ぼうこうがん
膀胱がん
膀胱の粘膜にできる悪性腫瘍
8人の医師がチェック 174回の改訂 最終更新: 2020.03.13

膀胱がんの検査について:CT検査、MRI検査、膀胱鏡検査など

 

膀胱がんは血尿などが見られることが多いので、症状をきっかけにして見つかりやすいです。膀胱がんが疑われる人には検査が行われ、症状が膀胱がんによるものかどうかが調べられます。また、膀胱がんと診断を受けた人には進行度(ステージ)を調べるための検査が行われます。

1. 膀胱がんの診察や検査について

膀胱がんが疑われる人や、膀胱がんの診断を受けた人には次のような検査が行われます。

  • 問診
  • 身体診察
  • 内視鏡検査
  • 画像検査
    • 超音波検査
    • CT検査
    • MRI検査
  • 病理検査
    • 細胞診
    • 組織診

次にそれぞれの診察や検査について説明します。

2. 問診

主に対話形式で行う診察を問診と言います。問診では患者さんの身体の状況や背景が確認されます。症状の詳しい内容や、今までにかかった病気、飲んでいる薬、生活習慣などの質問が行われます。

3. 身体診察

身体診察とはお医者さんが患者さんの身体を直接くまなく調べる診察のことを指します。身体診察には視診(身体の見た目を観察すること)「聴診(聴診器を使って身体の中の音を聞くこと)」などがあります。

4. 内視鏡検査:膀胱鏡検査

胃や大腸の検査で用いられる内視鏡は膀胱の検査でも用いられます。膀胱の観察で使われる内視鏡(膀胱鏡)には柔らかい軟性鏡(なんせいきょう)と棒状の硬性鏡(こうせいきょう)の2つがあります。ともに尿道の先から挿入されます。
軟性鏡は柔らかいので、検査中の痛みが少ないです。一方で、硬く棒状の硬性鏡は挿入時に痛みを伴うことが多いです。観察する力に関しては、軟性鏡と硬性鏡に差はないと考えられていますが、処置には硬性鏡の方が向いているので、処置が必要と考えられる人には硬性鏡が使われます。
また、がんの部分と正常な部分を区別しやすくするために、アミノレブリンという試薬を飲んだ上で検査を行うことがあります。

5. 画像検査

画像検査は身体の中の状態を画像化する検査のことを指します。がんの広がりを調べる際に用いられることが多く、代表的な画像検査として次のものがあります。

超音波検査(エコー検査)

エコー検査では身体に超音波を当てて、その反射の程度を利用して、体内を画像化する検査です。CT検査やMRI検査に比べて比較的簡単に行えるので、血尿などの症状から膀胱がんが疑わしい人にはまず行われることが多いです。

CT検査

CT検査は放射線を利用して身体の断面を画像化します。超音波検査より広範囲を短時間で調べることが出来るので、がんの広がりや転移の有無を調べるのに有用です。
また、より詳しく調べるために、造影剤という薬を注射してCT検査が行われること(造影CT検査)があります。CT検査で得られる画像は白黒ですが、造影剤を使うとコントラストがはっきりし、不確かだった部分が明瞭になることがあります。なお、「腎臓の機能が低下している人」や「一部の糖尿病治療薬(メトグルコ®など)を内服している人」には造影剤を使うことができません。当てはまる人は検査前に「腎臓の機能が低下していること」や「糖尿病治療薬を飲んでいること」をお医者さんに伝えてください。CT検査のより詳しい説明は「こちらのコラム」を参考にしてください。

MRI検査

MRI検査では磁気を利用して、身体の断面を画像化します。CT検査とは異なり、放射線を利用しないので、被ばくの心配はありません。MRI検査は膀胱でのがんの進行度(根の深さ)を調べるのに向いている検査です。
CT検査と同様により詳しく調べるために、造影剤を注射して検査を行うことがあります。MRI検査で使う造影剤はCT検査で使うものとは異なりますが、「腎臓の機能が低下している人」には使うことができません。このため、腎臓の病気を治療している人や腎臓の機能が低下していると言われている人はその旨をお医者さんに伝えてください。
なお、強力な磁気を使うので、体の中にペースメーカーなどの金属製品が入っている人はMRIを撮影できない場合があります。 MRI検査のより詳しい説明は「こちらのコラム」を参考にしてください。

6. 病理検査

病理検査とは身体の細胞や組織を取り出して顕微鏡で観察する検査のことです。細胞レベルで調べることができるので、がんの有無の判断がしやすくなります。病理検査には「細胞診」と「組織診」がありますが、内容や目的が異なります。

細胞診

膀胱がんが疑われる人には尿にがん細胞が含まれているかどうかが顕微鏡を使って調べられます(尿細胞診)。尿細胞診の結果は3段階で評価されます。検査結果が返ってくるまでの期間は施設によりますが、1週間から2週間を要します。

  • 陽性:がんの存在が強く疑われる
  • 疑陽性(ぎようせい):がんが存在するかどうかの判定が難しい
  • 陰性:がん細胞は存在しない

陽性の場合は次の検査や手術に進みますが、疑陽性の場合はその次の対応が難しくなります。このため疑陽性の場合には数回検査を繰り返して検査結果に変化があるかどうかを観察することがあります。
尿細胞診の結果は、今は3段階ですが、以前は5段階で評価されていました。今も併記している施設はあると思われるので下記に記します。

  • class Ⅰ:異型細胞を認めない
  • class Ⅲ:異型細胞を認めるが悪性ではない
  • class Ⅲ:悪性か良性かが判定困難な異型細胞をみる
    • Ⅲa:多分良性であろうと思われる異型細胞をみる
    • Ⅲb:悪性である可能性が示唆される異型細胞をみる
  • class Ⅳ:悪性を強く疑う細胞を認める
  • class Ⅴ:悪性細胞を認める

classⅢが疑陽性にあたり、classIVとVが陽性にあたると考えてください。

組織診

組織診はがんが疑われる部分を小さく切り出して、細胞診と同じく薬品で色をつけたものが顕微鏡で観察されます。主に内視鏡手術(TURBT)や膀胱全摘除術で取り出したものに対して組織診断が行われます。
細胞診は一つ一つの細胞を調べるのに対して、組織診は塊で調べるので、より多くの情報を得ることができます。
組織診では腫瘍の深達度や悪性度を調べることができ、検査結果によって追加の治療性の有無などが判断されます。例えば、内視鏡手術で切除したがんを調べた結果、がんが筋層にまで入り込んでいれば、膀胱を摘出する必要が判断されます。また、がんを取り切れたものの再発リスクが高いと判断された場合には、TURBT後に膀胱内注入療法(膀胱の中に抗がん剤を入れる治療)が行われます。

7. 膀胱がんを治療した後の検査について

膀胱がんは早期で治療しても高い確率で再発します。高い再発率のためしっかりとした経過観察が必要です。再発を調べる検査のスケジュールは内視鏡手術(TURBT)を行った場合と、開腹手術(膀胱全摘)を行った場合で異なります。

内視鏡手術後(TURBT後)の検査スケジュール

TURBT(内視鏡手術)の結果、膀胱を摘出する必要がないと判断された場合(筋層非浸潤性膀胱がん)は定期的に次の検査が繰り返されます。

  • 内視鏡検査(膀胱鏡検査)
  • 尿細胞診
  • 必要に応じてCT検査

筋層非浸潤性膀胱がんの再発は2年以内に多いということがよく知られています。2年間は手術後から3ヶ月ごとに再発の有無が調べられることが多いです。

■内視鏡検査(膀胱鏡検査)
内視鏡検査(膀胱鏡検査)は痛みに加えて羞恥心を伴うことから、患者さんにとっては悩みの種かもしれません。しかしながら再発を見つけるには膀胱鏡が最も優れた検査なので、他の検査での代用は難しいです。無再発が続くと、検査の間隔は長くなってくのが一般的です。

■尿細胞診
尿細胞診を行うと約半分の再発を見つけられると考えられています。反対の見方をすると、尿細胞診だけで経過観察を行うと、半分の再発を見逃す可能性があるとも考えられます。尿細胞診は身体への負担が少ない点で優れていますが、確実な検査とはいい難い点もあるので、膀胱鏡検査を併用して再発の見逃しを少なくします。

■CT検査
膀胱がんの悪性度が高いと腎盂尿管にがんが発生する場合があります。腎盂と尿管は腎臓でつくられた尿を膀胱へ運ぶ通り道になり、上部尿路と呼ばれます。
上部尿路にがんができやすい悪性度が高い場合や尿細胞診でがんが疑わしい場合(陽性もしくは疑陽性)には定期的なCT検査が検討されます。

膀胱摘出した後の検査

内視鏡手術と同じく、膀胱摘出後の再発も手術後2年以内が多いとされています。2年以内は厳重にフォローを行う必要があるので、3ヶ月から6ヶ月ごとにCT検査が行われ再発の有無が確認されます。もし再発が確認された場合は、抗がん剤による治療が行われます。

8. 膀胱がんの検査でよくある質問について

膀胱がんの検査は難しい言葉が多く、疑問を抱く患者さんは少なくありません。ここではよくある質問を中心に説明していきます。

膀胱がんの検査には入院が必要なのか

膀胱がんが疑わしい人には膀胱鏡が行われます。膀胱鏡だけなら日帰りでできますので入院する必要ないことが多いです。

膀胱腫瘍は膀胱がんだけではない?

膀胱腫瘍は膀胱に発生したできものの総称です。膀胱腫瘍には悪性腫瘍良性腫瘍があります。悪性腫瘍は主に膀胱がんですが、良性腫瘍は主に乳頭状腫瘍と呼ばれるものです。膀胱乳頭腫は多くはありません。また、良性腫瘍であるので、膀胱乳頭腫を放置しても命に関わることはないと考えられています。

膀胱がんに腫瘍マーカーはあるのか

腫瘍マーカーは、がんがあることで体内に作り出される微量の物質です。血液や尿の中に出てくる腫瘍マーカーの量を計測することにより、がんの有無について参考にすることができます。膀胱がんの腫瘍マーカーは尿中の物質が使われ、保険適用されているものは次の2つです。

  • NMP22 (Nuclear Matrix Protein 22)
  • BTA test (Bladder Tumor Antigen test)

尿中の腫瘍マーカーはありますが、細胞診や膀胱鏡検査より優れているとは考えられておらず、このため尿中の腫瘍マーカーが調べられることは一般的ではありません。

膀胱がんの悪性度はどう判断されているのか

がんの悪性度の強さを予測する指標として異型度があります。顕微鏡で見た特徴が正常な細胞に近いほど異型度が低く(悪性度が低い)、逆に正常な細胞と似ても似つかぬような形態を取る場合は異型度が高い(悪性度が高い)とみなされます。
異型度は細胞異型と構造異型の2つから判断されます。 細胞異型ではひとつひとつの細胞に注目して、細胞の形・大きさ・細胞の中身などが正常細胞にはない特徴を示しているかが判断されています。構造異型とは細胞の1つ1つに注目するのではなく、細胞の並びや向きなどに注目したときに見られる異常のことです。
膀胱がんの異型度は、細胞異型と構造異型を総合して2段階で評価します。異型が強い場合は高異型度(ハイグレード:high grade)、異型が弱い場合は低異型度(ロウグレード:low grade)とします。低異型度の膀胱がんは、周りに広がっていく(浸潤する)恐れが小さいと予測できます。
一方で、高異型度の膀胱がんは、周囲へ浸潤する傾向があります。高異型度の膀胱がんが見つかった場合、内視鏡で切除できた後でも注意が必要です。最初に治療目的の内視鏡手術を行ったあと、取り残したがんがないか確認するためにもう一度内視鏡手術を実施することがあります。
以前使われていた表記では、異型度を3段階で評価していました。異型度が低いものをG1、高いものをG3、中間をG2と表記していました。現在も高異型度/低異型度とG1-G3が併記されていることがあります。