かるちのいど
カルチノイド、カルチノイド症候群
悪性度の低い神経内分泌腫瘍をカルチノイドと呼び、それに伴って起こる一連の症候群をカルチノイド症候群とよぶ
5人の医師がチェック 34回の改訂 最終更新: 2018.01.23

カルチノイド、カルチノイド症候群の基礎知識

POINT カルチノイド、カルチノイド症候群とは

神経内分泌細胞と呼ばれる細胞が腫瘍化したものを神経内分泌腫瘍(NET)と呼びます。NETは膵臓や胃腸、肝臓、肺などにできることが多いです。悪性度の低いものに関してはカルチノイドと呼ばれることがあり、良性のものも悪性のものもあります。また、腫瘍がセロトニンという物質などを分泌することにより、腹痛、下痢、嘔吐、動悸、顔面の紅潮など多彩な症状が起こることがあります。症状や画像検査(CT、MRI)などからカルチノイドおよびカルチノイド症候群を疑い、腫瘍そのものを顕微鏡で見ることでカルチノイドと確定診断します。治療は手術が基本になりますが、腫瘍が取りきれない場合や、患者さんが手術に耐えられない場合は薬物治療や放射線治療、ラジオ波、カテーテル治療などを行います。カルチノイド・カルチノイド症候群が心配な方、治療したい方は消化器内科、呼吸器内科など、腫瘍がある部位の専門科を受診してください。

カルチノイド、カルチノイド症候群について

  • 神経内分泌腫瘍のうち悪性度の低いものをカルチノイドと呼ぶことがある
    • 近年はNETと呼ばれることが多く、カルチノイドという用語は使われなくなってきている
    • 肺にできたNETは現在もカルチノイドと呼ぶことが多い
    • カルチノイド良性腫瘍または悪性度の低い悪性腫瘍がん)であり、悪性度の高い神経内分泌腫瘍は神経内分泌がんと呼ぶ
      • 代表的な神経内分泌がんとして小細胞がある
  • カルチノイドから、セロトニンをはじめヒスタミンなどの生理活性物質が過剰に産生されると、気管支の収縮や血管の拡張、消化管の運動の亢進などが起こる
    • それによって起こる、下痢、腹痛、嘔吐、皮膚の紅潮、喘息のような症状(喘鳴など)をあわせてカルチノイド症候群と呼ぶ
    • 三尖弁肺動脈弁と呼ばれる、心臓の中の逆流防止弁がダメージを受けて心不全になることもある

カルチノイド、カルチノイド症候群の症状

カルチノイド、カルチノイド症候群の検査・診断

  • 尿検査:ホルモンの量を検査
  • 画像検査:腫瘍について検査を行う
    • 上部内視鏡検査下部内視鏡検査気管支内視鏡検査(腫瘍のある部位に応じた検査)
    • 腹部超音波検査
    • 超音波内視鏡検査
    • CT検査
    • MRI検査
  • 必要に応じて生検を行い顕微鏡で腫瘍を検査し診断を確定する

カルチノイド、カルチノイド症候群の治療法

  • 手術による摘出が第一選択となる
    • 内視鏡で切除可能な場合もある
    • 転移が有る場合は,肝部分切除,ラジオ波焼灼術、腫瘍塞栓術などが行われることもある
  • 手術が適さない場合には薬物治療を検討する
    • ソマトスタチンアナログ(サンドスタチン®)
    • 分子標的薬
    • 化学療法抗がん剤