[医師監修・作成]白癬(水虫・たむし)の症状について:かゆみ、水ぶくれ、臭いなど | MEDLEY(メドレー)
はくせん
白癬
白癬菌(かびの一種)による皮膚感染症の総称
9人の医師がチェック 153回の改訂 最終更新: 2022.03.30

白癬(水虫・たむし)の症状について:かゆみ、水ぶくれ、臭いなど

水虫ときくと、足の指の間がじゅくじゅくしてかゆくなる様子を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、このような症状が起こるのは一部の人に限られ、乾燥したり発疹ができるタイプの水虫も多いです。水虫は白癬菌の感染によるもので、白癬菌は足だけでなく、頭、手、爪、股部にも感染を起こします。ここでは白癬で起こる症状について、部位別に詳しく説明します。

1. 白癬ができる場所と症状の特徴:足・手指・爪・頭・顔・股部

白癬の原因となる白癬菌はケラチンを栄養にして増殖します。そのため、ケラチンの多い皮膚、爪、毛のある全身どこの場所にも白癬菌は感染する可能性があります。最も感染が多い部位は足で、手、体幹、頭部などにも感染します。

症状は感染した部位によって異なります。足以外の部位では、皮膚の乾燥や赤い皮疹など、いわゆる水虫のイメージとは異なる症状がほとんどです。そのため、白癬と気付かずに悪化させたり、周りに感染を広げたりする可能性があるので、どの部位にどのような症状が出やすいのか押さえておくことは大切です。

白癬が感染する部位と、現れやすい症状をまとめると次のようになります。

【白癬の感染部位と症状】

感染部位 病名 通称 症状の特徴
手(毛の生えない部分) 手白癬   ガサガサ乾燥する
足(毛の生えない部分) 足白癬 水虫 じゅくじゅくする
水ぶくれができる
ガサガサ乾燥する
かゆい
足が臭い
股部 股部白癬 いんきんたむし 赤い皮疹ができる
かゆい
体部 体部白癬 ぜにたむし
顔面白癬  
爪白癬 爪水虫 爪の色が濁る
爪が変形する
爪が分厚くなる
爪が割れやすくなる
毛髪 頭部白癬 しらくも 頭にフケがつく
髪の毛が抜ける

ただし、上記の症状は必ずしも白癬でのみ起こる症状ではありませんので、一度皮膚科を受診して症状の原因を調べてもらってください。次に部位ごとの症状について、さらに詳しく説明します。

2. 足白癬(水虫)の症状

足白癬(水虫)にはかゆいイメージがありますが、足白癬の人でかゆみを伴うのは10%程度にすぎません。

かゆみがあるタイプの足白癬では、その程度が季節によって変化します。白癬菌の増殖しやすい梅雨から夏にかゆみが強くなり、涼しくなる秋口からおさまりはじめます。かゆみがおさまると治ったと感じる人が多いですが、完治していない場合には翌年の梅雨頃から再びかゆみが強くなります。

また、足白癬の人では足が臭うことがありますが、足の臭いは汗や皮脂が皮膚常在菌(ひふじょうざいきん)に分解されて起こるものです。皮膚常在菌とは健康な人の皮膚にもいる菌です。常在菌が繁殖しやすい環境と白癬菌の繁殖しやすい環境は共通しているので、足白癬のある人の足は皮膚常在菌も増殖しやすく、臭いが強くなると考えられます。

足白癬は症状の現れ方や部位によって大きく3つの種類に分けられます。最も多いのは足の指の間にできる「趾間型」で、そのほかに「小水疱型」と「角質増殖型」があります。

次に、型ごとに症状の特徴について説明します。

趾間型

足白癬の中で最も多いのが趾間型です。足の指の間に症状が出ます。

◎指の間がふやけ、じゅくじゅくする

足の指の間の皮膚がじゅくじゅくと湿ってふやけ、白っぽくなって剥がれてきます。かゆみを伴うことが多いです。

◎指の間がガサガサ乾燥する

趾間型でもじゅくじゅくせずに指の間が乾燥するタイプもあります。乾燥した皮膚がガサガサと剥がれて、フケのようなもの(鱗屑:りんせつ)がくっつきます。鱗屑がついた皮膚は軽い赤みを伴います。

小水疱型

足の裏や、足の裏の指の付け根あたり、かかとに小さな水ぶくれ(水疱:すいほう)ができます。水疱は破れることもあります。破れた後の皮膚はカサカサと荒れます。水ぶくれはかゆみを伴いますが、その程度はさまざまです。

角質増殖型

角質増殖型の水虫

高齢者に起こりやすいタイプの足白癬です。足裏やかかとの皮膚が分厚くなってガサガサします。かゆみがあまりなく、ヒビやアカギレのように見えるため、足白癬と気がつかないことがよくあります。角質増殖型の足白癬では爪白癬を合わせて起こしている人が多いです。

白癬菌は高温多湿で増殖するため、白癬菌が増えやすい梅雨から夏にかけて時期に症状が悪くなり、秋から冬にかけて症状が軽くなるのが一般的ですが、角質増殖型の足白癬では一年を通して症状はあまり変わりません。

足白癬に細菌感染が起きた場合:蜂窩織炎、壊死性筋膜炎

白癬菌によってダメージを受けた皮膚から細菌が感染し、蜂窩織炎(ほうかしきえん)や丹毒(たんどく)を起こすことがあります。感染が起きると皮膚が赤くなって腫れ、痛みが生じます。特に皮膚がふやけやすい趾間型の足白癬に起こりやすいです。感染する菌の種類や持病によっては、さらに重い状態である壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)を起こすことがあります。

壊死性筋膜炎は筋肉の膜に沿って細菌感染が広がる病気で、病状が急激に悪化して致死的になることがあります。抗生物質抗菌薬)を含めて全身的な治療が行われますが、状況によっては救命のために感染した足を切断する場合が少なくありません。

足白癬があるからといって必ずしも細菌感染が起こるわけではありませんが、重症化を防ぐためにも放置せずに適切な治療を受けることが重要です。

3. 手白癬の症状

手にできる白癬を手白癬と呼びます。手白癬で症状が起こるのは手のひらと指です。指先には症状が出にくいです。通常片手のみに症状が起こり、皮膚が乾燥して皮が剥けて荒れたようになります。手白癬は足白癬や爪白癬からうつることが多いです。

まれに、手のひらではなくて手の甲に白癬が起こることがあります。この場合の症状は体部白癬と同じで、赤い発疹やかゆみが起こります。

4. 爪白癬の症状

爪白癬にかかる人のほとんどは、足白癬を長年抱えている人です。爪白癬の症状は次の通りです。

  • 爪の色が濁る
  • 爪が変形する
  • 爪が分厚くなる
  • 爪が割れやすくなる

爪水虫

爪白癬では爪の色が濁り、白っぽくなります。全体的に白くなる場合と一部分だけ白くなる場合があります。爪が分厚くなって変形しますが、もろくてすぐに欠けたり、割れたりします。かゆみはほとんど伴わないため、白癬だということに気がつきにくいです。

また、爪白癬では爪が変形しやすいため、陥入爪巻き爪を伴うことがあります。爪の縁が皮膚に食い込んで傷つくと、足白癬同様に細菌感染が起きやすくなるため注意が必要です。

5. 頭部白癬の症状

頭部白癬は髪の毛に白癬菌が感染して起こります。症状によって次の2つの型があります。

  • しらくも型
  • 黒点型

いずれの型も髪の毛が抜けやすくなります。白癬菌が感染した髪の毛は、白髪になったり、折れたり、抜けやすくなったり、頭部白癬の部分は毛が薄くまだらに見えます。

しらくも型

頭皮に境界のはっきりした大小さまざまな灰白色の円形ができます。円形部分にはフケに似た鱗屑(りんせつ)がつきます。この円形で囲まれた部分の髪の毛は抜けやすくなります。

黒点型

黒点型の頭部白癬では毛が根元で折れてなくなるため、毛穴に残った毛が頭皮の表面に黒い点状に見えます。

頭部白癬が悪化した場合:ケルスス禿瘡(とくそう)

頭部白癬が悪化し、毛包(毛穴)に白癬菌が入り込んで炎症を起こした状態をケルスス禿瘡(とくそう)と呼びます。強い痛みが出て脱毛します。脱毛した部分はそのまま毛が生えなくなることもあります。

6. 体部白癬(ぜにたむし)・顔面白癬の症状

体部白癬は顔、胴、腕、脚にできた白癬のことです。顔に起きた白癬を顔面白癬ということもあります。体部白癬では下記のような症状が現れます。

  • 赤い輪っか状の湿疹
  • かゆみ

体部白癬(たむし)

赤い輪っか状の発疹は1つだけできることもあれば、1-2cmの小さな輪が多数できることもあります。輪の縁が最も赤く、中心に向かうにつれ赤みが薄くなります。輪の縁には小さな水ぶくれやフケのような鱗屑(りんせつ)が密集して付着し、盛り上がって見えます。

ペットなどの動物が持つ白癬菌が感染すると、発疹が多発することが多いです。さまざまな程度のかゆみを伴います。

7. 股部白癬(いんきんたむし)の症状

太ももと陰部の境目やお尻にできる白癬で、かかる人の多くは成人男性です。湿疹と見分けがつきにくいため、ステロイド薬を使用した治療で悪化して、診断に至ることがあります。股部白癬は体部白癬と同じような症状が起こります。

  • 赤い発疹
  • かゆみ

赤い発疹は円形か半円形状に大きく広がり、中心にいくにしたがって赤みは減ります。正常な皮膚と発疹との境目には小さな水ぶくれやフケのような鱗屑(りんせつ)があり、盛り上がって見えます。発疹は治っても褐色に色素沈着が残ることがあります。

発疹の部分にかゆみを伴いますが、その程度はさまざまです。

参考文献

「日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019」, 日皮会誌 2019 ; 129 : 2639-2673.
・皮膚科学会ホームページ「皮膚科Q&A」
・小児科臨床 2018 ; 71 : 1847-1850.
・Medical Practice 2015 ; 32 : 1330-1334.
・Jpn J. Med. Mycol. 2007 ; 48 : 116-119
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