まんせいふくびくうえん(ちくのうしょう)
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
急性副鼻腔炎が治りきらずに慢性化したもの。一般的には蓄膿症と呼ばれることも多い
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最終更新: 2026.04.01
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の基礎知識
POINT 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とは
顔の骨の中にある空間(副鼻腔)に長引く炎症が起こる病気です。副鼻腔はふだん、鼻の中(鼻腔)と小さな通り道でつながっており、空気の出入りや分泌物の排出が行われています。ところが炎症でこの通り道が狭くなると、副鼻腔の中に粘液や分泌物がたまりやすくなります。その結果、鼻づまりや、鼻水、咳、後鼻漏(のどに鼻水が落ちる感じ)などの症状が現れます。これらの状態が3か月以上続くと、慢性副鼻腔炎と診断されます。原因はひとつとは限らず、細菌感染が関与するタイプのほか、歯の炎症がきっかけになるタイプ(歯性上顎洞炎)、好酸球という細胞が関与するタイプ(好酸球性副鼻腔炎)などがあります。診断には症状や鼻の中の所見に加えて、必要に応じて画像検査(CTなど)で副鼻腔の状態を確認します。病型と症状に合わせて治療を行い、去痰薬(粘液調整薬)や点鼻薬などを組み合わせ、急性増悪など細菌の関与が疑われる場合には抗菌薬を用いることもあります。薬や外来治療を続けても症状が十分に改善しない場合は、希望や病状に応じて手術が選択肢になります。現在は多くの場合、内視鏡を用いて鼻から行う手術が中心でです。なお、鼻茸(ポリープ)がある場合や、好酸球性副鼻腔炎など病型によっては、内服治療だけでは改善しにくく、手術を含めた治療が必要になることがあります。慢性副鼻腔炎が心配な人は耳鼻咽喉科を受診してください。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)について
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の症状
- 鼻づまり
- 鼻呼吸がしづらかったり、鼻をかんでもすっきりとしない
膿 の混じった悪臭を伴う鼻水- 粘りのあるどろっとした鼻水であることが多い
- 喉の奥に鼻水がたれ込むこともある(後
鼻漏 )
- 頭痛、顔面の痛み:感染している副鼻腔によって痛む場所が変わる
- 上顎洞の
炎症 :頬部の痛み - 篩骨洞の炎症:眼の内側の痛み
- 前頭洞の炎症:おでこの痛み
- 蝶形骨洞の炎症:頭痛や頭重感
- 副鼻腔は左右で対になっているが、片側のみに
発症 する
- 上顎洞の
- 嗅覚の低下
- 味覚も低下して感じられることがある
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の検査・診断
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療法
抗菌薬 を使用する- マクロライド系抗菌薬には、原因となっている菌に対する効果と粘膜機能改善効果の2つの意味合いがある
- しかし、マクロライド系抗菌薬を使用してもしなくても、治療効果に差がなかったというデータも出ており、抗菌薬の使用は慎重に判断することが必要
- 鼻洗浄
- 薬物による治療の効果が乏しい場合は手術を行う
内視鏡 で鼻の内側から副鼻腔の中身を排出する方法があり、顔に傷をつけなくて済む場合が多い
アレルギー が原因の好酸球性副鼻腔炎の場合にはステロイド薬 の内服や、鼻茸(鼻のポリープ)を切除する手術を行うが、再発を繰り返すことが多い- 鼻茸(鼻のポリープ)を伴う慢性副鼻腔炎において、手術による治療歴がある場合、全身状態の問題等で手術が施行できないが、全身性ステロイド薬で効果が不十分/全身性ステロイド薬を使用できない場合には、生物学的製剤が用いられることがある
- メポリズマブ(商品名:ヌーカラ)
- デペモキマブ(商品名:エキシデンサー)
- デュピルマブ(商品名:デュピクセント)
- テゼペルマブ(商品名:テゼスパイア)
- いずれも薬価が非常に高い
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に関連する治療薬
去痰薬
- 病原体や異物などを痰や鼻汁によって体外へ排出しやすくすることで気管支の炎症や喘息、慢性副鼻腔炎などによる症状を和らげる薬
- 痰や鼻汁には粘性の分泌物が含まれ、粘膜保護や異物をからめとり排出する作用などがある
- 粘性の分泌物が気道や鼻腔でつまると咳や蓄膿症などを誘発する場合もある
- 本剤は気道分泌促進作用、粘液などの排出促進作用などをあらわす
- 本剤は薬剤の作用などにより、気道粘液分泌促進薬や喀痰溶解薬などに分けられる
マクロライド系抗菌薬
- 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
- 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
- タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
- 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
- マイコプラズマやクラミジアなどの菌に対しても高い抗菌作用をあらわす
- 服用する際、比較的苦味を強く感じる場合がある