たこつぼ型心筋症とは
たこつぼ型心筋症とは一時的に心臓の収縮が悪くなる病気です。急に胸が痛くなったり呼吸が苦しくなったりと、心筋梗塞によく似た症状が現れます。たこつぼ型心筋症のほとんどの人が1ヶ月以内に自然と
目次
1. たこつぼ型心筋症とはどのような病気か
たこつぼ型心筋症とは、心尖部(しんせんぶ)と呼ばれる心臓の先端部分が収縮しなくなる病気です。左室
たこつぼ型心筋症はどんな人に多いか
たこつぼ型心筋症は中高年の女性に多い病気です。平均年齢は約60歳で、87-90%が女性といわれています。また、
◎身体的ストレス:
呼吸不全や脳神経疾患、外科手術などの身体的な負担がたこつぼ型心筋症の引き金になるといわれています。具体的な病気は、気管支喘息や脳卒中、筋萎縮性側索硬化症など多岐にわたります(脳卒中のときに生じる心筋症をたこつぼ型心筋症に含まない、とする
◎精神的なストレス:災害や死別など
災害や、肉親や友人の死などの精神的ストレスがあったときに、たこつぼ型心筋症を発症したとの報告が多数あります。国内では、新潟県中越沖地震直後の被災地周辺でたこつぼ型心筋症を発症した人が急増したことが知られています。
2. たこつぼ型心筋症の症状について
たこつぼ型心筋症の主な症状は下記の3つです。
- 胸痛
- 呼吸困難
失神
これらは心筋梗塞でも起こりうる症状です。症状だけでは区別が困難であり、心筋梗塞であれば速やかな治療が必要なので、上記の症状が現れたらいち早く受診してください。
3. たこつぼ型心筋症の検査について
たこつぼ型心筋症が疑われる人は主に下記のような検査を受けます。
【たこつぼ型心筋症の主な検査】
- 血液検査
心電図検査 胸部レントゲン 検査心臓超音波検査 (心臓エコー )冠動脈CT検査 心臓カテーテル 検査
医療機関を受診すると、まずは
冠動脈CT検査や心臓カテーテル検査は、たこつぼ型心筋症をみつけるのに鍵となる検査ですが、馴染みのない人がほとんどだと思いますので説明します。
冠動脈CT検査とは
心筋梗塞と見分けるための検査です。造影剤という薬剤を注射後に
心臓カテーテル検査とは
心臓カテーテル検査とは、医療用の細長い管(カテーテル)を血管内に挿入して心臓を調べる検査です。造影剤という薬剤を投与しながら
4. たこつぼ型心筋症の治療について
ほとんどの人は特別な治療をしなくても改善します。しかし、
【重症になりやすい合併症の頻度と治療】
合併症 | 頻度 | 主な治療法 |
心不全 | 約20% | 水分と塩分の制限、利尿薬、 補助循環装置( |
左室流出路狭窄 | 約15% | 水分と塩分の補充、β遮断薬など |
心室性不整脈 | 約5% | 不整脈を誘発する薬剤の中止、 低カリウムの補正(カリウムの内服や点滴) |
心臓内 |
約3% |
治療の詳細について知りたい人はこちらのページを参照してください。
5. たこつぼ型心筋症は再発するのか
たこつぼ型心筋症が治った後に再発した人は1年あたり1.8%だったという報告があります。全くないわけではありませんが、再発はほとんどないといえます。
参考文献
・明石嘉浩. たこつぼ心筋障害の臨床像と
・坂本信雄ら. たこつぼ心筋障害の
・Templin.C et al.Clinical features and outcomes of takotsubo (stress) cardiomyopathy.N Engl J Med. 2015 373(10)929-938.