狭心症の原因にはどんなものがあるのか?:喫煙、ストレス、脂質異常症、糖尿病などとの関係
狭心症はどういったことが原因となって起こるのでしょうか。また、狭心症になりやすくなる持病や生活習慣について説明します。
1. 狭心症は何が原因で起こるのか?
心臓に栄養や酸素を送る血管を

冠動脈は2mm前後の太さで、絶えず安定して血液が流れています。冠動脈が詰まると心臓が機能的に動けなくなるため、冠動脈は簡単には詰まらないようにできています。それでも詰まることがあります。その原因には主に2つのことが考えられています。
動脈硬化 - 冠動脈のけいれん(冠攣縮)
どういったことが起こっているのかについてもう少し詳しく説明します。
動脈硬化
動脈硬化とはその名の通り動脈が硬くなることを指します。多くの場合には粥状動脈硬化(
心臓に栄養や酸素を送る血管(冠動脈)が狭くなっても最初は自覚がないことが多いです。血管は狭くなっていくと心臓に必要な血液を送れなくなり狭心症となります。安静時のほうよりも運動時のほうが心臓に必要な血液量が多いので、最初は運動時に症状が出現することが多いです。
冠動脈の痙攣(冠攣縮)
冠動脈が痙攣(けいれん)することで冠動脈が狭くなることがあります。すると心臓が必要とする血流量が保てなくなるので胸部の症状(痛みや締めつけ感)が出現します。これを冠攣縮性狭心症(異型狭心症)と言います。
このタイプの狭心症は日中や午後に症状を感じることが少なく、夜明けに症状が出やすいことが特徴です。
冠攣縮の原因の一つとして喫煙が考えられています。喫煙は動脈硬化も起こしますので、狭心症が気になる人は必ず禁煙するようにしてください。
2. 狭心症になりやすくさせる状態
狭心症は生活習慣や持病によって起こりやすくなることがあります。以下では狭心症になりやすくすると考えられているものについて解説していきます。
喫煙すると狭心症になりやすくなるか?
喫煙は狭心症の危険性を高めます。これはタバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素が動脈硬化を引き起こすからと考えられています。
狭心症が悪化すると、冠動脈の一部で血流が完全に止まって心筋梗塞になる恐れがあります。心筋梗塞は命に関わります。男女別に喫煙によってどのくらい心筋梗塞になりやすくなるかについてのデータがあるので、以下の表にまとめます。
【喫煙による心筋梗塞への影響】
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男性 |
女性 |
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非喫煙者に対する喫煙者の心筋梗塞になりやすさ |
3.64倍 |
2.90倍 |
喫煙の冠動脈への悪影響は大きいです。そのため狭心症になりたくないのであれば禁煙することがとても大切です。最近の禁煙外来は薬物療法も非薬物療法も充実しているため、禁煙したいと考えている人は一度相談に医療機関を受診することをおすすめします。
高血圧症があると狭心症になりやすくなるか?
高血圧の状態が持続すると動脈硬化を引き起こすことが分かっています。そのため高血圧症は狭心症の危険性を高めると考えられています。
高血圧症がある人は高血圧症のない人に比べて、どのくらい心筋梗塞(狭心症がさらに悪化して冠動脈が閉塞した状態)になりやすいのかを調べたデータがあるので以下に示します。
【高血圧による心筋梗塞への影響】
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男性 |
女性 |
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非高血圧患者に対する高血圧患者の心筋梗塞になりやすさ |
4.80倍 |
5.04倍 |
このデータを見る限りでも高血圧症を放置しておくと心筋梗塞になりやすいことがわかります。狭心症についても同じように気をつけなければなりません。
高血圧症がある場合に、どのくらいの血圧を目指して治療するのかに関しては、年齢や持病の有無によっても少し異なります。
【血圧の目標】
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医療機関での測定 |
自宅での測定 |
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持病のない人(74歳以下) |
140/90mmHg未満 |
135/85mmHg未満 |
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持病のない人(75歳以上) |
150/90mmHg未満 |
145/85mmHg未満 |
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糖尿病患者 |
130/80mmHg未満 |
125/75mmHg未満 |
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慢性腎臓病患者 |
130/80mmHg未満 |
125/75mmHg未満 |
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脳血管障害患者 |
140/90mmHg未満 |
135/85mmHg未満 |
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冠動脈疾患患者 |
140/90mmHg未満 |
135/85mmHg未満 |
これらは絶対的な数字ではありませんが、一つの目安としてください。血圧は薬物療法・食事療法・運動療法を適切に行うことで下がります。一方で、血圧を下げれば下げるほど良いというわけではありません。一体どのくらいが自分に適しているのかについて詳しく知りたい人は、主治医や産業医などに相談してみてください。
脂質異常症(高コレステロール血症)があると狭心症になりやすくなるか?
脂質異常症とは身体の中のコレステロールのバランスが乱れる状態のことを指します。具体的には次のことです。
- LDLコレステロールが高値:140mg/dL以上
中性脂肪 が高値:150mg/dL以上- HDLコレステロールが低値:40mg/dL未満
脂質異常症は動脈硬化を引き起こします。狭心症は動脈硬化によって起こりますので、脂質異常症がある場合にはそのままにしておくことはおすすめできません。薬物療法・食事療法・運動療法を適切に行うことで脂質異常症を改善します。
糖尿病があると狭心症になりやすくなるか?
糖尿病では
このように、糖尿病があると冠動脈が動脈硬化を起こし狭心症になりやすくなります。下の表は、糖尿病がある人は糖尿病のない人に比べて、どのくらい心筋梗塞になりやすいのかを調べたデータです。
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男性 |
女性 |
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2.90倍 |
6.12倍 |
特にHbA1cが8.0%を超える人や過去に虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)を罹患したことがある人は、血糖値を正常化することが大切です。
高尿酸血症があると狭心症になりやすくなるか?
高尿酸血症は血液中の尿酸値が7.0mg/dL以上になる状態です。この状態が続くと足の指関節などが痛くなる痛風になります。
高尿酸血症は狭心症の危険性を上昇させる可能性があります。一方で、心筋梗塞の原因になるとは言い切れないという意見もあります。高尿酸血症・痛風の治療
高尿酸血症がある場合は、生活習慣を改善して尿酸値を正常化することは、メタボリックシンドローム(腹部肥満、高血圧、耐糖能異常、脂質異常症)の改善にも効果を発揮するため、狭心症の予防につながると考えられます。
ストレスが多い人は狭心症になりやすいか?
ストレスは狭心症の危険性を高めると考えられています。
特に仕事上のストレスは健康状態に関与することが多いので、職場で心身にストレスを感じる人は働き方を見直す必要があります。場合によっては産業医に相談すると良いかもしれません。
また、適度な運動を行うこともとても大切です。人にもよりますが運動でストレスを発散できることがありますし、適度に身体を動かすことで、心筋梗塞の予防効果が期待できます。
身内の人に冠動脈疾患(家族歴)があると狭心症になりやすいか?
血のつながった身内に冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)になった人がいる場合には狭心症になりやすいと言えます。当てはまる人は特に規則正しい生活を心がけてください。また、持病がある人は治療を欠かさないように心がけてください。
アルコールは狭心症の危険性を高めるか?
一般的にアルコールは狭心症の原因とはならないと考えられています。しかし、過度な飲酒は心臓に負担がかかるため避けるようにしてください。量が過ぎれば治療の妨げになる可能性があるので禁酒するのが望ましいです。
3. どんな生活を心がければ良いのか
狭心症のリスクがある人や狭心症の予防に努めたい人は次のことを心がけるようにしてください。
- 適度な運動を行う
- 乱れた食生活を避ける
- 過度な飲酒を避ける
- 喫煙習慣がある場合は禁煙する
- 持病(特に高血圧症、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症)の薬を飲むのを忘れない
- 適度なストレス発散を心がける
- 仕事が大変なときは産業医に相談する
また、体調がおかしいなと思った場合には狭心症が疑わしい症状がないかを確認するようにしてください。(狭心症の症状に関してはこのページで詳しく説明しています。)もし、疑わしい症状がある場合には医療機関を受診してください。