ぼうこうがん
膀胱がん
膀胱の粘膜にできる悪性腫瘍
8人の医師がチェック 174回の改訂 最終更新: 2019.07.19

膀胱がんの検査とステージ:CT検査、MRI検査、膀胱鏡検査などを解説

膀胱がんは初期から血尿などの症状が出現します。例えば血尿を認めたときに膀胱がんを念頭においた検査が行われることは珍しくはありません。ここでは膀胱がんを疑った場合に必要な検査について紹介します。

1. 膀胱腫瘍は膀胱がんだけではない?

膀胱腫瘍は膀胱に発生した出来物の総称です。つまり、膀胱腫瘍は悪性腫瘍良性腫瘍の総称になります。悪性腫瘍とは膀胱がんのことです。良性腫瘍には膀胱乳頭腫と呼ばれるものがあります。

膀胱乳頭腫とは?

膀胱乳頭腫は膀胱にできる良性腫瘍です。頻度としては、まれです。膀胱乳頭腫を放置しても命に関わることはありません。

症状などから膀胱腫瘍が疑われた場合は、膀胱鏡(内視鏡)の検査を行います。腫瘍の形態などから良性腫瘍と悪性腫瘍をある程度見分けられます。しかし、内視鏡で見ただけで確定診断はできません。

内視鏡で良性腫瘍らしいと思われた場合も、基本的には内視鏡による手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術:TURBT)を行います。その後、切除した腫瘍を顕微鏡で調べる検査(病理検査)を行います。病理検査で膀胱乳頭腫と確定診断できます。

膀胱乳頭腫は良性腫瘍なので、他の臓器へ転移したりすることはありません。

他のまれな病気

膀胱がん以外の膀胱腫瘤の中にはまれな病気として、膀胱エンドメトリオーシスという女性特有の病気があります。

膀胱エンドメトリオーシスとは、膀胱に発生した子宮内膜症です。月経(生理)周期に一致して血尿などの症状が現れることがあります。血尿などの症状がひどい場合には手術などにより切除も考慮します。基本的には婦人科の疾患になるので、婦人科と協力して治療を行う場合があります。

2. 膀胱がんの異型度とは?

異型度とは、がん悪性度の強さを予測する指標です。顕微鏡で見た特徴が正常な細胞に近いほど悪性度は低く、逆に正常な細胞と似ても似つかぬような形態を取る場合は悪性度が高いとみなされます。

異型度は細胞異型と構造異型の2つから判断されます。細胞異型とはひとつひとつの細胞に注目して、細胞の形・大きさ・細胞の中身などが正常細胞にはない特徴を示しているかを判断しています。正常細胞と似ていない細胞は細胞異型が高いと判断されます。

構造異型とは細胞の1つ1つに注目するのではなく、細胞の並びや向きなどに注目したときに見られる異常のことです。

膀胱がんの異型度は、細胞異型と構造異型を総合して2段階で評価します。異型が強い場合は高異型度(ハイグレード:high grade)、異型が弱い場合は低異型度(ロウグレード:low grade)とします。

以前使われていた表記では、異型度を3段階で評価していました。異型度が低いものをG1、高いものをG3、中間をG2と表記していました。現在も高異型度/低異型度とG1-G3が併記されていることがあります。

低異型度の膀胱がんは、周りに広がっていく(浸潤する)恐れが小さいと予測できます。

一方で、高異型度の膀胱がんは、周囲へ浸潤する傾向があります。高異型度の膀胱がんが見つかった場合、内視鏡で切除できた後でも注意が必要です。最初に治療目的の内視鏡手術を行ったあと、取り残したがんがないか確認するためにもう一度内視鏡手術を実施することがあります。詳しくは「膀胱がんの手術はどんな手術?」で解説します。

3. 膀胱がんのステージとは?

どのがんでも病気の進行段階を客観的に表すことで、治療を選択するための基準とします。客観的な指標をステージという言い方で表します。

膀胱がんのステージを決めるにはTNM分類という形式が用いられます。

TNM分類には3つの要素があります。腫瘍の局所での状態(T)、リンパ節に転移(リンパ節転移)があるか(N)、離れた臓器に転移(遠隔転移)があるか(M)をそれぞれ評価します。

図:TNM分類の説明。

T分類とは?

TはTumor(腫瘍)の頭文字をとったものです。膀胱でのがんの状態を表しています。がんがもともと発生した場所のことを原発巣(げんぱつそう)と言います。T分類は原発巣の評価です。

膀胱がんは膀胱の表面(尿が入っている側)から発生し、しだいに奥深くに入り込んでいきます。膀胱がんの治療方針を決めるのに最も重要なのは、がんの根の深さです。T分類はがんの深さ(深達度)によって決めます。

図:膀胱がんのT分類の説明イラスト。

がんの深さを調べるには、膀胱の組織を取り出して顕微鏡で観察する必要があります。組織を顕微鏡で見る検査を病理検査と言います。経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)と言う方法で組織を取り出します。TURBTには内視鏡の一種である膀胱鏡を使います。膀胱鏡を尿道から入れると膀胱の中を観察したり膀胱の組織を取り出したりできます。膀胱鏡を使うことで、皮膚を切り開かないで膀胱の中の様子がわかります。TURBTは膀胱鏡を使って治療または診断の目的で膀胱の一部を切り取ることです。

T分類を決めるためには、CTMRIはあくまで補助的な検査として使われます。病理検査によってT分類が確定されます。

  • T-原発腫瘍
    • TX    原発腫瘍の評価が困難
    • T0    原発腫瘍なし
    • Ta  非浸潤性乳頭状腫瘍
    • Tis 上皮内(CIS)
    • T1 粘膜下結合組織までの浸潤
  • T2  筋層浸潤があるもの
    • T2a  筋層の1/2以下の浸潤  
    • T2b  筋層の1/2以上を超える深層への浸潤
  • T3  膀胱周囲脂肪組織への浸潤があるもの
    • T3a  顕微鏡的浸潤
    • T3b  肉眼的にはっきりとした壁外浸潤(壁外に腫瘤があるもの)
  • T4  隣接臓器への浸潤
    • T4a  前立腺、子宮あるいは膣への浸潤
    • T4b  骨盤あるいは腹壁への浸潤

N分類とは?

N分類はリンパ節転移についての評価です。Nはリンパ節(lymph node)を指すNodeの頭文字です。

がんは時間とともに徐々に大きくなり、リンパ管や血管などの壁を破壊し侵入していきます。リンパ管にはところどころにリンパ節という関所があり、リンパ管に侵入したがん細胞はリンパ節で一時的にせき止められます。がん細胞がリンパ節に定着して増殖している状態がリンパ節転移です。リンパ節転移があるとリンパ節は硬く大きくなります。リンパ節が大きくなる原因はがん以外にも感染症などです。

がん細胞が最初の段階でたどり着くリンパ節を所属リンパ節と呼びます。所属リンパ節のみの転移であれば所属リンパ節を切除することでがんを体から取り除く可能性が残されています。所属リンパ節以外のリンパ節に転移をしている場合は、手術で取り切れる可能性は少なく、全身化学療法抗がん剤)が検討されます。

治療前にリンパ節転移を評価するにはCTやMRIが使われます。

  • Nx  所属リンパ節転移の評価が不可能
  • N0  所属リンパ節転移なし
  • N1  小骨盤内の1個のリンパ節への転移を認める
  • N2  小骨盤内の多発性リンパ節転移を認める
  • N3  総腸骨領域へのリンパ節転移を認める

M分類とは?

M分類は遠隔転移の評価です。MはMetastasis(転移)の頭文字です。膀胱から離れた臓器に膀胱がんが転移することを遠隔転移と言います。所属リンパ節転移は遠隔転移とは言いません。単に「転移」と言うと遠隔転移を指す場合が多いです。

遠隔転移がある膀胱がんは、膀胱全摘の手術が勧められません。余命の延長を目的とした全身化学療法(抗がん剤治療)を行います。

M分類を決めるにはCT、MRIや骨シンチを用いて遠隔転移を探します。

  • Mx 遠隔転移の評価が困難
  • M0 遠隔転移なし
  • M1 遠隔転移あり

ステージはどう決める?

T分類、N分類、M分類の組み合わせによってステージが決まります。TNM分類は多くの種類のがんに使われていますが、がんの種類ごとに基準が違います。

膀胱がんのTNM分類とステージの対応を表に示します。

  N0 N1 N2 N3
Ta/Tis 0 - - -
T1
T2a、T2b
T3a、T3b
T4a
T4b
M1
Stage 0 Ta or Tis N0 M0
Stage Ⅰ T1 N0 M0
Stage Ⅱ T2 N0 M0
Stage Ⅲ T3 N0 M0
T4a N0 M0
Stage Ⅳ T4b N0 M0
any T N1-3 M0
any T any N M1

膀胱がんは、リンパ節転移がひとつでもあればステージⅣ(4)に分類されます。よくある誤解として、ステージⅣをすべて「末期がん」と考えるのは正確ではありません。ステージⅣに対する有効な治療もありますし、膀胱がんを治療しながら社会生活を送っている人もいます。

4. 膀胱がんの転移とは?

膀胱がんの転移とはがんが膀胱から外に出て別の臓器で増殖することです。膀胱がんが転移をしやすい場所は、肝臓、リンパ節、肺、骨です。

リンパ節転移がある時点でステージはlV(4)になります。しかし、リンパ節には所属リンパ節とそれ以外のリンパ節があり、どのリンパ節に転移したのかで大きく治療方針が異なります。

所属リンパ節は膀胱から近い位置のリンパ節です。所属リンパ節転移の程度によっては手術の前に化学療法を行うことにより根治(全てのがんを体の中から取り除くこと)が望める場合があります。

しかし、膀胱から離れた位置のリンパ節に明らかな転移が見つかった場合は、全身にがんがあると考えられるので、手術によって得られる利益が少なく、抗がん剤治療によって全身にあるがん細胞を叩く治療の方が理にかなっています。

このように同じリンパ節転移でも程度により治療法が大きく異なります。

対して、肝臓、肺、骨への転移があるときは程度によらず抗がん剤治療が中心になります。

リンパ節転移はリンパ管を通って流れてきたがん細胞によるものです(リンパ行性転移)。肝臓、肺、骨への転移はがん細胞が血管へ入り込んだ結果として起こると考えられています(血行性転移)。リンパ行性転移は隣り合ったリンパ節へと順々に広がっていきます。がんの近くにしかリンパ節転移がなければ、離れた場所にリンパ節転移が隠れている可能性は小さいと考えられます。

血行性転移はいきなり離れた臓器に現れます。このため、1か所にでも血行性転移が見つかったときは、ほかの臓器にもすでに血行性転移が起こっている可能性が大きいと考えられます。

このため、遠隔転移が見つかった場合は全身にがん細胞があると考え、手術をするべきではないと判断し、抗がん剤治療が行われます。

ほかに骨転移による疼痛(とうつう、痛み)や神経への影響などが現れている場合には、放射線治療を併用したり骨を増強する薬などを用いて治療を行います。

5. 膀胱がんの検査で何がわかる?

血尿や排尿障害、または超音波検査などで膀胱がんが疑わしい場合には、膀胱がんがあるのかないのかをさらに詳しく調べることになります。ここでは膀胱がんを疑う際に行われる検査について解説します。

尿検査

膀胱がんの検査では尿中にがん細胞が含まれているかを人が顕微鏡で見て確認する尿細胞診という検査が用いられます。尿細胞診の結果は現在は3段階で評価されます。

  • 陽性:がんの存在が強く疑われる
  • 疑陽性(ぎようせい):がんが存在するかどうかの判定が難しい
  • 陰性:がん細胞は存在しない

陽性と出ればかなりがんが疑わしいのですが、疑陽性であればがんかどうかの判断を確実にすることはできません。このため疑陽性の場合には数回検査を繰り返して検査結果に変化があるかどうかを観察します。

尿細胞診の結果は、今は3段階ですが、以前は5段階で評価されていました。今も併記している施設はあると思われるので下記に記します。

  • class Ⅰ:異型細胞を認めない
  • class Ⅲ:異型細胞を認めるが悪性ではない
  • class Ⅲ:悪性か良性かが判定困難な異型細胞をみる
    • Ⅲa:多分良性であろうと思われる異型細胞をみる
    • Ⅲb:悪性である可能性が示唆される異型細胞をみる
  • class Ⅳ:悪性を強く疑う細胞を認める
  • class Ⅴ:悪性細胞を認める

classⅢ以上の結果が出た場合は、他の検査結果と合わせてさらに詳しい検査が必要か判断されます。

腫瘍マーカー

がんの検査に腫瘍マーカーを使う場合があります。腫瘍マーカーは、がんがあることで体内に作り出される微量の物質です。血液や尿の中に出てくる腫瘍マーカーの量を計測することにより、がんの状態を調べることができます。

膀胱がんの腫瘍マーカーは尿中の物質で保険適用されているものが2種類あります。

  • NMP22 (Nuclear Matrix Protein 22)
  • BTA test (Bladder Tumor Antigen test)

一方で、膀胱がんに対して血液検査での腫瘍マーカーで有用なものは現在ありません。膀胱がんの腫瘍マーカーはまだあまり普及しているとは言い難いのが現状です。その理由としては検査の精度があまり高くないので、用いる場面がほとんどないからです。

膀胱鏡

膀胱を観察する内視鏡(膀胱鏡)は2種類あります。柔らかい軟性鏡(なんせいきょう)と棒状の硬性鏡(こうせいきょう)です。ともに尿道の先から挿入します。

軟性鏡のほうが後に開発されました。軟性鏡により検査の痛みが大幅に減り患者さんの負担が大きく軽減しました。特に男性は尿道が約18cmと長いために膀胱まで硬性鏡を挿入するのにかなりの苦痛が伴ないましたが、軟性鏡になって検査の負担がかなり減りました。女性の尿道は4cmと短いので硬性鏡を入れても痛みが男性ほど強くはなく、硬性鏡を用いて観察を行うことが多いです。

画像検査

  • CT
    • 膀胱がんが他の臓器に転移をしているかどうかの判断に有用な画像検査です。肺から骨盤まで撮影を行います。放射線を使う検査です。
  • MRI
    • 膀胱の局所の評価を行う画像検査です。がんの根の深さの推定に用います。しかし、がんの深達度の最終的な診断はTURBTで行うことになります。CTとは違って放射線を使いません。強力な磁気を使うので、体の中にペースメーカーなどの金属製品が入っている人はMRIを撮影できない場合があります。
  • 骨シンチ
    • 放射線を使って全身を撮影する画像検査です。骨の様子が写ります。膀胱がんは骨転移が多いがんです。特に進行がんの場合には、骨シンチで転移の有無を確認することがあります。表在性がんでは通常は行われないことが多いです。

6. 膀胱がんの検査は入院?

膀胱がんが疑わしい場合は膀胱鏡を行い膀胱内を観察します。膀胱鏡だけなら日帰りでできますので入院する必要はありません。

ただし、膀胱の腫瘍ががんかどうかの確定を行うには、入院し内視鏡で腫瘍を切除して、その腫瘍を顕微鏡で見る検査(病理検査)で確認する必要があります。

膀胱の腫瘍を内視鏡で切除することをTURBTと言います。TURBTには検査と治療の両方の意味合いがあります。医師からはTURBTのことを「手術」と説明されるケースが多いと思います。しかし、明らかにがんがどうかわからないものを切除する場合には「検査」と説明されることもあります。詳しくは「膀胱がんの手術はどんな手術?」で解説しています。

膀胱がんの検査にかかる期間は?

膀胱がんの検査は基本的には、入院で行うことはまれです。

外来での膀胱鏡やMRI、CTなどで膀胱がんが疑わしい場合は、内視鏡による膀胱腫瘍の切除(TURBT)を行います。TURBTについては別頁でも紹介しているように手術の部類に入りますが、検査的な性格も持ち合わせているのでまれに検査が主目的という場合があります。TURBTの入院期間は1週間程度です。TURBTで腫瘍を切除し病理検査を行った結果がんが見つかった場合に、膀胱がんの確定診断となります。ごくまれに良性腫瘍が見つかる場合もあります。

尿細胞診

尿の中にがん細胞が存在するかを判定する検査です。通常の尿検査を用いて行われます。尿細胞診は、顕微鏡で尿の中にがん細胞がいるかどうかを人(病理医)が見て判断しています。検査結果は、陽性、疑陽性、陰性で判定されます。検査結果が返ってくるまでの期間は施設によりますが、1〜2週間を要します。

尿細胞診の結果の解釈などの詳細は「膀胱がんの検査で何がわかる?」で解説しています。

切除した腫瘍の評価(病理検査)

膀胱がんの切除の方法は大きく分けて2通りあります。

  • 内視鏡手術(TURBT)による切除
  • 開腹手術によって膀胱を全て切除した場合

ともに病理検査という顕微鏡による診断を行います。

TURBTでは腫瘍の深達度や悪性度について評価が行われます。この検査結果によって追加の治療が必要なのか、必要な場合はどのような治療が適しているかということが決定されます。重要な検査です。顕微鏡を使って人(病理医)の目によって診断が行われます。1-2週間で検査結果が出ます。退院後最初の外来で結果報告が行われることが多いです。

開腹手術(膀胱全摘)により膀胱を切除した場合には、病理検査では、膀胱を細かく切り、くまなく膀胱の状態を調べます。がんの根の深さや、リンパ管や血管にがんが入っていないか、同時に摘出したリンパ節に転移があるのかなどの評価が行われます。

膀胱全摘後の病理検査はTURBTの病理検査より見るべきポイントが多く時間を要します。結果が出るまでに3週間程度かかることもあります。結果によって抗がん剤治療が必要かどうかの評価が行われます。抗がん剤治療に関しては「膀胱がんのBCG治療/抗がん剤治療/放射線治療とは?」で解説しています。

7. 膀胱がんの再発の検査は何をする?

膀胱がんは根が浅い早期の場合でも高い確率で再発します。再発率が高いことから、しっかりとした経過観察が必要となります。

再発を調べる検査(術後のフォロー)は、最初に内視鏡手術(TURBT)を行った場合と開腹手術(膀胱全摘)を行った場合で異なります。それぞれ説明します。

内視鏡治療後(TURBT後)の検査

TURBTの後に、ひとまず膀胱を摘出する必要がないと判断された場合です。TURBTで取り出した膀胱がんを顕微鏡で観察し(病理検査)、その結果がんが膀胱の筋層という深い層までがんが届いていなかった場合(筋層非浸潤性膀胱がん)は膀胱全摘の必要がないと判断します。

フォローに使う検査は下記の通りです。

  • 膀胱鏡
  • 尿細胞診
  • 必要に応じてCT

筋層非浸潤性膀胱がんの再発は2年以内に多いということはよく知られています。手術の後から3ヶ月毎に再発の有無を調べる検査を行うことが多いです。具体的には膀胱鏡と尿細胞診を行います。

膀胱鏡は必要か?

膀胱鏡は痛みに加えて羞恥心も伴うことから患者さんにとって苦痛をともなう検査です。しかしながら膀胱がんの膀胱内再発の診断には膀胱鏡が最も優れた検査です。現在では他の検査で膀胱鏡の代用ができません。柔らかい膀胱鏡(軟性鏡)の登場で痛みの面では改善が見られています。

手術の後は3ヶ月に1回の膀胱鏡検査を行うことが多いですが、がんの程度などを参考に少しずつ間隔を伸ばしていくことが一般的です。手術後2年は特に再発が多いので、注意が必要です。

尿細胞診は有用か?

膀胱がんの再発を調べるときに尿細胞診の感度は40-60%と言われています。再発していれば40-60%の割合で発見できるという意味です。尿細胞診のみで手術の後の経過観察を行うのは見逃す可能性があるので、膀胱鏡も同時に施行する必要があります。

膀胱鏡をするのであれば尿細胞診は不要ではないかと考えるかもしれませんが、腎盂(じんう)や尿管に再発する場合があり、この場合の再発を検出するのには尿細胞診が有効です。

CT検査が考慮されるケースは?

膀胱がんの悪性度が高いと腎盂や尿管にもがんが発生する場合があります。腎盂と尿管は腎臓でつくられた尿を膀胱へ運ぶ通り道になり、上部尿路と呼ばれます。

膀胱がんでも悪性度が高い場合や尿細胞診でがんが疑わしい場合(陽性もしくは疑陽性)などではCT検査を定期的に行うことが考慮されます。

膀胱摘出した後の検査

浸潤性膀胱がんに対する標準治療は膀胱全摘除術です。TURBTによって取り出した組織(膀胱がん)の病理検査を行い、筋層までがんが入り込んでいた場合(筋層浸潤性膀胱がん)は膀胱全摘の対象となります。

浸潤性膀胱がんの再発も手術後2年以内が多いとされています。2年以内のフォローは厳重に行う必要があるので、3-6ヶ月毎にCTを撮影し再発がないかを確認することが勧められています。

■再発する部位

  • 膀胱があった場所への再発(局所再発) 5-15%
  • 膀胱から離れた場所への再発(遠隔転移) 20-50%

膀胱を切除した後の顕微鏡による検査(病理検査)によって、検査する間隔が短くなったり長くなったりします。

もし再発が確認された場合は、抗がん剤による治療を行います。

特殊な再発の形として上部尿路に再発する場合があります。治療法が異なるので「膀胱がんの治療はどうやって選ぶ?」で解説しています。