はしょうふう
破傷風
破傷風菌が傷口から体内に侵入して、けいれんや呼吸障害などを引き起こす病気
8人の医師がチェック 118回の改訂 最終更新: 2019.02.12

破傷風の症状について:口が開かない、身体が痙攣するなど

破傷風になると破傷風菌のつくる毒素が全身を冒すためさまざまな症状がみられます。この毒素は神経に影響を与えるため、開口障害やけいれん(強直性痙攣)なども起こることが破傷風に特徴的です。

開口障害

破傷風菌による感染が起こると、3-21日程度の潜伏期間を経て開口障害がみられるようになります。時間の経過とともにだんだんと口が開かない程度が強くなり、さらに開口障害が進むと歯が噛み合った状態で動かなくなるため、歯ぎしりするような形になります。

治療が功を奏すれば、全身の症状(強直性痙攣や項部硬直など)が改善していくとともに開口障害も改善しますが、現在の医療をもってしても患者全体のおよそ20-50%が改善することなく亡くなります。

開口障害がみられる病気は、破傷風以外にも顎関節症腫瘍、耳下腺炎などが考えられます。しかし、開口障害が数日以内に急速に進行する場合には破傷風が疑わしくなるので、当てはまる人は必ず医療機関を受診してください。

食事摂取困難

開口障害が進むと食べ物を摂るのが難しくなります。食べ物は口に入りにくくなり、飲み込みもやりづらくなります。

口から栄養が取れない状況をそのままにしておくと命に関わります。必ず医療機関を受診して、点滴などの適切な治療を受けるようにしてください。

顔面筋の硬直

開口障害がみられてからしばらくすると、顔面の筋肉が固くなってきます。そのため表情が固くなり、おでこにシワができ、口が横に広がるようになります。この様子はあたかも苦笑しているかのように見えるため、痙笑(引きつり笑い)といいます。

これらの顔面筋の硬直は破傷風に特徴的で、破傷風顔貌と呼ばれることがあります。

項部硬直

破傷風では首の筋肉が固くなることがあります。首の筋肉が固くなると、首が回らなくなったり下を向くことが難しくなったります。この状態を医学的には項部硬直といいます。

項部硬直は破傷風以外でも起こります。髄膜炎くも膜下出血で起こることが有名で、これらはいずれも急を要する病気です。明らかに首が固くなった人は医療機関を受診して原因を調べてもらうようにしてください。

強直性痙攣(けいれん)

破傷風の症状が進行すると、顔や首の筋肉だけではなく背中の筋肉や手足の筋肉も固くなってきます。全身の筋肉に力が入った状態のまま固くなってしまうことがあり、この状態を強直性痙攣といいます。

この痙攣が出るとき、ほとんどの患者は意識が失われていないため、非常に強い痛みを感じるといわれています。また、全身の痙攣が起こると、空気の通り道(気道)が狭くなったり、横隔膜がうまく動かなくなったりして、呼吸ができなくなることもあります。

破傷風の症状は時期によって変わっていく?

破傷風の症状は時間とともに変化していきます。これは破傷風の神経毒が時間とともに身体に影響を与える範囲が広がっていくことに由来します。

破傷風の症状は時系列から4つの時期に分けられることが多いです。それぞれの時期の特徴を表にして説明します。

【破傷風の時期と特徴】

破傷風の時期

症状の特徴

1期

発熱や頭痛が出現してから、段々と口が開きにくくなる

2期

口がさらに開きにくくなり、特徴的な顔つき(表情が固くなり、口が横に開いて歯が見える)になる

3期

全身が長時間固くなる痙攣がみられる

4期

症状が回復していく

1, 2期は口や顔の症状がメインですが、3期になると全身に症状が広がります。症状が口(1期)から全身(3期)に広がる時間が速い場合には、良くない状況であることが示唆されます。具体的には、1期から3期に移行する期間が48時間以内の場合には死亡率が高いことがわかっています。

また、破傷風に対してできるだけ早期に治療を行うほうが救命率が高いです。そのため、破傷風の症状がどういった形で現れるのかを知っておくことはとても大切です。破傷風が疑わしい症状がみられた人は医療機関を受診するようにしてください。

【参考】

・Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases 8th edition

国立感染症研究所サイト