2017.03.10 | ニュース

マイコプラズマの耐性対策ほか、効能など追加の4剤はどんな薬?

研究報告・インタビューフォームから

from Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology

マイコプラズマの耐性対策ほか、効能など追加の4剤はどんな薬?の写真

2017年3月2日に、すでに発売されている医療用医薬品4製品が新しい効能などの承認を取得しました。オゼックス、レブラミド、マキュエイド、エポプロステノールの新しい効能などを紹介します。

トスフロキサシン(商品名オゼックス®)は小児用のニューキノロン系抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がないです。

従来は肺炎球菌細菌の一種。肺炎、髄膜炎、中耳炎など、様々な感染症の原因となり、唾液などを通じて飛沫感染をするインフルエンザ菌細菌の一種で、髄膜炎などの原因となることがある。冬に感染が多発するインフルエンザ「ウイルス」とは別の病原体などを効能・効果としていましたが、新たに肺炎マイコプラズマ細菌の一種。肺炎や気管支炎の原因となることで知られている(マイコプラズマ・ニューモニエ)に対する効能・効果を追加されました。

富山化学工業株式会社の社内資料に記録された試験では、マイコプラズマ肺炎の小児患者を対象として使用したとき、33人中32人(97%)で有効と見られました。菌が消失するかどうかを調べた4人では4人とも菌が消失しました。うち2人はマクロライド耐性菌に抗菌薬が効きにくい性質のこと。ある菌に特定の抗菌薬が効かない場合、「この抗菌薬に耐性がある(耐性化している)」などと表現される株を持っていました。

マイコプラズマに対しては通常マクロライド系抗菌薬が優先的に使われます。しかし、近年はマイコプラズマの中にマクロライド系抗菌薬が効きにくい耐性株の割合が増加していることが問題になっています。マクロライド耐性株も消失したということは、トスフロキサシンがマクロライド耐性マイコプラズマに対しても有効である可能性を示唆します。

33人中5人に便秘などの副作用が現れました。

 

レナリドミド(商品名レブラミド®)はサリドマイド関連薬に分類される抗がん剤悪性腫瘍(がん)に効果を発揮する薬剤。ただし、がん以外の良性疾患に用いられることもあるです。

従来「多発性骨髄腫」と「5 番染色体遺伝情報の伝達を担う、DNAが集合してできた物質。ヒトは22対の常染色体と1対の性染色体をもつ長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群」を効能・効果としていましたが、新たに「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」が効能・効果に追加されました。

2016年に論文として報告された臨床試験では、急性型・リンパ腫型・予後病気の長期的な経過や、回復の見込み不良慢性型の成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)に罹患し、以前にATLに対する全身化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称を使用して疾患安定またはそれ以上の効果が得られたのち再発・再燃が起こった20歳以上の患者26人を対象とし、全員にレナリドミドを飲む治療が行われました。

26人中11人(42%)に奏功(がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるが少なくなる効果)が見られました

深刻な副作用の可能性があることとして、好中球血液中にある白血球の一種で、細菌や真菌に対する免疫を担っている減少、白血球血液の中にある血球の一種。免疫を担当しており、病原体が体内に入って来た時に、それと戦う役割を担う減少、リンパ球血液中にある白血球の一種で、免疫の役割を担っている。B細胞、T細胞、NK細胞に分かれ、それぞれ働き方が異なる減少、血小板血液中にある成分の1つ。出血が起こると、出血している部分に集まって出血を止める役割をもつ減少が見られました。

 

マキュエイド®硝子体内注用40mgは、ステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているに分類されるトリアムシノロンアセトニドの注射剤です。

従来の投与経路と効能・効果に加えて、新たにテノン嚢下投与による「糖尿病黄斑網膜の中心にあり、視力に大きく貢献している部分。「中心窩」と呼ばれる部分を含む浮腫体の部位がむくんだ状態のこと。血液から水分が周囲に漏れ出ることで、全体が腫れてむくみが生じる網膜眼球の内側を覆っている膜。目から入った光は網膜に届き、網膜が明るさや色を電気信号に変えることによって情報が脳に伝達される静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、非感染性ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫に対する浮腫軽減」の効能・効果が追加されました。

テノン嚢(テノンのう)とは、目の結膜眼の一部を薄く覆っている膜。まぶた(眼瞼)の裏側にある眼瞼結膜と、白眼(強膜)の表面を覆う眼球結膜があると強膜の間にある部分です。テノン嚢下注射によって、目の中身(硝子体)に針を刺さずに済む利点があります。

わかもと製薬株式会社の社内資料に記録された試験では、糖尿病黄斑浮腫の患者に対してマキュエイドのテノン嚢下注射を行いました。中心窩平均網膜厚という検査値を効果の指標としました。40mgの注射(30人)では注射しなかった場合(32人)と差が見られませんでしたが、20mgの注射をした場合(32人)に改善が見られました

副作用の可能性があることとして、特に多かったものが結膜出血、結膜充血、鼻咽頭炎、結膜浮腫、眼圧上昇、水晶体眼の中にある、カメラのレンズにあたる部位。厚さが調整されることで、近くのものや遠くのものがはっきり見えるようになる混濁でした。いずれも重度ではありませんでした。

エポプロステノールナトリウムを主成分とするエポプロステノール静注「静脈注射」の略。薬を注射や点滴で投与すること用0.5mg「ACTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査」は、プロスタグランジン製剤に分類され、肺動脈性肺高血圧症を効能・効果とする薬です。

新たに小児の用法・用量が追加されました。

アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社の社内資料に記録された試験では、小児の肺動脈性肺高血圧症患者3人に対して使用されました。肺血管抵抗係数(PVRI)の検査値が指標とされました。治療開始時と比べて、3人全員でPVRIの低下が見られました

3人全員に何らかの副作用が現れました。主な副作用は血小板減少(2人)、下痢(2人)、頭痛(2人)でした。

 

薬の用途が広がることにより、保険診療として新しい治療法が使えるようになります。効能・効果や副作用に対応して報告されているデータを参考に、従来の治療法と比較することで、ひとりひとりに合わせた治療選択の幅を広げることができます。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

オゼックス錠75・オゼックス錠150・オゼックス細粒小児用15% インタビューフォーム

マキュエイド硝子体内注用40mg インタビューフォーム

エポプロステノール静注用0.5mg「ACT」・エポプロステノール静注用1.5mg「ACT」 インタビューフォーム

Multicenter Phase II Study of Lenalidomide in Relapsed or Recurrent Adult T-Cell Leukemia/Lymphoma: ATLL-002.

[PMID: 27621400 ]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]