◆デンマークの逆流性食道炎患者と、ランダムに選んだ対照グループを比較
研究班は逆流性食道炎の患者82人について、慢性副鼻腔炎がある人の割合を調べました。比較のため、デンマークの一般人口からランダムに選んだグループ(対照グループ)の中で、慢性副鼻腔炎がある人の割合を調べました。
◆逆流性食道炎があると慢性副鼻腔炎が多い
調査の結果は次のとおりでした。
逆流性食道炎患者の間で、慢性副鼻腔炎の有病率は20.7%(95%信頼区間12.0%-29.5%)であり、全人口における慢性副鼻腔炎の有病率8.5%(95%信頼区間6.8%-10.2%)よりも有意に高かった。
逆流性食道炎患者のグループのうち、20.7%の人に慢性副鼻腔炎がありました。対照グループの中では8.5%の人に慢性副鼻腔炎があり、逆流性食道炎がある人のほうが慢性副鼻腔炎が多いという結果になりました。
この関連から、研究班は「逆流性食道炎は慢性副鼻腔炎の発症に関与しているかもしれない」と述べています。
一見まったく違った2つの病気に、意外な関連があるらしい、という結果ですが、この結果では時間の関係がはっきりしないので、逆流性食道炎が原因で慢性副鼻腔炎が増えるとも、慢性副鼻腔炎が原因で逆流性食道炎が増えるとも、あるいは何か別の原因が両方の病気を増やしているとも解釈できそうです。
とはいえもし因果関係があるなら、それぞれの病気が起こるメカニズムの解明や、それに対する治療の研究につながるかもしれません。
執筆者
Prevalence of chronic rhinosinusitis in a population of patients with gastroesophageal reflux disease.
Am J Rhinol Allergy. 2015 May
[PMID: 25975241]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。