ふくびくうのうほう
副鼻腔のう胞
副鼻腔にのう胞が生じ、それが大きくなりながら骨を圧迫したり、壊したりする病気
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最終更新: 2018.04.05
副鼻腔のう胞の基礎知識
POINT 副鼻腔のう胞とは
顔の鼻の周りにある副鼻腔という骨で囲まれた空間に、液体成分を含んだ袋(のう胞)ができる状態です。原因は、以前の慢性副鼻腔炎の手術が最も多く、その他に顔の怪我や感染などです。のう胞は徐々に大きくなり、まわりの骨を圧迫、破壊し、ゆっくり症状が進行します。症状はのう胞の場所で異なります。鼻や目、額に鈍い痛みが起きたり、目が見えにくくなったり、かすんだり、複視(物が二重に見えること)が起こります。診断は副鼻腔CT検査などの画像検査を行います。治療は感染して痛みを伴う場合は抗菌薬や痛み止めを使用し、痛みや感染などを繰り返す場合は、手術でのう胞を取り除きます。稀に急激に視力低下や複視などの症状が出て手術が必要になることがあります。以前に慢性副鼻腔炎の手術をしていて、頰の痛みなどが続く場合には耳鼻咽喉科で検査を受けてみてもいいかもしれません。
副鼻腔のう胞について
- 副鼻腔のう胞は副鼻腔(顔の骨の中にある空洞)に液体を入れた
のう胞 ができる病気です - 副鼻腔は鼻の周りにある骨に囲まれた空間のことです
- 上顎洞(じょうがくどう):頰の内側にある副鼻腔
- 前頭洞(ぜんとうどう):額の内側にある副鼻腔
- 篩骨洞(しこつどう):目の間にある副鼻腔
- 蝶形骨洞(ちょうけいこつどう):目や鼻の奥にある副鼻腔
- 副鼻腔のう胞は上顎洞に最も多くできます
- 原因は下記のものがあります
- のう胞はゆっくり大きくなるため、症状が現れるのは
嚢胞 がかなり大きくなってからです
副鼻腔のう胞の症状
のう胞 ができた副鼻腔によって症状が異なります- 上顎洞できた場合には、主に頰や口に症状が現れます
- 前頭洞にできた場合には、主に額や目に症状が現れます
- 篩骨洞や蝶形骨洞にできた場合には、主に目の症状が現れます
- 主な症状
- 頰や額の症状
- 頰や額の腫れ
- 頰や額の痛み
- 頰や額の痺れ
- 目の症状
- 目の圧迫感
- 目の周囲の痛み
- 眼球突出:眼が前方に飛び出ているかのように大きく見える
- 視力低下
- ものが二重に見える
- 涙が出やすくなる
- 口の症状
- 歯の痛み
- 歯が浮いたような感覚
- 歯茎の痺れた感覚
- 歯茎の腫れ
- 頰や額の症状
- 急激に悪化する急性期と、ゆっくりと進行する慢性期で症状は異なります
- のう胞に感染を起こすと急激に悪化します
- 篩骨洞や蝶形骨洞にできたのう胞では症状がなく長期間経過して、突然視力低下などが現れることがあります
- 急性期には、突然の歯の痛み、頰の痛み、頰の腫れが現れます
- 慢性期には、のう胞がある部分の鈍い痛み、違和感、痺れ、腫れなどを感じます
副鼻腔のう胞の検査・診断
問診 で以前に慢性副鼻腔炎の手術をしたかどうかを聞かれます- 目の症状がある場合には、目の動きや視力などを調べます
- 画像検査:
のう胞 の大きさや位置などを調べます- 副鼻腔
CT 検査- のう胞があるかと、のう胞の大きさなどを調べます
- 周囲の骨をどの程度破壊しているかを調べます
- 副鼻腔
MRI 検査- 必要に応じて行います
- のう胞の内部を観察することができます
- 副鼻腔
副鼻腔のう胞の治療法
- 急性期の治療
- 痛みが強い場合には鎮痛薬を使います
- 感染が起きている場合には
抗菌薬 を使うことがあります - 腫れや痛み、目への圧迫症状が強い場合には、
のう胞 に針を刺して内部の液体を抜く治療を行います
- 慢性期の治療
- 無症状で画像検査などで偶然発見された場合には、手術は行わず
経過観察 となることがほとんどです - 感染を繰り返す場合や、のう胞が大きくなって周りの構造物を圧迫している場合には手術を考慮します
- 手術は
内視鏡 を使って鼻の穴から行う方法と、歯茎や顔の皮膚を切って行う方法があります- のう胞の位置や、のう胞を囲む骨の厚さなどで手術方法を決めます
- 無症状で画像検査などで偶然発見された場合には、手術は行わず
- 緊急手術が必要な場合
- 稀に副鼻腔のう胞が原因となって、急激に視力低下を起こすことがあります
- のう胞で視神経(視力の神経)が圧迫されたり、
炎症 を起こすことが原因です - 急激な視力低下を起こした場合には、のう胞の手術を48時間以内に行うことで、視力が回復することがあります
- 視力低下の原因は様々ですので、急激に視力が低下した場合には、原因を調べて早く治療を行うために、まずは眼科に受診してください