2015.11.08 | ニュース

突然の胸痛で見つかる「たこつぼ型心筋症」、ほかの病気との関係は?

患者1,750人の統計から

from The New England journal of medicine

突然の胸痛で見つかる「たこつぼ型心筋症」、ほかの病気との関係は?の写真

たこつぼ型心筋症は、心臓の動きが急激に悪くなり、画像検査で心臓がたこつぼのような形に見えることで知られる病気です。ともなって起こりやすい症状や経過を集計した結果が報告されました。

◆患者の特徴を集計

たこつぼ型心筋症は突然の胸痛で見つかり、心電図などの検査では心筋梗塞と似た特徴がありますが、超音波検査などの画像が見分ける役に立つと言われています。

突然死の原因になりやすい心筋梗塞とは違い、手術やカテーテル治療をしなくても症状が治まる場合が多いと言われています。

この研究は、ヨーロッパとアメリカのたこつぼ型心筋症の患者のデータを集め、急性冠症候群(心筋梗塞など)の患者と比較することで、たこつぼ型心筋症の特徴を調べました。

 

◆神経・精神、心血管系との関連

次の結果が得られました。

たこつぼ型心筋症の患者1,750人のうち、89.8%が女性だった(平均年齢は66.8歳)。

たこつぼ型心筋症の患者のうちでは、急性冠症候群の患者に比べて、神経学的または精神医学的障害の率が高く(55.8% vs 25.7%、P<0.001)、平均の左室駆出率は目立って低かった(40.7±11.2% vs 51.5±12.3%、P<0.001)。

長期フォローアップの間に、主要な心臓および脳血管のイベントの発生率は人年あたり9.9%であり、死亡率は人年あたり5.6%だった。

たこつぼ型心筋症の患者は90%近くが女性で、平均年齢はおよそ67歳でした。神経の異常や精神の問題をともなっている場合が半数以上であり、心臓の運動が小さい傾向がありました。

たこつぼ型心筋症の発症後、心筋梗塞や脳卒中などが年間10%近い率で発生していました

 

たこつぼ型心筋症の原因は正確にはわかっていませんが、典型的な経過の情報があることで、正しく診断し、長期的に注意するべき点を考える役に立つかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Clinical Features and Outcomes of Takotsubo (Stress) Cardiomyopathy.

N Engl J Med. 2015 Sep 3

[PMID: 26332547]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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