再発・進行尿路上皮がんに対するペムブロリズマブの効果
多国籍の研究班が、尿路上皮がんに対してペムブロリズマブを使う試験を行い、結果を医学誌『The New England Journal of Medicine』に報告しました。
ペムブロリズマブは免疫チェックポイント阻害薬に分類されるがん治療薬です。免疫チェックポイント阻害薬にはほかにニボルマブ(商品名オプジーボ®)などもありますが、ペムブロリズマブを含めて尿路上皮がんに対して日本で承認されているものはありません(2017年11月14日時点)。
この研究は、進行した尿路上皮がんの患者で、プラチナ製剤を含む化学療法(抗がん剤治療)を行ったあとでがんが再発または進行した人を対象としています。
対象者542人がランダムに2グループに分けられました。
- ペムブロリズマブを使うグループ(ペムブロリズマブ群)
- パクリタキセル、ドセタキセル、ビンフルニンから担当医が選んで使うグループ(化学療法群)
パクリタキセル、ドセタキセル、ビンフルニンはいずれも抗がん剤です(ビンフルニンは日本で未承認)。
効果判定のため、生存期間と、がんが進行することなく生存した期間を比較することと決められました。
10.3か月 vs 7.4か月
治療から次の結果が得られました。
全生存期間の中央値は、ペムブロリズマブ群で10.3か月(95%信頼区間8.0-11.8)、対して化学療法群では7.4か月(95%信頼区間6.1-8.3)だった(死亡のハザード比0.73、95%信頼区間0.59-0.91、P=0.002)。
ペムブロリズマブ群では半数の人が10.3か月以上生存しました。化学療法群では半数の人が7.4か月以上生存しました。ペムブロリズマブ群のほうが生存期間が長いと見られました。
がんが進行することなく生存した期間については、統計的に違いを確認できませんでした。
薬の副作用やその他の原因による症状などで、治療に関連すると判断されたものは、ペムブロリズマブ群で60.9%、化学療法群で90.2%の人に発生しました。その中で入院が必要な程度以上または死亡に至った例は、ペムブロリズマブ群のうち15.0%、化学療法群のうち49.4%でした。うち死亡はどちらのグループでも4人でした。
尿路上皮がんにキイトルーダは有効?
プラチナ製剤で治療後に再発または進行した尿路上皮がんに対して、ペムブロリズマブが化学療法(パクリタキセル、ドセタキセル、ビンフルニン)に勝るとした研究を紹介しました。
日本では、2017年11月24日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で、ペムブロリズマブの尿路上皮がんに対する承認について報告される予定です。
ペムブロリズマブの役割を考えるために、実際に試されたときのデータを材料とすることができるかもしれません。
執筆者
Pembrolizumab as Second-Line Therapy for Advanced Urothelial Carcinoma.
N Engl J Med. 2017 Mar 16.
[PMID: 28212060]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。