だいちょうがん
大腸がん
大腸の粘膜にできるがん。国内のがん患者数がもっと多く、死亡者数も女性において原因の1位
20人の医師がチェック 310回の改訂 最終更新: 2024.11.11

大腸がん手術後の検査:再発・転移早期発見のための定期検査スケジュール

大腸がんは進行すると転移や再発が起こりやすくなります。手術後の転移・再発を早期に発見するためには定期的なチェックが必要です。大腸がん手術後の転移・再発が起こりやすい時期と場所、再発を予防する治療について説明します。

1. 大腸がんの転移・再発はなぜ起こるの?

大腸がんに限らず、多くのがんは手術やそれに加えて行う術後化学療法によって完治したと思っても再発や転移を起こす可能性があります。

大腸がんの転移は「がん細胞が血液などの流れによって他の臓器に運ばれて、その臓器で成長すること」を言います。もともと発生した場所の大腸がんを手術できれいに取り除いたとしても、がん細胞が1個でも血液やリンパ液の流れに乗っていれば転移の可能性があり、どんな治療をしても転移が絶対にないと言い切れることはありません。

一方、大腸がんの再発とは、「治療によって目で見た範囲ではなくなっていると思われるがんが、実は身体のどこかに残っていて、そのがんが徐々に大きくなり見えるようになること」を言います。手術でがんの周りを広く切り取ったとしても、身体のどこかにがん細胞が1個でも広がっていれば再発の可能性があり、やはり絶対に再発しないと言い切れることは決してありません。

治療を行う上で、様々な精密検査が行われるため、「なぜがん細胞が残るの?」と思えるかもしれません。しかし、微小ながんは目に見えず、画像にも映らず、腫瘍マーカーのような物質も検査で検出できるほどの量が現れないので、検査で発見することができません。そのためすべてのがんを退治できないままになってしまうことがあるのです。

2. 大腸がんの再発率は?

大腸がんの再発率は、がんの進行度を表すステージによって異なります。もっとも軽度なステージ0では再発の可能性はほとんどありませんが、一般的にステージIからステージIVに進むにつれて再発率が高くなると考えられます。

ステージIVは、すでに肝臓や肺などの臓器に転移が見つかっている状態です。リンパ節などにも微小で目に見えないがんが広がっていることがほぼ確実で、手術できない場合も多く、手術をしたとしても再発することも多いと考えられます。

ステージに関して詳しくは、「大腸がんのステージとは?」をご覧ください。

再発の多くは最初の治療後5年以内に起きています。そのため、手術から5年以内は定期検査を受けることが大事です。

3. 大腸がんの転移と再発はどこに起こりやすいの?

大腸がんの再発や転移が現れやすい場所(臓器)はどのようなところなのでしょうか。

大腸がんの再発は最初に発症した場所の周辺でも起こりますし、そこから離れた臓器でも起こります。手術では、見えているがんだけを切り取るのではなく、その周りに余白を作るように広めに切り取ります。がんの周りにがん細胞が広がっている可能性があるためです。しかし、広めに切り取っても残った部分にがん細胞が入り込んでいる可能性もゼロではありません。また、がんができた場所によっては広めに切り取ることが難しい場合があります。がんの周辺に広がっていたがん細胞が取り切れずに残ってしまうと、その場で次第に増殖し、再発することがあります。

大腸がんの転移は、がん細胞が血液やリンパ液を通して肝臓、肺、骨やリンパ節に流れ着き、そこで増殖することで起こります。大腸がんの転移は、肝臓と肺に多く発生します。

さらに、腹膜播種(ふくまくはしゅ)と呼ばれる形でも転移が起こります。大腸の外側の、臓器の隙間にあたる空間(腹腔)でがん細胞が飛び散り、臓器の表面を覆っている腹膜の上で多くの場所にがんが転移した状態が腹膜播種です。

図:腹腔の概念のイラスト。

図:大腸がんの腹膜播種のイメージ。

4. 大腸がんの再発を予防するための方法とは?

それでは次に、大腸がんの再発予防について説明していきます。

大腸がんの手術を行っても、微小ながんは残っているかもしれません。しかし、微小ながんをできるだけ殺してしまうことにより、再発を少なくすることができます。その方法が、術後補助化学療法です。

術後補助化学療法では、手術の後に抗がん剤を使用することになります。抗がん剤は場所を選ばず全身に行き渡り、手術で切除したがんの周りの組織にも、転移しやすい臓器にも作用するため、微小ながんが残っていたとしても漏らさず攻撃することができるという考え方です。この方法はステージ3の大腸がんの治療において推奨されています。

抗がん剤に関する詳しい説明は、「大腸がんの抗がん剤治療とは?」をご覧ください。

また再発したとしても早く発見することで、改善の見込みが大きくなります。早く発見するためには、数ヶ月ごとに検査を受ける必要があります。検査を行う間隔は、症状や体の状態によって異なります。

大腸がんは手術で治療すればかなりの効果が見込めるがんですが、手術したあとも再発の可能性があります。手術がうまく行って元気になったとしても、再発が絶対にないとは言えません。万一の再発に備えることがとても大切です。

手術のあとは、主治医の説明をよく聞き、定期的に検査を受けるようにしましょう。

5. 手術後の検査スケジュール

大腸がん手術後の再発の有無を調べるために、定期的な検査を行います。

手術後に定期的な検査を行うことで、大腸がんの再発巣切除率や死亡率の改善が得られるという報告(Dis Colon Rectum. 2007Cochrane Database Syst Rev. 2016 Nov 24.)があります。

検査のスケジュールとして推奨されているものは下記の検査です。

  • 問診・診察
  • 血液検査(腫瘍マーカー)
  • 胸部・腹部CT検査
  • 大腸内視鏡検査下部消化管内視鏡検査

これらの検査は再発を見逃さないようタイミングよく行う必要があります。『大腸癌治療ガイドライン』2019年版では、次の通りのスケジュールが推奨されています。

大腸がんの術後検査スケジュール 

◎結腸がんまたは直腸S状部の直腸がんの場合

  • 術後1年目
    • 問診・診察:3ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、12ヶ月目
    • 腫瘍マーカー:3ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、12ヶ月目
    • 胸部・腹部CT検査:6ヶ月目、12ヶ月目
    • 大腸内視鏡検査(下部消化管内視鏡検査):12ヶ月目
  • 術後2年目
    • 問診・診察:3ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、12ヶ月目
    • 腫瘍マーカー:3ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、12ヶ月目
    • 胸部・腹部CT検査:6ヶ月目、12ヶ月目
    • 大腸内視鏡検査(下部消化管内視鏡検査):なし#1
  • 術後3年目
    • 問診・診察:3ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、12ヶ月目
    • 腫瘍マーカー:3ヶ月目、6ヶ月目、9ヶ月目、12ヶ月目
    • 胸部・腹部CT検査:6ヶ月目、12ヶ月目
    • 大腸内視鏡検査(下部消化管内視鏡検査):12ヶ月目
  • 術後4年目
    • 問診・診察:6ヶ月目、12ヶ月目
    • 腫瘍マーカー:6ヶ月目、12ヶ月目
    • 胸部・腹部CT検査:6ヶ月目#2、12ヶ月目
    • 大腸内視鏡検査(下部消化管内視鏡検査):なし
  • 術後5年目
    • 問診・診察:6ヶ月目、12ヶ月目
    • 腫瘍マーカー:6ヶ月目、12ヶ月目
    • 胸部・腹部CT検査:6ヶ月目#2、12ヶ月目
    • 大腸内視鏡検査(下部消化管内視鏡検査):なし

#1:S状部以外の直腸がんでは下部消化管内視鏡検査を行う

#2:ステージⅠ及びⅡの大腸がんでは胸部・腹部CT検査を行わないことも可能である

たとえば手術から6か月時点で問診・診察、腫瘍マーカー、胸部・腹部CTの検査を行うことが勧められています。

大腸がんの再発は特に手術後5年以内に多いとされています。そのため手術後の検査は5年間続けることになります。運悪く再発が起こってしまっても、できるだけ早くがんを見つけることが大切です。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざがあるように、がんの手術から時間が経つと検査が億劫に感じる人がいるかもしれません。しかし、5年以内の再発が多いという事実がありますので、油断しないで検査を受けるようにしてください。

ただし、海外のガイドラインでは胸部・腹部CT検査が1年毎であったりと日本のものと異なっています。この間隔が一番良いかどうかにはまだ議論の余地が残されています。とはいえ予定された検査を自己判断で休むのはお勧めできません。もし疑問に感じることがあれば主治医に質問し、自分の希望を伝えたうえ相談して方針を決めてください。