まんせいふくびくうえん(ちくのうしょう)
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
急性副鼻腔炎が治りきらずに慢性化したもの。一般的には蓄膿症と呼ばれることも多い
11人の医師がチェック 88回の改訂 最終更新: 2026.04.07

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療について

慢性副鼻腔炎の治療は、自宅でできるケアから薬物療法、手術まで幅広い選択肢があります。一方で、治療が長期化したり再発を繰り返したりすることがあり、「治りにくい病気」という印象につながることがあります。ここでは治療の全体像や、改善までの目安(どれくらいの期間を見込むか)、治療で生じる疑問を中心に整理します。

目次

軽症の慢性副鼻腔炎であれば、鼻洗浄(鼻うがい)などのセルフケアで自然治癒が期待できます。
子どもの場合は、副鼻腔が成長して換気や排出が改善してくることで、自然に軽快することがあります。

一方で、鼻づまりや後鼻漏、ねばっこい鼻水などの症状が強い場合や、症状が長引く場合は、自然に治ることは期待しにくくなります。症状が悪化する、なかなか改善しない、生活に支障が出るといった場合は、医療機関で相談してください。

慢性副鼻腔炎のセルフケアの代表は、鼻洗浄(鼻うがい)です。鼻うがいはそれ単独でも役立つことがありますし、病院での治療と組み合わせることで症状の改善効果が期待できます。

鼻うがいは、食塩水で鼻の中を洗浄し、分泌物や炎症に関わる物質を減らす方法です。ここでいう目的は「を出す」よりも、鼻腔内を洗い流して、分泌物を減らし、後鼻漏や鼻づまりを軽くすることです。

【食塩水の作り方】

  • 濃度:0.9%前後(生理食塩水に近い濃度)
  • 例:水500mLに食塩5g(小さじ1程度)

真水だと鼻がツーンと痛くなりやすいため、食塩水を用います。水道水でも作れますが、作った食塩水は長期保存せず、その日のうち〜24時間以内を目安に使い切る方が安全です。

やり方は製品や方法で違いがありますが、基本は「片側ずつ鼻に入れて、反対側の鼻または口から出す」形になります。市販の鼻洗浄器を使うと、圧や量を調整しやすく続けやすいです。

鼻うがいは、慢性副鼻腔炎の症状を軽くする方法として、一定の有用性が報告されています。分泌物や炎症に関わる物質を物理的に洗い流せること、薬に比べて副作用が少ないことが利点です。鼻茸鼻ポリープ)が目立たないタイプでは、効果を実感しやすいことがあります。

ツボ押しは、慢性副鼻腔炎そのものを治す治療ではありません。ただし、頭痛や頭が重い感じ、顔の痛みなどの不快症状を軽くする目的で、補助的に試す人もいます。
よく挙げられる部位は次のとおりです。

  • 上星(じょうせい):頭の中央で、髪の毛の生え際から頭頂方面に2 cmほどの部位
  • 印堂(いんどう):眉間の中央
  • 迎香(げいこう):小鼻の左右の凹み
  • 鼻通(びつう):迎香の少し上
  • 合谷(ごうこく):手の甲の人差し指と親指の付け根
  • 内庭(ないてい):足の人差し指と中指の付け根
  • 太陽(たいよう):こめかみの目尻側

ツボ押しはあくまで補助的な位置づけであるため、症状が続く場合は鼻洗浄や医療機関での治療を優先して考えます。

慢性副鼻腔炎で「におい」が気になるときに自宅でできることは?

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)で「におい」が気になる背景は、大きく分けて次の2つです。

  1. 鼻水(分泌物)のにおい
  2. 鼻づまりによる口臭(口呼吸による乾燥)

それぞれ、自宅でできる対処を整理します。

■鼻水のにおい(分泌物のにおい)

鼻をかんだときに、たまっていた分泌物がかたまりとして出てきて、不快なにおいを感じることがあります。慢性副鼻腔炎では、分泌物がねばっこくなったり、膿性になったりすることで、においが強く感じられることがあります。

自宅でできる対処の中心は、鼻洗浄(鼻うがい)です。鼻の中の分泌物を物理的に洗い流し、においの原因になりやすい分泌物を減らす助けになります。治療と並行して、鼻うがいを継続すると効果が出やすくなります。

■鼻づまりによる口臭(口呼吸と乾燥)

鼻づまりが強いと口呼吸になり、口の中が乾燥しやすくなります。乾燥すると口腔内の細菌が増えやすくなり、口臭の原因になることがあります。

  • こまめな水分補給で口の乾燥を避ける
  • 室内の乾燥が強い場合は加湿を検討する
  • 就寝前後に口の渇きが強い場合は、鼻づまりのケア(鼻洗浄など)を併用する

口臭は「口の中」だけでなく「鼻づまり」が引き金になっていることもあるため、鼻の治療で鼻呼吸がしやすくなると、口臭も軽くなることがあります。

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に対する市販薬として、漢方処方をもとにした内服薬がいくつか販売されています。代表例として、次のような製品があります。

  • チクナイン®:漢方処方 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
  • ベルエムピ®L錠:漢方処方 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
  • フジビトール®B錠:漢方処方 葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
  • ホノミビスキン®:生薬製剤(蓄膿症・副鼻腔炎などの適応が記載)

これらは「慢性副鼻腔炎を根本的に治す」というより、鼻づまり・鼻汁などの症状を和らげる目的で使われる薬です。漢方薬は体質(証)や症状の出方によって合う・合わないがあるため、効果には個人差が出ます。

市販薬を選ぶときは、現在の症状(鼻づまり優位か、ねばっこい鼻水優位か、顔面痛があるか等)と、持病・内服中の薬を踏まえて、薬剤師に相談すると良いです。

病院で行う慢性副鼻腔炎の治療は、外来での鼻の処置・処方薬による治療・手術が中心です。これらを病状(鼻茸の有無・細菌性好酸球性か、真菌症かなど)と症状の強さに合わせて組み合わせ、分泌物がたまりにくい状態を作ることを目指します。

慢性副鼻腔炎は耳鼻咽喉科で治療を行うので、受診科として適切です。大人の場合は耳鼻咽喉科を受診して下さい。

悩ましいのは子どもの場合です。副鼻腔炎であった場合には専門的な処置や検査ができる耳鼻咽喉科を受診するのがよいのですが、大人に比べて子どもは症状を上手に伝えられなかったりすることもあり副鼻腔炎を疑うのが難しいことがあります。このため、まず小児科を受診して症状の原因が慢性副鼻腔炎かどうかを調べてもらうのはよい選択だと考えられます。小児科で慢性副鼻腔炎と診断された場合には、その程度に応じてそのまま小児科で治療をする場合もあれば耳鼻咽喉科を紹介される場合もあります。

子どもの慢性副鼻腔炎の特徴は以下の通りです。

  • 細菌感染が多く、原因菌が大人と異なる
  • 症状の悪化を繰り返す
  • 鼻茸合併が少ない
  • 成長とともに自然治癒に至ることが多い

大人の慢性副鼻腔炎で最も異なる点は、鼻の奥にあるアデノイドが関与することです。アデノイドとは別名で咽頭扁桃(いんとうへんとう)といい、鼻の奥の突き当たりの部分で、鼻からのどに移行する上咽頭という部分にあるリンパ組織の塊です。鼻や口からはいる細菌やウイルスと戦う物質を作ったり、戦う場となったりして、体内に細菌やウイルスが侵入することを防ぐ働きをしていますが、アデノイドの細菌感染が長引くことで、慢性副鼻腔炎が治りにくくなると考えられます。

急性増悪を繰り返している場合は、原因菌を確認し、それに応じた抗菌薬を用います。マクロライド少量長期投与(マクロライド系抗菌薬を長期間にわたって内服する)は耐性菌を考えて、特に子どもの場合はあまり推奨されません。小児の慢性副鼻腔炎は症状と経過、鼻の中の様子で診断されるので、X線検査CT検査は必ず行うわけではありません。そのため、治療の効果は鼻水や後鼻漏などの自覚症状の変化が重要になります。

慢性副鼻腔炎で処方される薬は病気の状態と症状で使い分けます。

  • 気道粘液調整薬/粘液溶解薬
  • 点鼻ステロイド
  • 抗菌薬(必要なときに限る:急性増悪や病型に応じて)
  • 抗ロイコトリエン薬、全身ステロイド、抗体製剤 など
  • 漢方薬

次にそれぞれの薬について説明します。

■気道粘液調整薬/粘液溶解薬

慢性副鼻腔炎では、分泌物がねばっこくなり、排出されにくくなることが症状の一因になります。気道粘液調整薬・粘液溶解薬は、鼻汁の性状を整え、排出を助ける目的で使います。
代表例として カルボシステイン がよく用いられます。期待される作用は次のようなものです。

  • 鼻汁の粘り気を下げる(出しやすくする)
  • 粘液を運ぶ仕組み(線毛機能)の回復を助ける
  • 粘液貯留や粘膜肥厚を抑え、粘膜環境の改善を後押しする

副作用が比較的少ないため、他の治療と併用したり、一定期間続けて使用したりすることがあります。

■点鼻ステロイド

点鼻ステロイドは、鼻・副鼻腔の炎症を抑える目的で用います。即効で「1回で通る」薬というより、継続して使うことで炎症を落ち着かせ、鼻づまりや後鼻漏などを軽くする位置づけです。

  • 鼻茸が目立たないタイプでも、症状軽減に役立つことがある
  • 鼻茸がある場合は、再燃・再発を抑える目的で併用されることがある

全身への吸収は少ない設計の薬が多く、全身性副作用は一般に起こりにくいとされていますが、使用中の違和感や鼻出血などがあればお医者さんに相談してください。

■抗菌薬(必要なときに限る:急性増悪や病型に応じて)

慢性副鼻腔炎は「常に細菌感染が続いている病気」ではありません。抗菌薬は、必要な場面に限って使います。代表は次の2パターンです。

  • 急性増悪の場合:かぜをきっかけに膿を含んだ鼻汁が増え、顔面痛・発熱などが強くなる
  • 細菌の関与が強く疑われる場合

急性増悪が疑われ、症状が強い場合は、ペニシリン系など別系統の抗菌薬が検討されることがあります。ニューキノロン系が選ばれる場面もありますが、抗菌薬の適応自体を含めて慎重に判断します。
日本で慢性副鼻腔炎に広く行われてきた治療のひとつとして、14員環マクロライド(例:クラリスロマイシン)を少量で8〜12週間内服する方法があります。鼻茸の目立たないタイプで、症状改善が期待されることがあります。鼻茸の目立たないタイプで、症状改善が期待されることがあります。下痢などの副作用、耐性菌の問題があるため、メリットが上回るかを考えて実施の判断をします。

■抗ロイコトリエン薬、全身ステロイド、抗体製剤など

抗ロイコトリエン薬・全身ステロイド・抗体製剤は、主に好酸球性副鼻腔炎など、炎症のタイプが通常の慢性副鼻腔炎と異なる場合に選択肢になります。

  • 抗ロイコトリエン薬:好酸球性副鼻腔炎喘息併存などでしばしば用いられる
  • 全身ステロイド(内服):好酸球性副鼻腔炎で、鼻茸や嗅覚障害が急に悪化したときに短期間使うことがある(長期使用は副作用の観点から避ける)
  • 抗体製剤(生物学的製剤):手術やステロイドを含む治療を組み合わせても制御が難しい場合に検討されることがある(例:デュピルマブなど)

上記の薬は多くの人が対象になる薬ではなく、病気の状態から必要に応じて選ばれる薬です。

■漢方薬

漢方薬は、慢性副鼻腔炎の治療で補助的に用いられることがあります。保険適用の漢方(例:葛根湯加川芎辛夷、荊芥連翹湯、辛夷清肺湯など)もあり、市販薬として流通しているものもあります。位置づけは「細菌を直接たたく」よりも、症状の出方や体質(証)に合わせて鼻症状を和らげる補助療法になり、人によって合う・合わないがあるため、他の治療と並行して、必要に応じて選択します

慢性副鼻腔炎に対して、耳鼻咽喉科では「鼻の奥に細い綿棒のようなものを入れる処置」を行うことがあります。これは副鼻腔自然口開大処置と呼ばれる外来処置です。

■治療の目的

慢性副鼻腔炎では、炎症によって粘膜が腫れ、分泌物の排出や副鼻腔の換気が悪くなりやすくなります。分泌物がたまると炎症がさらに長引きやすくなるため、この処置は「排出と換気を助けて悪循環を断つ」ことを目的に行われます。

■治療の流れ

副鼻腔自然口開大処置では、長めの綿棒(ガーゼ)に局所麻酔薬(例:リドカイン と 血管収縮薬(例:ナファゾリンなど)をしみ込ませ、鼻の粘膜に作用させます。

  • 局所麻酔薬:粘膜の痛みや不快感を和らげる
  • 血管収縮薬:粘膜の腫れを一時的に引かせ、通り道(排泄経路)を確保する

処置のあとに、鼻や副鼻腔にたまったねばっこい鼻汁を吸引して除去することが一般的です。この処置に加えて、薬液を霧状にして吸入するネブライザー療法が併用されることがあります。処置で通り道が確保された状態で行うことで、薬液が鼻の奥に届きやすくなることが期待されます。

参考文献:荒木 倫利,他, 副鼻腔自然口開大処置の有用性とその評価, 耳鼻咽喉科展望, 2003 補1; 46: 28-33

慢性副鼻腔炎の治療で、点滴が必要になることは多くありません。
ただし、症状が急に悪化した場合は、点滴治療が検討されることがあります。

このような急な悪化は慢性副鼻腔炎の急性増悪(きゅうせいぞうあく)と呼ばれます。急性増悪では、次のような変化が目立ってきます。

  • ねばっこい鼻汁、色のついた鼻汁が増える
  • 鼻づまりが強くなる
  • 頬・額・目の周囲が痛む(歯痛として感じることもある)

症状から細菌感染の関与が強く疑われ、全身状態も含めて内服治療では十分ではないと判断される場合に、点滴の抗菌薬が選択されることがあります。

セルフケアや内服治療を行なっても鼻づまりや、ねばっこい鼻汁、後鼻漏、頭痛などが強く残り、日常生活への影響が大きい場合は、手術が選択肢になります。

現代では、慢性副鼻腔炎の手術は、鼻から内視鏡を入れて行う内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)が中心です。顔を切らないため、顔に傷は残りません。手術では、次のような操作を行います。

  • 鼻の中のポリープ(鼻茸)があれば除去する
  • 副鼻腔と鼻腔をつなぐ通り道を広げ、換気と排出を改善する

日帰りで行う施設もありますが、入院の判断やその期間は病院や術式、重症度で変わります(目安として数日〜1週間前後の入院となることが多いです)。

再発例や病状が特殊な場合には、内視鏡手術だけでは対応が難しく、病変の部位によっては歯ぐき側や眉毛の下を切開する手術が検討されることもあります。頻度は高くありませんが、「再発を繰り返す」「病変が届きにくい場所にある」といった状況で選択されます。

慢性副鼻腔炎でも症状が軽症であれば妊娠中でも、薬を使わずにそのまま経過をみることができます。一方で、急激に悪化した場合は、妊娠していない人と同様に抗菌薬(ペニシリン系やセフェム系)を使用することがあります。

妊娠中に薬を使うことは赤ちゃんへの影響が心配になるところですが、ペニシリン系やセフェム系の抗菌薬は妊婦に使っても安全だとされていますし、鼻うがいや、耳鼻咽喉科での鼻処置や副鼻腔自然口開大処置などの有効な治療は赤ちゃんにとっても安全です。漢方薬による治療も選択肢のひとつですが、自己判断で飲むのではなく医師から処方を受けてください。

日本で慢性副鼻腔炎の治療に多く用いられているマクロライド系抗菌薬は、妊婦に使用しても安全とされていました。しかし、2015年に発表された論文は、ペニシリン系の抗菌薬を服用した例よりも、マクロライド系の抗菌薬を使用した例で、子どもの脳性麻痺てんかんのリスクが増加していると報告しています。1つの論文だけで結論は出せませんが、ペニシリン系やセフェム系の選択肢があるなら、念のためマクロライド系抗菌薬を避けるという考え方も理に適っていると言えます。(PLos One. 2015; 10(3): e0122034)

慢性副鼻腔炎の治療で何を行っているかによりますが、鼻うがいや、耳鼻咽喉科での局所治療のみの場合は授乳も問題ありません。

一方で、慢性副鼻腔炎は薬を用いて治療することもあります。日本で広く用いられているマクロライド系抗菌薬は、授乳中に使用しても安全とされています。症状のある場合は授乳しながら治療しても安全です。急性増悪時に用いられる、ペニシリン系やセフェム系抗菌薬も、授乳中も安全に使用できる薬剤として知られています。

慢性副鼻腔炎の治療には薬物療法と手術があります。

薬物療法では通院での初診料・再診料、処置料、薬剤料などがかかります。画像検査を行った場合、その費用もかかります。例えば再診では鼻処置、副鼻腔自然口開大処置、ネブライザー、処方せん料を合わせて約2000円ほどの費用が想定されます。このうち1-3割が窓口で支払う自己負担となります。これにくわえて、薬剤料がかかります。

手術治療では手術内容や入院の有無などで、費用は異なりますが、約10万円から20万円程度です。高額療養費制度の対象となれば、負担額が変わります。費用について詳しく知りたい場合は、手術を行う病院に問い合わせてください。実施予定の手術名や、高額療養費制度についてもあわせて質問するといいです。
高額療養費制度について詳しくは厚生労働省のウェブサイトやこちらの「コラム」による説明を参考にしてください。

慢性副鼻腔炎を含む鼻副鼻腔炎について、日本では「診療ガイドライン」という名称よりも、診療の考え方をまとめた「手引き」が中心に整備されています。日本鼻科学会からは、2007年に『副鼻腔炎診療の手引き』が刊行されており、近年は内容を整理した『鼻副鼻腔炎診療の手引き』(2024年)も公表されています。

慢性副鼻腔炎の治療中にかぜをひいて、発熱やのどの痛み、体のだるさなどの症状に対して、市販のかぜ薬を使うことは可能です。つらい症状に対しては、解熱鎮痛薬(例:ロキソプロフェンなど)で和らげる方法もあります。
一方で、慢性副鼻腔炎を治療している人に知っておいてほしいこともあります。それは、かぜを契機に、慢性副鼻腔炎が急に悪化することです(慢性副鼻腔炎の急性増悪)。次のような変化が目立つ場合は、急性増悪の可能性があります。

  • 鼻水が黄色くなる/ねばっこくなる/量が増える 
  • 顔(頬・額)や歯の痛みが強くなる
  • 頭痛が強くなる
  • 発熱を伴う

急性増悪が疑われる場合は、治療の見直し(抗菌薬の追加など)が必要になることがあります。いつもと違う症状が現れたときには、耳鼻咽喉科で相談してください。

慢性副鼻腔炎は「治療が長い」「再発しやすい」という印象を持たれやすい病気です。実際には、病型(鼻茸の有無、好酸球性、真菌症、歯性など)と、鼻・副鼻腔の環境がどこまで整うかで、治療期間や完治のしやすさが変わります。ここでは目安の期間と、完治・再発の考え方を整理します。

治療期間は、「どの治療を選ぶか」で目安が変わります。

■薬物治療の目安

日本で行われることのあるマクロライド少量長期投与(例:14員環マクロライドを少量で継続)は、8〜12週間がひとつの目安になります。有効と判断される場合は、状態をみながら治療期間を延ばして経過をみることもあります。一方、途中で「明らかに効きにくい」と判断される場合は、漫然と続けず、他の治療(局所治療の強化や手術など)に切り替えることがあります。
慢性副鼻腔炎の手術とは?」で詳しく説明しているので参考にして下さい。

■手術治療の目安

手術が検討されるのは、投薬や局所治療を行っても症状が残り、生活への支障が大きい場合などです。
手術後は、粘膜が落ち着いて元の状態に近づくまでに数週間程度の回復期間を見込みます(術後の処置や点鼻などの継続を含みます)。手術の内容や病型により、その後の通院期間は変わります。

慢性副鼻腔炎は、鼻・副鼻腔の換気と排出が改善し、炎症が落ち着くことで、症状が消失し「治った状態」になることがあります。
特に、鼻茸が目立たないタイプでは、治療がうまく噛み合うと症状が十分に落ち着くことが期待できます。

ただし、慢性副鼻腔炎は一度良くなっても、かぜ上気道感染)などをきっかけに再発することがあります。再発時は、以前に効果があった治療が再び有効なこともありますし、再発の頻度や重さに応じて治療戦略を見直します。

また、再発を繰り返す場合は、手術が選択肢になります。手術では、副鼻腔と鼻の通り道を広げ、分泌物がたまりにくい構造を作ることで、炎症の悪循環を断ちやすくします。ただし、手術をしても再発が起こる人がいることも事実です。

子どもの慢性副鼻腔炎は、成長に伴って自然に軽快することが少なくありません。軽症であれば、鼻洗浄、鼻処置、必要に応じた内服などで経過をみることが多いです。

一方で、子どもはかぜを繰り返しやすいため、急性増悪を繰り返して症状が長引くこともあります。この場合は症状の程度に応じて治療を追加しますが、マクロライド少量長期投与は耐性菌や副作用の観点から、第一選択になりにくいという考え方もあります。症状が強く長引く場合は、耳鼻咽喉科で病状を調べてもらい、治療の方向性を相談することが大切です。