てあしくちびょう
手足口病
子供におこるウイルス感染症の一つ。口や手足にぶつぶつができる
17人の医師がチェック 188回の改訂 最終更新: 2023.12.04

手足口病は周囲の人にうつるのか

手足口病は周囲にうつす可能性のある病気です。ここでは手足口病がどうやって周囲の人にうつるのか、どうすれば手足口病の感染を防げるのかを解説していきます。

1. 手足口病に気を付けるのはどんなとき?

手足口病はうつる病気です。主に夏に流行します。基本的には世の中で流行しだしてから気をつければ十分です。手足口病の流行情報は見逃さないようにしてください。

ただし、自分の子どもがいる保育園や学校で流行が始まることもあります。同じ施設の中で手足口病にかかった子どもが出たら、感染を予防する対策を取ってください。大人の手足口病は少ないですが、手足口病にかかった子どもから大人に感染してしまうことはあります。

2. 手足口病にかかりやすい人の特徴は?

手足口病は、5歳以下の子どもがかかりやすく、特に原因のウイルスに感染しやすい環境にはリスクがあります。1歳未満の赤ちゃんにもうつります。

手足口病が流行しやすい集団生活に注意

手足口病のウイルスに触れる機会が多い環境にいると手足口病にかかりやすくなります。託児所に入所している子供は、周りにも手足口病にかかりやすい年齢の子供が大勢いる中で生活することになるため、手足口病にかかるリスクが上がります。乳幼児が集団生活をしている保育施設で集団感染する例が見られています。

手足口病の流行防止には清潔が大事

清潔を保つことも手足口病の予防のために重要です。

手洗いの習慣がないと手足口病にかかりやすくなります。ハエ(イエバエ)がウイルスを運ぶことがあるので、不潔な環境にいると手足口病に感染しやすくなります。

手足口病の原因であるエンテロウイルスは、土の中ではおよそ6ヶ月生きています。このため、汚い土に触れて手を洗わないと手足口病に感染してしまう可能性があります。

3. 手足口病の感染力はどれぐらい?

手足口病は、症状が出ている人からうつるだけでなく、感染しているが症状がない人、つまり潜伏期間にある人からもほかの人にうつります。

特に5歳以下の乳幼児が集まっている保育施設や乳幼児のいる家庭では注意が必要です。

また、水疱(水ぶくれ)ができてからそれが潰れるまでは特に感染しやすいため注意が必要と考えられています。

4. 手足口病の感染経路は?

手足口病が感染する仕方は、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染(せっしょくかんせん)と呼ばれるものです。

感染した人がほかの人の目の前で咳やくしゃみをしたり、直接触れたりすると、うつる可能性があります。お風呂やプールでうつることもあります。

水ぶくれなどの症状が出ている手足や唇だけでなく、咳やくしゃみで飛び散る飛沫(しぶき)にも触れないようにするには、マスクが役に立ちます。

飛沫感染、接触感染とは?

一般に、細菌やウイルスなどの感染源が人から人にうつる仕方(感染経路)は、大きく3つが考えられています。

  • 空気感染飛沫核感染、ひまつかくかんせん):5μm(マイクロメートル、1μmは1mmの1000分の1)未満の大きさの感染源が空中を浮遊してうつります。空気中は1m以上は容易に移動できます。
  • 飛沫感染:5μm以上の感染源が、咳やくしゃみや会話の際に唾液などの飛沫(しぶき)に含まれて飛び散ることでうつります。空気中を短距離であれば移動できます。
  • 接触感染:患者やその周囲に触れることでうつります。

感染源の種類によって、どの仕方で感染するかは違います。

手足口病の飛沫感染・接触感染を防ぐには?

手足口病のウイルスには飛沫感染と接触感染があります。このため、手足口病の予防には、まず接触感染を予防する意味で手洗いうがいに努めることが重要となります。症状が出ている唇や口の中には触れないでください。手足に触れたときには特に手洗いを忘れないようにしてください。

手足口病の飛沫感染を予防する意味ではマスクが対策になります。

手足口病が流行しているときには、外出でも子供が集まっている場所には気を付けてください。手足口病にかかったときには必要の弱い外出は控えてください。

ただし、感染のもとになるのは症状が出ている人だけではありません。次に説明します。

5. 手足口病の潜伏期間は何日?

手足口病の原因となるウイルスに感染すると、3日から5日程度遅れて症状が出てきます。感染してから症状が出るまでを潜伏期間と言います。潜伏期間にもほかの人に感染を広げる可能性があります。

潜伏期間とは?

手足口病のウイルスは、感染してから全身に広がり、増殖して、体にダメージを与えるようになるまでに3日から5日程度かかります。それまでの間は症状がないので潜伏期間となります。潜伏期間には水ぶくれの症状がないので、感染しているかいないかを見た目で区別できません。ところが、ウイルスはこの時期から体の外に排出されているので、感染を広げる可能性があります。

手足口病の潜伏期間にどう対策する?

このため、身近に手足口病と疑わしい人がいるときには、その周りの潜伏期間にある人から自分が感染してしまうのを防ぐことと、自分が潜伏期間にある間にほかの人に感染を広げてしまうのを防ぐことに注意が必要です。

つまり、症状が出ている人に直接接触していなくても、自分に症状がなくても、手洗いとうがいをしてください。

6. 手足口病はどうやって予防する?

手足口病に対するワクチンは存在しません。つまり、予防接種で手足口病を予防することはできません。ウイルスが体内に入るのを防ぐことが手足口病の予防になります。

こんなときは手を洗おう!

症状が出ている人や、その周りのものに触れることが感染の原因になります。手足口病にかかった人が近くにいるときは、体に直接触ったり、周囲にある服などに触ることはできるだけ避けてください。触れた場合はしっかりと手洗いしてください。手洗いとうがいに努めてウイルスが体の中に入らないようにしてください。

便、唾にも気を付けて

便の中にもウイルスが存在しますので、排泄物やおむつをきちんと管理して、周囲にウイルスを拡散しないことも大切です。

咳やくしゃみ、会話によって唾が飛ぶことも感染の原因になります。症状がある人、その周りの人がマスクをつけることで、唾が飛んで吸い込まれるのを防げます。

症状がない人からも感染する

潜伏期間で症状が出ていない人からも感染する可能性があります。このため、症状がある人だけでなく、その周りにいる人にも対策が必要です。

手足口病は再発する

手足口病のウイルスは免疫の働きで退治されるので、症状は自然に治っていきますが、「免疫がついたのでもう二度とかからない」とはなりません。複数回にわたって同じ人が手足口病にかかることもあります。

手足口病対策はどれぐらい厳密に考えるべきか

予防法としては以上のことが考えられますが、手足口病が重症になることは珍しいので、厳密に隔離を行う必要がないという見解もあります。一般的な見解としては、水ぶくれの症状があるうちは自宅で安静にするといったものが多いです。

うつったかも、と思ったら、小児科、皮膚科、内科のある病院・クリニックに相談してみてください。