まんせいふくびくうえん(ちくのうしょう)
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
急性副鼻腔炎が治りきらずに慢性化したもの。一般的には蓄膿症と呼ばれることも多い
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最終更新: 2025.01.20
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の基礎知識
POINT 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とは
顔の骨の中にある副鼻腔に炎症がおきた状態です。副鼻腔は通常、小さな穴によって鼻の中とつながっていますが、炎症で穴が閉じると、副鼻腔内に粘液が溜まるようになり、鼻づまり、鼻水、咳、のどに鼻水が落ちるような症状がでるようになります。3ヶ月以上続く場合を慢性副鼻腔炎と診断します。炎症の原因は、細菌感染、奥歯の炎症、喘息などを起こす好酸球という細胞などです。診断は画像検査を行い、治療は抗菌薬、去痰剤などを使用しますが、3ヶ月でも症状が改善しない場合は、希望に応じて手術を行なうこともできます。現在は内視鏡で、顔には傷をつけずに手術を行うことができます。ポリープ(鼻茸)がある場合や、好酸球が原因になる場合は内服加療で改善しにくく、手術を必要とすることが多いです。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)について
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の症状
- 鼻づまり
- 鼻呼吸がしづらかったり、鼻をかんでもすっきりとしない
膿 の混じった悪臭を伴う鼻水- 粘りのあるどろっとした鼻水であることが多い
- 喉の奥に鼻水がたれ込むこともある(後
鼻漏 )
- 頭痛、顔面の痛み:感染している副鼻腔によって痛む場所が変わる
- 上顎洞の
炎症 :頬部の痛み - 篩骨洞の炎症:眼の内側の痛み
- 前頭洞の炎症:おでこの痛み
- 蝶形骨洞の炎症:頭痛や頭重感
- 副鼻腔は左右で対になっているが、片側のみに
発症 する
- 上顎洞の
- 嗅覚の低下
- 味覚も低下して感じられることがある
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の検査・診断
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療法
抗菌薬 を使用する- マクロライド系抗菌薬には、原因となっている菌に対する効果と粘膜機能改善効果の2つの意味合いがある
- しかし、マクロライド系抗菌薬を使用してもしなくても、治療効果に差がなかったというデータも出ており、抗菌薬の使用は慎重に判断することが必要
- 鼻洗浄
- 薬物による治療の効果が乏しい場合は手術を行う
内視鏡 で鼻の内側から副鼻腔の中身を排出する方法があり、顔に傷をつけなくて済む場合が多い
アレルギー が原因の好酸球性副鼻腔炎の場合にはステロイド薬 の内服を行う
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に関連する治療薬
去痰薬
- 病原体や異物などを痰や鼻汁によって体外へ排出しやすくすることで気管支の炎症や喘息、慢性副鼻腔炎などによる症状を和らげる薬
- 痰や鼻汁には粘性の分泌物が含まれ、粘膜保護や異物をからめとり排出する作用などがある
- 粘性の分泌物が気道や鼻腔でつまると咳や蓄膿症などを誘発する場合もある
- 本剤は気道分泌促進作用、粘液などの排出促進作用などをあらわす
- 本剤は薬剤の作用などにより、気道粘液分泌促進薬や喀痰溶解薬などに分けられる
マクロライド系抗菌薬
- 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
- 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
- タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
- 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
- マイコプラズマやクラミジアなどの菌に対しても高い抗菌作用をあらわす
- 服用する際、比較的苦味を強く感じる場合がある