2015.07.22 | コラム

夏場に流行するウイルス性疾患①〔小児科に行く前に〕

夏風邪の原因となる手足口病、ヘルパンギーナ
夏場に流行するウイルス性疾患①〔小児科に行く前に〕の写真
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ヘルパンギーナは口内炎や突然高熱がでる喉の風邪。手足口病は手・足・口やおしり、ひざなどに水泡様発疹が出現します。口内炎などの特徴的な症状がなくても夏の熱はほとんどがエンテロウイルスによる風邪。特効薬がないため、対症療法が基本。登校・登園は熱が下がり、食事が十分とれるようになれば可能です。重症の合併症をおこすこともあり、強い頭痛や嘔吐、意識障害、顔色不良、胸痛を伴うときは救急受診が必要になります。

最近流行している「手足口病」「ヘルパンギーナ」といった夏風邪について解説したいと思います。

 

◆ヘルパンギーナ・手足口病とは?

ヘルパンギーナは、熱と口の粘膜にあらわれる小さな水ぶくれを伴う発疹それに伴う痛みを特徴とする疾患です。ヘルパンギーナという名は「ヘルペス」=「水泡」、「アンギーナ」=「痛み」という意味があり、これがくっついて喉の強い痛みを引き起こす「ヘルパンギーナ」という疾患の呼び名になりました。流行するもののほとんどが、エンテロウイルス属のA群コクサッキーウイルスの感染によるものです。夏に流行する特徴があります。患者の年齢は4歳以下がほとんどで、1歳代がもっとも多く、ついで2歳、3歳、4歳、0歳代の順で多い疾患です。

手足口病は同じエンテロウイルス属の感染症喉や手足、おしり、ひざなどに水泡、発疹ができますが、あまり熱は高くなく軽症のことが多いです。

また、ヘルパンギーナ手足口病のような特徴的な症状がなくても、夏の熱性疾患ではほとんどがエンテロウイルス感染症と考えられます。

エンテロウイルスとは、ピコルナウイルス科の多数のウイルスの総称です。ポリオウイルス、A群コクサッキーウイルス(CA)、B群コクサッキーウイルス(CB)、エコーウイルス、エンテロウイルス(68~71 型)など多くの種類があります。多数の種類があるため、同じ疾患に何度もかかります

 

◆感染経路

くしゃみや唾液を通じて感染する飛沫・接触感染便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染する糞口感染があります。特に、幼稚園や保育園では乳幼児間での接触が多く、集団発生することが多いことが特徴です。急性期にもっともウイルスが排泄され感染力が強いですが、エンテロウイルス感染は回復後にも2~4週間の長期にわたり、便からウイルスが検出されます。

 

◆症状

感染後、2~4 日の潜伏期間があり、その後症状が出現します。

ヘルパンギーナ発熱に続いて喉の粘膜の発赤が見られます。口の中の喉の上側(軟口蓋、口蓋弓)に直径1~2mm 、大きいものでは5mm程度に赤く腫れ、中心部に小さな水膨れを伴った発疹が出現します。その水ぶくれは破れて、浅い潰瘍となり、痛みが出現します。発熱については2 ~4 日間程度続き、解熱後にやや遅れて粘膜疹も消失していきます。

手足口病手のひら、指の間、足の裏、口の中、膝、おしりなどに水疱性発疹がみられます。発熱も約3分の1の人に出現しますが、あまり高くならないことが多いです。

ヘルパンギーナ手足口病および夏風邪といわれるエンテロウイルス感染症は稀ですが、髄膜炎(強い頭痛、嘔吐)、脳炎(意識障害、ふらつき)、急性心筋炎(著しい顔色不良、胸痛、呼吸困難)などを合併することがありますので、注意深い経過観察が必要です。 

 

◆治療

ウイルスによる疾患ですので、特効薬はありません。症状に合わせて、痛みどめや抗炎症作用のある薬を使ったりしますが、どれも、ウイルス自体をやっつける薬ではなく、症状を緩和したり、体力の回復を助けるような薬になります。

喉の痛みなどから水分摂取が低下し、脱水を引き起こさない様にこまめに水分を摂取したり、症状を和らげる解熱剤などを使用しながら、子供の免疫の力で治るのを待ちます。

発疹に関しても、特に使用すべき塗布薬はありません。ただかきむしってしまいそこから細菌感染を起こし、とびひの状態になることもあるので、注意が必要です。

 

◆登校・登園

症状から回復した後も、ウイルスは長期にわたって便から排泄されることがあるので、急性期のみの登校登園停止による、学校・幼稚園・保育園などでの厳密な流行阻止効果は期待ができません。本症の大部分は軽症疾患であり、登校登園については流行阻止の目的というよりも、患者本人の状態によって判断すべきであると考えられています。

 

◆保護者の方へのひとこと

手足口病ヘルパンギーナもウイルスが引き起こす風邪の一種です。風邪の中でも、皮膚の発疹や喉の症状が特徴的なため、特殊な名前が付けられています。手足口病ヘルパンギーナと診断を受けても、慌てずに、しっかりとウイルス感染に対する対症療法(出ている症状を和らげたり体力の回復を助ける治療)をしっかり行うことを心がけてください。

 

【編集部注】

この記事は、「キャップスクリニック」のサイトで公開中の記事をもとに作成しています。

http://www.caps-clinic.jp/forparents

執筆者

白岡 亮平

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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