テオフィリン製剤
気管支の拡張や呼吸中枢の刺激作用などにより喘息や気管支炎などの咳や息苦しさなどを改善する薬

テオフィリン製剤の解説

テオフィリン製剤の効果と作用機序

  • 気管支の拡張や呼吸中枢の刺激作用などにより喘息気管支炎などの咳や息苦しさなどを改善する薬
    • 喘息では気管支などの炎症により気道が狭くなっており咳の発作などの呼吸症状があらわれる
    • 気管支を広げる作用をもつ体内物質にcAMPがあり、PDEという酵素により別の物質に変換されてしまう
    • 本剤はPDEを阻害することでcAMPの濃度を高め気管支を広げる作用をあらわす
  • 本剤は抗炎症作用や中枢神経刺激作用など多くの作用をもつとされる

テオフィリン製剤の薬理作用

喘息では気管支などの炎症によって気道が狭くなっており咳の発作などの呼吸症状があらわれる。

気管支平滑筋を弛緩させる体内物質にcAMPというものがあり、この物質はホスホジエステラーゼ(PDE)という酵素によって5’AMPという物質に変換される。PDEを阻害すると、cAMPの濃度が上昇し気管支平滑筋弛緩作用の増強によって気管支の拡張がおこる。

本剤は気管支におけるPDE阻害作用により、cAMP濃度の上昇に伴う気管支拡張作用によって、気管支喘息などの症状を改善する作用をあらわす。本剤は気管支拡張作用の他、抗炎症作用や中枢神経刺激作用など多くの有益な作用をあらわす一方で、治療の有効域が狭い(薬剤成分が有効である濃度の幅が狭く、中毒域と有効域が接近している)という特徴もあり適切な服薬管理が必要となる。

本剤はテオフィリンを主成分とする製剤であり、その作用持続時間などは製剤によって異なる場合がある。そのため、各製剤に合わせた適切な服用方法などの理解も必要となる。

テオフィリン製剤の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 吐き気、食欲不振、腹痛、下痢などがあらわれる場合がある
  • 精神神経系症状
    • 頭痛、不眠、めまいなどがあらわれる場合がある
  • 循環器症状
    • 動悸頻脈などがあらわれる場合がある
  • 痙攣
    • 頻度は稀であるが薬剤の血液中濃度が過剰になった場合などにおこる場合がある
    • 顔や手足の筋肉がぴくつく、一時的にボーっとして意識が薄れる、手足の筋肉が硬直しガクガクと震えるなどの症状がみられた場合は放置せず、医師や薬剤に連絡する
  • カフェインを含む食品や医薬品などとの相互作用(飲み合わせ)に関して
    • 中枢神経刺激作用などが増強する可能性があり注意が必要

テオフィリン製剤の一般的な商品とその特徴

テオドール

  • 通常、1日2回に分けて服用する(気管支喘息では、1日1回就寝前に服用する場合もある)
  • 剤形に錠剤と顆粒剤があり用途などに合わせて選択が可能

テオロング

  • 通常、1日2回に分けて服用する
  • 剤形に錠剤、顆粒剤があり用途などに合わせて選択が可能

ユニフィルLA、ユニコン

  • 通常、1日1回夕食後に服用する(場合によっては「朝食後」などの指示が出されることもある)
  • 深夜から早朝にかけての喘息症状の悪化や早朝の呼吸機能の落ち込みなどの改善を目的として開発された製剤