ぼうこうがん
膀胱がん
膀胱の粘膜にできる悪性腫瘍
8人の医師がチェック 174回の改訂 最終更新: 2019.07.19

膀胱がんの原因:喫煙やコーヒーなどとの関係

 

人体に入ると膀胱がんを発症するリスクが高くなる化学物質がいくつかわかっています。ここでは膀胱がんの発症の危険性を高めるものとして、身近なものからそうではないものまで説明していきます。

1. 膀胱がんとタバコの関係や禁煙の効果について

喫煙と膀胱がんには強い関係があります。

報告によると、喫煙によって膀胱がんを発症するリスクは男性で3.89倍、女性で4.65倍になるとされています。また、喫煙の本数による影響の強さについても検討されています。

1日の喫煙本数が10本以下までは発症のリスクは3倍強であるのに対して、11本以上になるとそのリスクは4倍になるという報告があります。一般的に、喫煙本数と膀胱がんの発症には強い関係があると考えられています。

一方で、禁煙が膀胱がんに対して予防的に働くとも考えられています。ある報告によると、10年以上禁煙した人、5年から9年禁煙した人、5年未満の禁煙した人のそれぞれで膀胱がん発症のリスクが下がったとされます。

禁煙歴 膀胱がんを発症するリスク
喫煙したことがない人 1倍(基準)
10年以上禁煙した人 1.27-2.52倍
5年から9年禁煙した人 1.85-3.30倍
5年未満の禁煙をした人 2.08-3.89倍
喫煙を続けている人 3.11-4.14倍

禁煙期間が長ければ長いほど、膀胱がんの発症のリスクは下げられると考えられます。

「膀胱がんで治療中の人」「膀胱がんが心配な人」は速やかに禁煙するのが望ましいといえます。禁煙外来については「このページ」でお近くの医療機関を探すことができるので参考にしてください。

2.膀胱がんと寄生虫(ビルハルツ住血吸虫)の感染について

エジプト・ナイル川流域に生息するビルハルツ住血吸虫に感染した影響で膀胱がんが発病することがあります。

ビルハルツ住血吸虫が膀胱の両脇にある骨盤神経叢(こつばんしんけいそう)に寄生すると膀胱の壁に卵を産み落とすことがあります。この卵の影響で慢性的炎症が起こり、膀胱にがんができやすくなると考えられています。炎症が原因で発生する膀胱がんは扁平上皮と言われる珍しいタイプのものです。

3. 化学物質で膀胱がんになる?

膀胱がんの発生には化学物質が強く関わっていることが知られています。

ベンジジン(benzidine)や2-ナフチルアミン(2-naphthylamine)という化学染料から出る化学物質と膀胱がんの発病については科学的に証明されており、化学染料工場労働者が膀胱がんを発症するリスクは一般の人に比べて2倍から40倍と報告されています。

1972年に日本ではベンジジンや2-ナフチルアミンなどは製造、使用、輸入が禁止されていますが、長い潜伏期を経て膀胱がんを発症する人がいるので、該当する薬物を使った工場などで働いたことがある人は定期的な検査が必要となることがあります。

4. 糖尿病治療薬の影響で膀胱がんになる?

ピオグリタゾン(商品名アクトス®︎など)は血糖値を下げる薬です。糖尿病の治療薬として使われています。ピオグリタゾンを内服している人に膀胱がんが多く発生するのではないかという懸念があり、その関係性について様々な調査が行われてきました。調査によってピオグリタゾンが膀胱がんの発症するリスクを増加させるかどうかについて相反した結果が出ており、一定の結論は出ていないのが現状です。

5. コーヒーで膀胱がんになる?

コーヒーを飲む人には膀胱がんが見つかりやすいという研究報告があります。追跡調査した結果、非喫煙者の男性においては、1日1杯以上コーヒーを飲む人は全く飲まない人に比べて膀胱がんの発生が多くなるという結果でしたが、因果関係はまだ明らかではありません。コーヒーと膀胱癌の発生は関係があるのかもしれませんが、現時点では断定的ではありません。

参考:
Cancer Science. 2009;100:285-291
臨床泌尿器科 2000;54:273-28
Tobacco smoking and bladder cancer. 
JAMA 2011;306:737-45