まんせいきかんしえん
慢性気管支炎
気管支の炎症により、咳や痰などの呼吸器症状を引きおこし、その症状が数週間から数カ月以上にわたって続く状態
5人の医師がチェック 81回の改訂 最終更新: 2021.12.08

慢性気管支炎の基礎知識

POINT 慢性気管支炎とは

慢性気管支炎は何らかの原因で気管支に慢性的な炎症の起こった病気で、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の一部になります。原因は喫煙が多いです。主な症状は咳・痰・息苦しさなどです。 生活背景や身体所見から慢性気管支炎が疑われ、画像検査や呼吸機能検査(肺活量の検査のようなもの)を行って診断が確定します。喫煙者は禁煙することがもっとも重要ですが、気管支を拡げる薬や炎症を抑える薬を用いて治療します。また、症状が進行して息苦しさが強くなった場合は、酸素吸入や人工呼吸器を用いたりして治療することになります。並行して、呼吸器リハビリテーションを行うことも重要です。慢性気管支炎が心配な人や治療したい人は、呼吸器内科を受診して下さい。

慢性気管支炎について

  • 気管支炎症により、咳や痰などの呼吸器症状を引き起こし、その症状が数週間~数か月以上にわたって続く状態
  • 気管支が炎症を起こした結果、粘性のある痰が喉から気管支にとどまり続け、咳や痰が続く
  • 以下のことが原因で起こる

慢性気管支炎の症状

  • 長く続く咳、痰
  • 微熱
  • 肺炎を起こしやすい

慢性気管支炎の検査・診断

  • 胸部レントゲン胸部CT
    • 肺の炎症の有無を調べる
  • 呼吸機能検査
    • 呼吸の能力を調べる

慢性気管支炎の治療法

  • 禁煙が治療の前提になる
  • リハビリテーション
    • 呼吸法の指導:腹式、口すぼめ呼吸法の修得
  • 薬物療法
    • 気管支を広げる薬
      • 抗コリン薬の吸入
      • テオフィリンの内服
      • 長時間作用型β刺激薬の使用
    • 炎症を抑える薬
      • ステロイド薬吸入
    • マクロライド系抗菌薬の長期使用も行われることがある
  • 在宅酸素療法
  • 経鼻式人工呼吸器管理
  • 以下のことを行うことで予防できる
    • 禁煙
    • 人ごみやほこりの多い場所を避ける
  • 喫煙歴10~20年の場合は一度検査を受けることが望ましい
  • 正確な病名として、COPDに関する治療を調べると良い

慢性気管支炎に関連する治療薬

テオフィリン製剤

  • 気管支の拡張や呼吸中枢の刺激作用などにより喘息や気管支炎などの咳や息苦しさなどを改善する薬
    • 喘息では気管支などの炎症により気道が狭くなっており咳の発作などの呼吸症状があらわれる
    • 気管支を広げる作用をもつ体内物質にcAMPがあり、PDEという酵素により別の物質に変換されてしまう
    • 本剤はPDEを阻害することでcAMPの濃度を高め気管支を広げる作用をあらわす
  • 本剤は抗炎症作用や中枢神経刺激作用など多くの作用をもつとされる
テオフィリン製剤についてもっと詳しく

去痰薬

  • 病原体や異物などを痰や鼻汁によって体外へ排出しやすくすることで気管支の炎症や喘息、慢性副鼻腔炎などによる症状を和らげる薬
    • 痰や鼻汁には粘性の分泌物が含まれ、粘膜保護や異物をからめとり排出する作用などがある
    • 粘性の分泌物が気道や鼻腔でつまると咳や蓄膿症などを誘発する場合もある
    • 本剤は気道分泌促進作用、粘液などの排出促進作用などをあらわす
  • 本剤は薬剤の作用などにより、気道粘液分泌促進薬や喀痰溶解薬などに分けられる
去痰薬についてもっと詳しく

β2刺激薬(内服薬・外用貼付薬)

  • 気管支のβ2受容体を刺激し気管支を拡張させることで喘息などによる咳や息苦しさなどを改善する薬
    • 喘息では気管支の炎症により気道が狭くなっていて、咳の発作や息苦しさなどがあらわれる
    • 気管支にあるβ2受容体というものを刺激すると気管支が広がる
    • 本剤はβ2刺激作用により気管支を広げる作用をあらわす
  • 薬剤によっては慢性気管支炎などに使われるものもある
  • 薬の効果持続時間の違いによる分類
    • 一般的に、効果持続時間によって内服薬は長時間型、中時間型(長時間型と短時間型の中間)、短時間型に分けられる
β2刺激薬(内服薬・外用貼付薬)についてもっと詳しく

慢性気管支炎が含まれる病気

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