げんぱつせいめんえきふぜんしょう
原発性免疫不全症
生まれつき、免疫力が低下していて、感染症を起こしやすくなる病気
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最終更新: 2017.12.06
原発性免疫不全症の基礎知識
POINT 原発性免疫不全症とは
生まれつき免疫力が低くなる病気です。免疫不全を大きく分けると、細胞性免疫不全・液性免疫不全・好中球能低下・バリアの破綻となりますが、病気のタイプによってそのいずれが低下しているか変わります。合併した病気によって症状は変わります。 病気の経過に加えて血液検査や遺伝子検査を用いて診断します。予防的に抗菌薬を用いたり免疫グロブリンを補充して治療します。また、予防接種を受けることもとても需要になります。原発性免疫不全症が心配な人や治療したい人は、小児科や感染症内科を受診して下さい。
原発性免疫不全症について
- 生まれつき、免疫力が低下していて、感染症を起こしやすくなる病気
- 白血球(リンパ球、好中球)や免疫グロブリン、補体などの働きが低下することで起こる
- 原発性免疫不全症を起こす病気は以下のようなものがある
- 複合免疫不全症
- B細胞系(液性免疫)及びT細胞系(細胞性免疫)の免疫不全をきたす
- Tリンパ球の数が足りなかったり機能が低下している状態に、ガンマグロブリンの機能が低下しているものを重症複合免疫不全症という
- 以下の病気になりやすくなる
- ウイルス感染
- 真菌感染
- ニューモシスチス・イロベチ(Pneumocystis jirovecii)肺炎(PCP)
- 結核菌感染
- 非定型抗酸菌感染
- 根本的な治療は造血幹細胞を移植して、免疫不全のない状態にすることである
- 造血幹細胞移植を行わなければ2歳までにほとんどの赤ちゃんがなくなってしまう
- 低下している免疫をカバーする意味で、ST合剤・抗真菌薬・ガンマグロブリンを定期的に投薬する
- 免疫不全を伴う特徴的な症候群
- 免疫の低下する病気の中でも、特徴的な症状を持つ免疫不全症を指す
- 以下の病気がこの群に含まれる
- ウィスコット・オルドリッチ(Wiskott-Aldrich)症候群
- 毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia-Teleangiectasia)
- 高IgE症候群
- 液性免疫不全を主とする疾患
- 免疫調節障害
- キラーT細胞やNK細胞といった感染細胞の機能障害によって免疫不全となる
- 以下の病気がこの群に含まれる
- Chediak-Higashi症候群
- 家族性血球貪食リンパ組織球増殖症
- X連鎖リンパ増殖症候群
- 自己免疫性リンパ増殖症候群
- 原発性食細胞機能不全症及び欠損症
- 自然免疫異常
- 自己炎症性疾患
- 先天性補体欠損症
- 複合免疫不全症
- 罹患率は1万人に1人程度の頻度である
- 生後6か月~2歳ごろに発覚することが多い
- 遺伝するものが多いため、家族にこれらの病気の人がいる場合には、病院で生活の注意などを相談すると良い
原発性免疫不全症の症状
- 乳児のころから感染症を短期間にくり返す
- 体重が増えない
- 抗菌薬を用いて感染症治療を行っても、効果に乏しいことがある
原発性免疫不全症の検査・診断
- 血液検査:免疫反応に異常がないか調べる
- 遺伝子検査:遺伝子に異常がないか調べる
- 悪性腫瘍やAIDSなど、後天的に免疫不全を起こす病気についても調べる
原発性免疫不全症の治療法
- 主な治療
- 感染予防を日頃の生活から心がける
- 手洗とうがいを徹底する
- 家庭環境の整備
- 免疫力がとても低い場合には、野菜の土を避けたり、掃除に気を使ったりして清潔を保つ必要がある
- 薬物療法
- 免疫グロブリン補充療法
- 予防的抗菌薬の使用
- 予防接種の接種
- 手術
- 造血幹細胞移植:白血球を作る正常な細胞を移植する
- 感染予防を日頃の生活から心がける
- 先天性免疫不全の子供に生ワクチンの接種を行うと命に関わるような全身感染を起こしうるので、絶対に生ワクチンは打ってはいけない
- それ以外のワクチンについては、効果がある場合とない場合があるため、主治医と相談する必要がある
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