ふくびくうしゅよう(びふくびくうしゅよう)
副鼻腔腫瘍(鼻副鼻腔腫瘍)
副鼻腔という鼻の周囲にある骨で囲まれた空間に腫瘍ができる疾患。がん(悪性腫瘍)から、特に治療の必要ない良性腫瘍までを含めた総称のこと。
7人の医師がチェック 76回の改訂 最終更新: 2018.06.04

副鼻腔腫瘍(鼻副鼻腔腫瘍)の基礎知識

POINT 副鼻腔腫瘍(鼻副鼻腔腫瘍)とは

副鼻腔腫瘍は副鼻腔という鼻の周囲にある骨に囲まれた空間にできる良性や悪性腫瘍のことです。最初は無症状ですが、大きくなると鼻づまり、鼻水、鼻血、頰や額の違和感や腫れなどの症状が現れます。診断をつけるために、鼻に細いカメラをいれて腫瘍を観察したり、CT検査やMRI検査で腫瘍の広がりや内部を観察します。診断を確定するために鼻の中から腫瘍の一部を切り取って、顕微鏡でみる検査を行うことがあります。主な治療は手術での摘出です。良性腫瘍であっても手術が必要になることがあります。悪性腫瘍の治療は腫瘍の種類によって、手術、抗がん剤による化学療法、放射線療法を組み合わせて行います。副鼻腔腫瘍の症状は鼻水や鼻づまりなどで、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎と同じ症状のため、症状のみでは見分けが難しいことがあります。長引く鼻水や鼻づまりがある場合は、一度耳鼻咽喉科で検査をしてもらってください。

副鼻腔腫瘍(鼻副鼻腔腫瘍)について

  • 副鼻腔または鼻腔にできる腫瘍
    • 副鼻腔は鼻の周囲にある骨に囲まれた空間
    • 鼻腔は鼻の穴から、鼻の奥までの空間
    • 鼻副鼻腔腫瘍は、がんなどの悪性腫瘍から、特に治療の必要ない良性腫瘍まで色々な病気を含みます
    • 鼻にできた腫瘍の半分は良性腫瘍ですが、副鼻腔にできた腫瘍の多くは悪性腫瘍です
    • 副鼻腔のうち腫瘍ができるのは上顎洞が最も多く、次に篩骨洞にできます
      ・上顎洞は鼻の横から頰に広がる空間です
      ・篩骨洞は目の間にある空間です
  • 腫瘍の種類
  • 主な原因
    • 喫煙
    • 特定の化学物質にさらされる職場環境:金属メッキ加工業、大工業
    • ヒトパピローマウイルスの感染
  • 男性に多い
    • 中年期以降に多い
  • アレルギー性鼻炎慢性副鼻腔炎など、常に鼻水や鼻づまりの症状がある場合は、腫瘍の存在に気づくのが遅れることがあります
    • 片側の鼻水や鼻づまりがある場合には腫瘍の可能性があります

副鼻腔腫瘍(鼻副鼻腔腫瘍)の症状

  • 通常は腫瘍がある片側のみに症状が現れます
    • 例外として下記の病気は両側の症状になることもあります
      ・嗅神経芽細胞腫(きゅうしんけいがさいぼうしゅ):嗅神経からできる悪性腫瘍
      ・若年性血管線維腫(じゃくねんせいけっかんせんいしゅ):思春期男性に多い良性腫瘍
  • 良性腫瘍では多くの場合は鼻の症状のみが現れます
    • 腫瘍が大きくなると周囲の構造物(目など)を圧迫した症状が現れます
    • 痺れなどの症状はあまり現れません
  • 悪性腫瘍では色々な症状が現れます
    • 腫瘍の広がる方向によって現れる症状が異なります
  • 主な症状
    • 鼻の症状
      ・鼻づまり
      ・鼻水
       ・のような鼻水
       ・血の混じる鼻水
       ・鼻の奥に流れる鼻水:鼻の手前ではなく奥に流れる鼻水もある
      ・鼻の中にしこりがある
    • 口の症状:鼻から下の方向へ広がった場合
      ・口、歯茎が腫れる
      ・口、歯茎、歯が痛い
      ・口、歯茎が痺れる
      ・歯のぐらつく
      ・入れ歯が合わなくなる
    • 頰の症状:頰の方向へ広がった場合
      ・頰が腫れる
      ・頰が痛い
      ・頰が痺れる
    • 目の症状:目の方向へ広がった場合
      ・物が二重に見える
      ・目が突出する
      ・左右の眼球が違う方向を向く
    • 耳の症状:鼻の奥に広がった場合
      ・耳が痛い
      ・耳が塞がった感じがする
      ・耳の聞こえが悪くなる
    • 頭痛

副鼻腔腫瘍(鼻副鼻腔腫瘍)の検査・診断

  • 前鼻鏡検査
    • 鼻の穴から光を当てて鼻の内部を調べます
    • 大きな腫瘍は見えることがありますが、小さな腫瘍や、鼻の奥にある腫瘍は見えません
  • 鼻腔ファイバースコープ検査
    • 鼻の穴から細いカメラを入れて鼻の中を観察します
  • 画像検査:鼻腔、副鼻腔、上咽頭に異常がないかを調べる 
    • レントゲン検査(X線検査
      ・腫瘍の有無や副鼻腔を囲む骨が壊れていないかを調べる
      ・小さな腫瘍は観察できないことがあります
    • 頭部〜頸部CT検査
      ・腫瘍の大きさや周りへの広がり、骨の破壊がないかなどを調べる
      造影剤を使った検査では、出血を起こしやすい腫瘍かどうかを予想することができる
      悪性腫瘍の場合には、首のリンパ節への転移などを調べる
    • 副鼻腔MRI検査
      ・腫瘍の大きさや、周りへの広がり、位置を詳しく調べる
      ・腫瘍の内部を調べることができ、腫瘍の種類を予想することができる
    • PET-CT検査
      ・悪性腫瘍と診断がついた場合に行う検査です
      ・首のリンパ節や離れた臓器に転移がないかを調べます
  • 病理検査
    • 確定診断のために、腫瘍の一部を切り取って顕微鏡で詳しくみる組織診を行います
    • 腫瘍が鼻の中から見える場合には、鼻から組織を一部切り取ります
    • 腫瘍の見た目や画像検査の結果で、出血を起こしやすそうな腫瘍の時は、病理検査を行わない場合もあります。
    • 出血を起こしやすそうな腫瘍でも、病理検査が必要な場合には入院をして組織を採取するなどの配慮をします。

副鼻腔腫瘍(鼻副鼻腔腫瘍)の治療法

  • 主な治療は手術ですが、腫瘍の種類によって治療の方法は異なります
    • 良性腫瘍では手術もしくは、手術をせずに経過観察を行います
    • 悪性腫瘍では手術に放射線治療や、抗がん剤による化学療法を合わせて行います
  • 手術
    • 内視鏡手術
      ・顔に傷をつけずに鼻の中からの操作で腫瘍を摘出します
      ・鼻の中からのみで腫瘍を取りきれない場合には、歯茎を切る方法も合わせて行います
  • 放射線療法
    • 悪性腫瘍では手術に放射線治療を組み合わせたり、放射線治療+化学療法を組み合わせて行います
    • 神経芽細胞腫では手術後に放射線治療を行うことが一般的です
    • 上顎洞がんなどの扁平上皮がんでは、手術に化学療法と放射線治療を追加で行うことがあります
  • 化学療法
    • 悪性腫瘍では手術に化学療法を組み合わせたり、放射線治療+化学療法を組み合わせて行います
    • 使う抗がん剤は悪性腫瘍の種類によって異なります
  • 治療後の経過観察
    • 悪性腫瘍では再発や転移の可能性があります
    • 定期的な外来通院、検査を行います

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