2016.03.01 | ニュース

膀胱がんの手術後に抗がん剤治療はしたほうがいいのか?

手術を受けた5,653人のデータから

from Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology

膀胱がんの手術後に抗がん剤治療はしたほうがいいのか?の写真

膀胱がんの主な治療に、膀胱を取り除く手術があります。手術後の再発を防ぎ長期生存に結びつける狙いで、手術の前後に抗がん剤による化学療法を組み合わせる方法もあります。手術後の化学療法の効果が検証されました。

◆手術後の化学療法による違いは?

この研究は、実際に膀胱がんの治療を受けた人のデータを解析する方法で行われました。アメリカのがん登録データベースを参照して、膀胱の進行がん(病理学的T3またはT4、またはリンパ節陽性)に対して膀胱を取り除く手術(膀胱摘除術)を受けた人5,653人の経過を調べました。

手術のあとに化学療法を受けた人と、手術後は経過観察とされた人を比較して、生存率に違いがあるかを統計解析により検討しました。

 

◆化学療法で生存率改善

次の結果が得られました。

傾向スコアで調整した層別解析により、術後化学療法による全生存率の改善が見られ(ハザード比0.70、95%信頼区間0.64-0.76)、傾向スコアマッチングと重み付けによっても類似した結果が得られた。

手術後に化学療法を受けた人のほうが、生存率が高いと見られました

 

この研究では手術後の化学療法が検討されていますが、膀胱がんに対しては手術前の化学療法が有効というデータもあります。それぞれの方法に良い面と悪い面があり、ほかにも放射線療法などがあります。ここで報告された結果は、治療法を選ぶ材料として役に立つかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effectiveness of Adjuvant Chemotherapy for Locally Advanced Bladder Cancer.

J Clin Oncol. 2016 Jan 19. [Epub ahead of print]

[PMID: 26786930]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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