手足口病に似た病気は?診断に役立つポイントの見分け方
手足口病は、経過と水ぶくれの様子で総合的に診断します。5歳以下の子供に多く、夏に多いことが重要な特徴です。似た病気のヘルパンギーナ、プール熱、水ぼうそうと見分けて手足口病を診断するポイントを説明します。
目次
1. 水ぶくれがあっても手足口病と診断できない?
手足口病の水ぶくれは手のひら・足の裏・口の中にあることがほとんどです。そのため、手のひら・足の裏・口の中以外に水ぶくれができた場合は、違う病気が考えられます。
口の中の水ぶくれは唇の裏にできたり、
手足口病にかかるのは誰?
手足口病は5歳以下の子供に多く、主に夏に流行します。うつる病気で、1歳未満の赤ちゃんにもうつります。大人の手足口病は数は少ないですが、子供から大人に手足口病がうつることはあります。
手足口病を誤診することはある?
手足口病と水ぶくれの形や位置が紛らわしい病気もあります。手足口病に似た病気と区別していくことが、手足口病の診断では重要になります。
手足口病であれば重症になることはほとんどなく、自然に治りますが、紛らわしい病気の中には怖い病気もあります。見分ける手掛かりになる情報を以下で説明します。
2. 手足口病に似た病気一覧
手足口病は夏に流行る手足や口の中に水ぶくれができる病気です。手足口病と症状の似た病気も多く、それらは紛らわしいです。
手足口病と似た症状がある病気に
- ヘルパンギーナ
- アフタ性口内炎
- 単純疱疹(たんじゅんほうしん)
- 水痘(すいとう、水疱瘡、水ぼうそう)
- 麻疹(ましん、はしか)
- ベーチェット病
- 天疱瘡(てんぽうそう)
- 咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ、プール熱)
- 淋菌感染症(淋病)
が挙げられます。
この中で、手足口病にかかるような小さい子供がかかる病気かどうかを考えますと、ベーチェット病・天疱瘡・淋菌感染症(淋病)は心配する必要はないと思われます。
残ったものの中で、特に紛らわしいヘルパンギーナ、プール熱、水ぼうそうについて以下で説明します。
3. 手足口病に似た病気1:ヘルパンギーナ
上の表の中でも、ヘルパンギーナは特に手足口病と似た病気です。ヘルパンギーナは、3歳から10歳の子供に多く、主に夏に流行する
ヘルパンギーナはほかにも手足口病と似たところが多いので、次の「手足口病に似ているヘルパンギーナとは?症状の違いと対策を解説」の項で詳しく説明しています。
4. 手足口病に似た病気2:プール熱
夏に流行るプール熱という病気は手足口病と似て、5歳以下の子供に多く、喉(のど)の痛みなどの症状があります。
プール熱とは?
プール熱は正式には咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)という名前で、
プール熱の症状が出るのはいつ?
プール熱にかかる人の6割ほどが5歳以下です。7月から8月に流行する場合が多いです。感染した人がプールに入ると、同じプールにいた人が感染する原因となりえます。
プール熱の症状は、5日から7日の
手足口病とプール熱の見分け方
この病気は、夏に流行ることと喉の痛みが出ることから、手足口病やヘルパンギーナと似ています。手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱はよく似ていて、見分けるのは簡単ではないですが、症状の出ている場所である程度判断できます。
表 病気ごとの症状が出やすい場所
病気 | 部位 | |
---|---|---|
手足口病 | 手、足、口の中(舌や口の壁も) | |
ヘルパンギーナ | 口の中(喉の奥) | |
プール熱 | 眼と口の中(喉の奥) |
5. 手足口病に似た病気3:水ぼうそう
手足口病とほぼ同じ年齢の子供に起こりやすく、似たような水ぶくれが出てくる病気に水ぼうそうがあります。手足口病と水ぼうそうは治療法が違うので見分ける必要があります。
水ぼうそう(水疱瘡、水痘)はウイルスの感染が原因です。
水ぼうそうの特徴は?
手足口病の水ぶくれと水ぼうそうの水ぶくれは、できる場所などに違った特徴があります。手足口病の水ぶくれは手足や口の中にほぼ限られます。対して、水ぼうそうでは全身(時に顔面とお腹や背中)に数百個の
水ぼうそうの皮疹は、水ぶくれであったり、赤い斑点であったり、様々な種類が存在します。また、皮疹のある部分はかゆみを伴うことが多いです。
水ぼうそうはワクチンで予防できる
手足口病と水ぼうそうのもうひとつの大事な違いは、手足口病は予防接種で防げないが、水ぼうそうは予防できるという点です。2014年からは水ぼうそうのワクチン接種が定期接種となりましたので、今後は子供の水ぼうそう患者数は減っていくことが予想されます。しかし、水ぼうそうのウイルスはまだまだ日本中に多く分布していますので、いざというときに見分けられるようにしておく価値はあります。
6. 手足口病かなと思ったら病院へ
子供の手足や口に水ぶくれができたら、最初のリストに挙げた病気と見分けて正しく診断することで、適切な治療ができます。小児科、皮膚科、内科のある病院・クリニックで相談してください。