きょけつせいだいちょうえん
虚血性大腸炎
大腸への血のめぐりが悪くなり必要な酸素や栄養が届かなくなるため、大腸が炎症を起こしたり大腸が壊死したりしてしまう病気
8人の医師がチェック 81回の改訂 最終更新: 2022.03.04

虚血性大腸炎を再発させないために:便秘の解消・動脈硬化の予防など

虚血性大腸炎と診断された方は突然お腹が痛くなり血便が出て、怖い経験だったと思います。虚血性大腸炎は一定の確率で再発することが知られています。虚血性大腸炎の再発をできるだけしないような取り組みを考えてみます。

1. 虚血性大腸炎の再発予防には便秘を予防・解消しよう

便秘が起こると腸の中には便がたまった状態になり腸管の中の圧力が高くなります。腸管内の圧力が高くなると腸への血流が落ちやすくなります。虚血性大腸炎は大腸への血流が一時的に低下することが原因とされています。したがって便秘は虚血性大腸炎の原因になりうると考えられています。

便秘にならないようにすることや便秘を解消することは虚血性大腸炎の再発予防に有効な可能性があります。便秘自体がつらい症状なので、便秘解消だけを目的と考えても効果的な方法には価値があると言えるでしょう。

便秘の解消・予防には以下のような方法があります。

  • 食物繊維が多い食べ物を積極的に摂取する
  • 水分を摂取する
  • 生活リズムを整える(食事の時間、就寝時間)
  • 適度な運動を生活に取り入れる

日常生活に便秘の解消・予防によい習慣を取り入れることができます。食物繊維や水分の積極的な摂取は便秘の改善・予防に効果的です。また規則正しい生活や適度な運動をすることは腸によい刺激を与えることができ腸の動きを活発化することができます。

日常生活で工夫をしても便秘を解消できない場合は医師に相談して便を柔らかくする薬などを検討してもらうこともよいでしょう。

2. 虚血性大腸炎のリスクになる動脈硬化の治療や予防をする

虚血性大腸炎の原因の一つとして血管が硬くなったり細くなったりする動脈硬化が考えられています。動脈硬化が進むと血液の流れが悪くなります。虚血性大腸炎は一時的に血流が悪くなることが原因として起こります。動脈硬化のある状態は虚血性大腸炎が起こりやすい状態にあるといえます。

動脈硬化の発生や進行を防ぐことは間接的かもしれませんが虚血性大腸炎の再発予防には有利に働くと考えられます。動脈硬化につながる主な要素として次の5つが知られています。

動脈硬化は無症状のうちに進行していきます。症状がないため、いつの間にかかなり進んだ状態になっていることもあり、たちが悪い病気とも言えます。動脈硬化は心筋梗塞などの命に関わる病気につながるため、動脈硬化を抑えることは一般に大きな意味があります。

以下で動脈硬化に関係のある病気や生活習慣について解説します。

高血圧・脂質異常症(高脂血症)・糖尿病などの持病がある場合

高血圧・脂質異常症高脂血症)・糖尿病は動脈硬化を起こす原因になります。これらの病気を抱えると長期に渡って内服治療が必要なこともあります。高血圧・脂質異常症糖尿病はほとんどの場合、症状がありません。症状がないためについつい内服するのを忘れたり日常生活の注意点をわすれがちになる人も中にはいます。しかし日々のしっかりとした治療が動脈硬化やそれにともなう病気を予防している側面も忘れないようにしてください。日々の診察や内服治療の意味を考えながら治療にのぞむことが大切です。

禁煙

喫煙は動脈硬化の原因の一つとして知られています。

喫煙は動脈硬化以外にもいくつかのがんの発生にも強く関わっており、虚血性心疾患狭心症心筋梗塞など)や脳梗塞発症する危険性を上昇させます。禁煙をすることは健康面において多くの利益をもたらしてくれるでしょう。

肥満の解消

肥満は一般的には正常範囲を超えて体重が増加している状態です。医学的にはBMI(体重[kg]÷身長[m]÷身長[m])が25以上の人が肥満と定義されます。

肥満は高血圧、糖尿病など様々な病気と強い関連があります。他の病気の状態を良くする意味でも肥満の解消に前向きに取り組んでみてください。