる
    • 糖尿病黄斑症がある場合に行う

糖尿病性網膜症(糖尿病性レチノパチー)の治療法

  • 糖尿病があると、定期的に眼科で診察し網膜の状態を検査する
  • 症状の進行に合わせて手術が行われる
    • 前増殖糖尿病性網膜症の場合
      • 網膜光凝固術
        • 外来でレーザーを使って、病変の周りを止血したり固める
    • 増殖糖尿病性網膜症の場合
      • 硝子体手術
        • 硝子体内の出血を止血し汚れを掃除する
        • 1-2時間程度の手術(状態によって難易度が変わる)
  • 糖尿病性網膜症を予防するあるいは進行させない意味でも、治療を怠らずに行って血糖値をコントロールすることが重要

糖尿病性網膜症(糖尿病性レチノパチー)に関連する治療薬

ビタミンE製剤

  • 血管の血流改善により血行をよくしたり、コレステロールを低下させることなどにより、頭痛、肩こり、冷えや動脈硬化などを改善する薬
    • ビタミンEは脂溶性(脂に溶けやすい性質)ビタミンで、体内で活性酸素の働きを抑える
    • 活性酸素が過剰になると体の老化や動脈硬化などをおこす場合がある
    • ビタミンEはコレステロールの排泄や末梢血管の拡張にも関わる
  • ビタミンEの欠乏が関与する脊髄小脳変性症などに使用する場合もある
ビタミンE製剤についてもっと詳しく

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