溶連菌性咽頭炎の基礎知識
POINT 溶連菌性咽頭炎とは
溶血性連鎖球菌(溶連菌)による感染がのどで起こった場合を溶連菌性咽頭炎といいます。溶連菌の中でもA群β溶連菌という種類による感染が多いです。主な症状はのどの痛み・発熱・だるさ・頭痛・首のリンパ節腫脹・リンパ節の圧痛(押すと痛む)・喉に白い膜(白苔)が張る、などです。咳や鼻水は出ないことが多いです。身体所見から推測することもできますが、診断を確定させるためには溶連菌の迅速検査や培養検査が行われます。治療にはペニシリン系抗菌薬が用いられますが、ペニシリン系にアレルギーがある人は他の抗菌薬(クリンダマイシンなど)を使用します。溶連菌性咽頭炎が心配な人や治療したい人は、小児科・一般内科・耳鼻咽喉科・感染症内科を受診して下さい。
溶連菌性咽頭炎について
- 鼻や口の奥にある部分を咽頭と言い、咽頭に起こった溶連菌(溶血性連鎖球菌)による
炎症 を溶連菌性咽頭炎という - 溶連菌の中でもA群β溶血性連鎖球菌という
細菌 による感染の割合が多く、症状も強いのが特徴 飛沫感染 や接触感染 で感染する- 感染してから症状が出るまでの期間(
潜伏期間 )は2-4日 - 主に4-15歳に見られ、学童初期に最も多い
- 成人にも起こる
- 溶連菌は咽頭以外にも感染を起こす
- 溶連菌咽頭炎の後に気をつけなくてはならない病気
溶連菌性咽頭炎の症状
- 主な症状
- のどの痛み
- 飲み込むときの違和感や痛み
- だるさ
- 頭痛
- 38度以上の発熱
- 首の
リンパ節 の腫れと痛み
- その他の症状
- 筋肉痛
- 食欲不振
発疹 - 白い斑点を伴うのどの赤み
- 腹痛
- 吐き気
- 体全体に出来る赤くて小さな発疹
- 舌に小さなブツブツしたもの(イチゴ舌)
- 出現しにくい症状(溶連菌
感染症 以外のかぜの時に出やすい症状)- 鼻水
- 咳
溶連菌性咽頭炎の検査・診断
細菌検査 - 綿棒を使ってのどの分泌物を検査することで、A群β溶連菌性咽頭炎かを調べることができる溶連菌抗原迅速キットがある
- 38度以上の発熱・首の
リンパ節 の腫れと痛み・喉の奥の白苔があること・咳がないこと・15歳未満の5項目に注目してA群β溶連菌感染症 の迅速検査を行うかを判断する - 3歳未満の幼児は溶連菌咽頭炎やその
合併症 の頻度が低いので、周りでとても流行っているなど、疑いが強い場合以外は検査をしないことも多い
- 血液検査
- 他に疑われる病気がないかや、
炎症 の程度を調べる必要があるときに実施される
- 他に疑われる病気がないかや、
溶連菌性咽頭炎の治療法
- 治療
抗生物質 が良く効く- ペニシリン系の抗生物質を10-14日間使用する
- ペニシリンに
アレルギー のある場合はクリンダマイシンなどの他の薬を使用する
- 注意事項
- 登校再開の目安
- 熱がある場合の登校は控える
- 熱がない場合でも、抗生物質を使用開始から24時間以内は周囲へ感染を広げるリスクがあるため登校を控える
溶連菌性咽頭炎の経過と病院探しのポイント
溶連菌性咽頭炎が心配な方
溶連菌性咽頭炎は発熱とのどの痛みが特徴です。咳や鼻水は出ることもありますが目立ちません。溶連菌性咽頭炎は、いわゆる「のどかぜ」の一種です。
上記のような症状に該当してご心配な方は内科、耳鼻科、小児科のクリニックでの受診をお勧めします。
溶連菌性咽頭炎は、問診と診察で診断をする病気です。必要に応じて検査キットを使用することもあります。のどの奥に細い綿棒を入れて粘液をこすりとり、それを用いると5分から15分ほどで検査の結果が分かります。診断の精度は100%ではありませんので、あくまでも問診と診察が基本ですが、参考のために行われることのある検査です。特に小児科のクリニックなどでは、このような検査キットを準備しているところが多いでしょう。
溶連菌性咽頭炎でお困りの方
溶連菌性咽頭炎は、抗生物質を内服することで治療します。のどかぜの一種であり抗生物質を使用しなくても自然に治る病気ではありますが、まれに治った後にリウマチ熱という病気や急性糸球体腎炎という腎臓の病気を誘発してしまうことがあります。抗生物質を内服することによって治癒までの期間が短くなることと、このリウマチ熱になるリスクを低下させることができます。