たかやすどうみゃくえん(だいどうみゃくしょうこうぐん)
高安動脈炎(大動脈炎症候群)
全身の大きな動脈に炎症が起きる病気。大動脈や頭、肺、心臓などの臓器につながる動脈の壁に炎症が起き、様々な症状がおこる。
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最終更新: 2019.01.11
高安動脈炎(大動脈炎症候群)の基礎知識
POINT 高安動脈炎(大動脈炎症候群)とは
大動脈やその枝の太い血管に炎症が起こる病気です。40歳以下の方に起こることが多いです。太い血管に炎症が起こり閉塞すると、脈が触れなかったり、めまいを自覚します。血圧の左右差や発熱、体重減少も代表的な症状です。大動脈の炎症は持続すると動脈瘤や心臓の合併症を誘発するため、診断されると治療が必要です。診断のためには血液検査、CT、MRI、心臓超音波検査などを行います。治療薬としてはステロイド、免疫抑制薬などの薬剤を使用します。気になる方はリウマチ内科、膠原病内科を受診してください。
高安動脈炎(大動脈炎症候群)について
- 全身の大きな動脈に
炎症 が起きる病気大動脈 や頭・腕・足・内臓に血液を運ぶ血管に炎症が起きて、血管の形や性質が変化してしまう(血管が狭くなったり拡がったりなど)自己免疫 が関わっていると考えられている
- 推定患者数は日本国内で約5000人でまれな病気である
- 毎年約200人程度が新たに
発症 - 男女比は1:9で女性に多く、20代で発症することが多い
- 毎年約200人程度が新たに
- 高安動脈炎は1908年に日本の眼科医の高安右人によって報告されたことからこの名前がついている
- 特定疾患に指定されており、申請を行えば
症状 の進行具合によって医療費の補助を受けることができる
高安動脈炎(大動脈炎症候群)の症状
- 初期は、
炎症 が起こっていることによる全身の症状 が出る- 発熱
- 全身のだるさ
- 食欲不振
- 体重減少 など
- 血管が炎症によって狭くなることで起こる症状
- その他に、炎症でダメージを受けた血管が伸びて拡がる場合もある
高安動脈炎(大動脈炎症候群)の検査・診断
高安動脈炎(大動脈炎症候群)の治療法
ステロイド薬 トシリズマブ(商品名:アクテムラ)
- 皮下注射タイプが用いられる
- 臨床試験で高い有効性が実証されている
- ただし、薬価が高額である
ステロイド薬に以下のような免疫抑制薬を併用することもある
- メトトレキサート
- アザチオプリン
- シクロスポリン
- シクロホスファミド
慢性化した場合に行う治療
抗血小板薬 や抗凝固薬 の使用- 手術:以下の特定の血管
病変 に起因する明らかな症状 があり、内科的治療が困難な場合に適用- 頚動脈狭窄による脳
虚血 症状 - 腎動脈や
大動脈 の狭窄による高血圧 - 大動脈弁閉鎖不全
- 大動脈瘤
- 頚動脈狭窄による脳
高安動脈炎(大動脈炎症候群)に関連する治療薬
トシリズマブ(IL-6阻害薬:関節リウマチなどの治療薬)
- 炎症をおこす要因となるIL-6の働きを抑えることで関節の腫れや痛みなどを改善し、骨などの損傷を防ぐ薬
- 関節リウマチでは免疫の異常により炎症反応がおき関節の腫れなどがあらわれ、その状態が続くと骨が壊され変形する
- 炎症をおこす要因となるインターロイキン6(IL-6)という物質があり、IL-6受容体に結合してその作用をあらわす
- 本剤はIL-6受容体を阻害しIL-6に由来する過剰な炎症反応などを抑える作用をあらわす
- 本剤(トシリズマブ)は関節リウマチや若年性特発性関節炎のほか、キャッスルマン病、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎などの治療に使われる場合もある(剤形によって使われる疾患が異なる場合もある)
高安動脈炎(大動脈炎症候群)のタグ
高安動脈炎(大動脈炎症候群)に関わるからだの部位





