きかんしぜんそく
気管支喘息
アレルギーなどで空気の通り道(気道)に炎症が起こることで、気道が狭くなってしまう病気
25人の医師がチェック 286回の改訂 最終更新: 2026.04.02

気管支喘息の注射、ゾレア®、ヌーカラ®、エキシデンサー®、ファセンラ®、デュピクセント®、テゼスパイア®はどんな薬?

重症の気管支喘息患者さんは、内服薬や吸入薬を多く使っていてもなかなか発作頻度を減らせない場合があります。そこで病院で定期的な注射を行うことがあります。ここでは、特殊な注射による治療薬に関して詳しく解説していきます。 

喘息の治療薬には非常に多くの種類があります。まずは日頃の喘息症状をコントロールし、喘息発作を起こさないようにするための薬剤の種類を列挙します。

  • 吸入ステロイド薬ICS:inhaled corticosteroid)
  • 長時間作用型β2刺激薬(LABA:long-acting beta2 agonist)
  • ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA:leukotriene receptor antagonist)
  • テオフィリン徐放製剤(SRT:sustained released theophylline)
  • 長時間作用性抗コリン薬(LAMA:long-acting muscarinic antagonist)
  • クロモグリク酸ナトリウム(DSCG:disodium cromoglycate)
  • 内服ステロイド薬(OCS:oral corticosteroid)
  • アレルギー薬(LTRAを除く)
  • 生物学的製剤(抗IgE抗体、抗IL-5抗体、抗IL-5受容体抗体、抗IL-4/13受容体抗体、抗TSLP抗体)

次に、発作の際に使用する治療薬の種類を列挙します。多くの薬剤は病院で使用するものになります。

  • 短時間作用型β2刺激薬(SABA:short-acting beta2 agonist)(自宅でも使用可能)
  • ブデソニド/ホルモテロール吸入薬(シムビコート®)の追加吸入(自宅でも使用可能)
  • SABAネブライザー吸入の反復
  • テオフィリン製剤の点滴静注
  • ステロイド薬の点滴投与
  • 抗コリン薬の吸入
  • アドレナリンの皮下注射
  • イソフルラン、セボフルラン等による全身麻酔

オマリズマブ(ゾレア®)は2009年に使用できるようになった、比較的新しい喘息治療薬です。IgEというアレルギー反応に関連したタンパク質に作用して効果を発揮します。2週間または4週間ごとに体重および血液中のIgE濃度に応じた量を皮膚に注射して使用します。体重やIgE値によっては使用できない患者さんもいます。

用量によりますが、1回の注射で5万円以上の薬価になることもあるのであまり気軽に使用できる薬ではありません(2024年10月現在)。吸入ステロイドを最大量使って、長時間作用型β2刺激薬なども併用したうえでなお治療がうまくいっていない場合などにゾレア®の使用を考慮されます。 

小児では6歳以上に使用できます。

もちろん5万円以上の薬価をそのまま支払うわけではありません。医療保険が適用されて3割や1割の自己負担になりますし、高額療養費制度の対象になることも多いでしょう。また地域によっては、条件付きで喘息に関連した治療費を助成していることもあります。いずれにしても、ゾレア®を使っていくかどうかという点は治療面でも経済面でも重要な決定と言えるでしょうから、使用を開始する前には主治医と十分に相談しましょう。

ゾレア®の副作用としては注射部位の痛みや腫れが主なものになりますが、まれに酷いアレルギー反応を起こすこともあります。

ゾレア皮下注150mgペンの基本情報・薬価などはこちら

メポリズマブ(ヌーカラ®)は2016年に使用できるようになった喘息治療薬です。体内のインターロイキン-5(IL-5)という物質を制御して、アレルギーと関連した白血球である好酸球を抑制するなどして気管支炎症を抑えます。4週間ごとに固定用量である100mgを皮膚に注射します。原則として血液中の好酸球数が一定値以上高い場合にしか使わない薬ですが、好酸球数や体重に依らず薬の使用量は一定となります。

4週間ごとの使用量である100mgあたり約17万円と非常に高価な薬剤です。吸入ステロイドを最大量使って、長時間作用型β2刺激薬なども併用したうえでなお治療がうまくいっていない場合などにヌーカラ®の使用を考慮されます。小児では6歳以上に使用できます。

デペモキマブ(エキシデンサー®)は2025年に承認された抗IL-5抗体です。ヌーカラ®とは作用時間が大きく異なり、26週間に1回の投与になります。小児では12歳以上に使用できます。

もちろん医療保険が適用されて3割や1割の負担になりますし、高額療養費制度の対象になることも多いでしょう。また地域によっては、条件付きで喘息に関連した治療費を助成していることもあります。いずれにしても、ヌーカラ®を使っていくかどうかという点は治療面でも経済面でも重要な決定と言えるでしょうから、使用を開始する前には主治医と十分に相談しましょう。

ヌーカラ®、エキシデンサー®の副作用としては注射した部位の皮膚が痛くなったり腫れたりすること、頭痛などが報告されています。稀に酷いアレルギー反応を起こすこともあります。

ヌーカラ皮下注100mgペンの基本情報・薬価などはこちら

ベンラリズマブ(ファセンラ®)は2018年に使用できるようになった喘息治療薬です。ヌーカラと同様に体内のインターロイキン-5(IL-5)という物質を制御して、アレルギーと関連した白血球である好酸球を抑制するなどして気管支の炎症を抑えます。1回30mgを4週間ごとに使用し、4回目以降は8週間ごとに使用することになります。血液中の好酸球数が一定値以上高い場合に特に効果が期待できますが、やはり高価な薬となります。

小児では6歳以上に使用できます。

ファセンラ皮下注10mgシリンジ の基本情報・薬価などはこちら
 

デュピルマブ (デュピクセント®)は2019年に使用できるようになった喘息治療薬です。この薬は2週間ごとに皮下注射して使用しますが、しっかりした患者さんであれば自分で家で注射してもよいのが特徴です。やはり高価な薬となります。他の注射薬との使い分けについては難しいところで、専門家の間でも議論が続けられています。

小児では6歳以上に使用できます。

デュピクセント皮下注300mgペンの基本情報・薬価などはこちら

テゼペルマブ (テゼスパイア®)は2022年に使用できるようになった喘息治療薬です。この薬は4週間ごとに皮下注射して使用しますが、しっかりした患者さんであれば自分で家で注射してもよいのが特徴です。やはり高価な薬となります。他の注射薬との使い分けについては難しいところで、専門家の間でも議論が続けられています。

小児では12歳以上に使用できます。

テゼスパイア皮下注310mgペンの基本情報・薬価などはこちら

喘息は長期的な治療が必要になることも多い病気なので、治療費の問題が気になるところと思います。特にゾレア®やヌーカラ®に関してはそのまま薬価分を支払えば、治療費を負担に感じない方はほとんどいないでしょう。

これらの治療費に関して補助が受けられるかどうかはケース・バイ・ケースと言わざるをえません。使える可能性がありそうな補助の制度に関して列挙し、簡単にご説明しましょう。

公害の関与が考えられるなどの喘息治療費や小児喘息の治療費に関して、自治体が一部または全部を負担してくれる制度です。補助される金額が大きいケースも多いので、在住の自治体での補助制度に関して調べ、主治医に相談してみましょう。

同一月に高額の治療費を支払った場合に、所得に応じて自己負担の上限額が決められている制度です。自己負担上限額を超える支払い分に関しては払い戻しがあります。所得の少ない方や、ゾレア®、ヌーカラ®といった高額治療薬を使用している方、入院治療をした方などは対象となるか調べてみましょう。
高額療養費制度について詳しくは厚生労働省のウェブサイトやこちらの「コラム」による説明を参考にしてください。

医療費の自己負担なく治療を受けることができます。

喘息そのものとはあまり関係ないかもしれませんが、65歳以上の患者さんでは介護が必要になるほどの状態であれば申請してみましょう。

かなり進行してしまった喘息患者さんや、COPDなど他の肺の病気が合併している方では、常に体内の酸素が足りないほど重症になっている場合があります。そのような場合には障害者手帳や障害年金を受け取れる可能性があるので、主治医に相談してみましょう。