しんけいないぶんぴつしゅよう
神経内分泌腫瘍
神経内分泌細胞から発生する腫瘍で、ホルモンを過剰に産生して特有の症状を出すこともある
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最終更新: 2020.12.17
神経内分泌腫瘍の基礎知識
POINT 神経内分泌腫瘍とは
神経内分泌細胞はホルモンなどを分泌する細胞のことです。膵臓や消化管(胃や小腸、大腸など)にできることが多いですが、下垂体や甲状腺、副甲状腺、副腎にもできます。神経内分泌腫瘍はホルモンを過剰に作り出して、特有の症状が現れ、腫瘍のタイプによって症状がかわります。例えば、インスリノーマであれば、低血糖にともなう症状(手足の震えや意識の消失)が現れ、ガストリノーマであれば胃や十二指腸に潰瘍ができます(詳しくは下記の「神経内分泌腫瘍の症状」を参考)。神経内分泌腫瘍が疑われる人には血液検査や尿検査、画像検査、病理検査が行われて詳しく調べられます。手術によって腫瘍をと乗り除くことが治療として有効ですが、手術で取り切れない場合には薬で治療されます。神経内分泌腫瘍は消化器外科や内分泌内科などで検査や治療が行われます。
神経内分泌腫瘍について
- ほとんどは膵臓や
消化管 に発生する 下垂体 、甲状腺 、副甲状腺、副腎などに発生することもあるホルモン を産生し、そのホルモン過剰による症状が現れる「機能性 」と、そういった症状のない「非機能性」に分けられる- 「機能性」の場合、分泌するホルモンによって分類され、症状も異なる
- 機能性神経内分泌腫瘍はホルモン過剰による症状で見つかることが多い
- 診断が難しい。最初にホルモン過剰による症状が出てから、診断までに5-7年かかるという報告がある
- 非機能性神経内分泌腫瘍は基本的に症状がなく、検診や別の目的で行った
CT や内視鏡 検査で見つかることが多い - インスリノーマは90%が
良性 で転移 が少ないが、他の腫瘍 は悪性度 が高く、転移が多い - 多発性内分泌腫瘍1型やフォン・ヒッペル・リンドウ(von Hippel-Lindau, VHL)病に
合併 することがある
神経内分泌腫瘍の症状
神経内分泌腫瘍の検査・診断
- 血液検査:血中の
ホルモン を調べる - 尿検査:尿中のホルモンを調べる
- 画像検査:
腫瘍 の状態を調べる腹部超音波検査 :腫瘍の大きさや位置を調べるCT 検査:腫瘍の大きさや位置のほか、造影 可能であればダイナミック造影CT検査を行い、神経内分泌腫瘍に特徴的な造影パターンがあるかどうかを調べるMRI 検査:腫瘍の大きさや位置、腫瘍の性状などを詳しく調べるPET検査 :腫瘍がブドウ糖 を取り込む性質を利用して、検査薬を注射した後に画像を撮影し、腫瘍の位置を調べる- ソマトスタチン受容体
シンチグラフィ :神経内分泌腫瘍に存在するソマトスタチン受容体に結合する物質(オクトレオチド)を注射し、数時間してから画像を撮影して腫瘍の位置を調べる
- 病理組織検査
生検 や手術で採取した組織を顕微鏡で詳しく調べることで、診断が確定される- 手術で摘出した後に診断が判明することもある
神経内分泌腫瘍の治療法
- 手術は唯一完治が期待出来る治療法である
腫瘍 の場所や種類によるが、転移 がなく手術で全て摘出できれば完治する可能性もある消化管 神経内分泌腫瘍では、腫瘍の部位や大きさによっては内視鏡 治療も選択肢となる
遠隔転移 がある場合や手術で取りきれない場合には薬剤を中心とした集学的治療が行われる- 生物学的製剤(ソマトスタチンアナログ)
- 分子標的薬(エベロリムス、スニチニブ)
抗がん剤 (ストレプトゾシン)- 肝転移に対する局所治療(ラジオ波焼灼術、肝動脈
塞栓 術) - 骨転移や脳転移に対する
放射線治療
神経内分泌腫瘍のタグ
神経内分泌腫瘍に関わるからだの部位






