はしょうふう
破傷風
破傷風菌が傷口から体内に侵入して、けいれんや呼吸障害などを引き起こす病気
8人の医師がチェック 118回の改訂 最終更新: 2019.02.12

破傷風の検査、診断について

破傷風は命にかかわる重い病気ですので、できるだけ早く治療する必要があります。そのためには迅速かつ正確な診断が望まれます。破傷風が疑われた人はどんな検査を受けることになるのでしょうか。

問診

問診とは身体の状態や生活環境について医療者が患者に尋ねる診察です。困っている症状はもちろん、今飲んでいる薬についてや周囲の人の状況などのさまざまなことが聞かれます。

破傷風が疑わしい人にまず行うのが問診です。破傷風はできるだけ早く治療することで救命率が上がる病気です。そのため迅速な診断とそれに基づいた治療を行う必要があります。診察の前に素早く行うことができる問診は、破傷風の診断に欠かすことはできません。

破傷風が疑われる人が受診した場合には問診を受けることになります。特に以下のことについて聞かれることが多いです。

  • 皮膚に傷はあるか
  • どこで受傷したか
  • 破傷風のワクチン(三種混合ワクチン、四種混合ワクチンなど)を打っているか?
  • どういう症状が出ているのか
  • いつから症状が出ているのか
  • 症状は進行しているのか
  • 持病はあるのか
  • なにか薬を飲んでいるか

これらの質問はどれもがとても重要です。なかでも「口が開かない症状」や「顔がひきつって口が開いたままになる症状」がある人は破傷風が強く疑われるため、思いたるふしがある人は必ず伝えるようにしてください。

全身診察

全身診察は頭から足までくまなく診察することを指します。お医者さんは目で見て状況を確認し、触ったり押したりします。

破傷風が疑われる場合に特に確認されるのは次のことです。

  • 受傷部位はあるか
  • 開口障害はあるか
  • 顔面筋の硬直はあるか
  • 項部硬直(首が固くなる)はあるか
  • 強直性痙攣(全身がこわばるようなけいれん)はあるか
  • 神経伝達の異常はあるか

これらの症状があるかどうかついて特に注意して観察されます。また、破傷風の原因菌は皮膚の傷から体内に侵入してくることが多いので、皮膚に傷口があるかどうかを確認することも大切です。

細菌学的検査

細菌感染が疑われた時には、細菌培養検査を行って菌の種類を確認することで診断が確定します。破傷風は破傷風菌という細菌が原因となる感染症ですので、細菌培養検査を行うべきなのですが、実はあまり有効ではありません。

破傷風菌の栄養型は空気に触れると増殖できません。このような菌を嫌気性菌と呼びます。そのため土壌中では容易に死なない形(芽胞)に姿を変えて存在します。感染部位では破傷風菌は芽胞から栄養型に姿を変えているため、これを培養検査で増やして調べようとしてもなかなか増やすことができません。特殊な培養方法を用いれば破傷風菌を培養することはできますが、行うことのできる施設は限られているため、一般的な診断方法として用いることはあまり現実的ではありません。

破傷風はどうやって診断されるのか?

破傷風の診断には細菌学的検査があまり有効ではありません。筋電図検査が有効なこともありますが、明らかな傷口もなく原因がどうしてもわからないときに参考になる程度と考えれれています。

破傷風が疑われた人にとって最も重要なのは問診と身体診察です。つまり、いつからどういった症状が出ているのかが、診断の最も大きな手がかりになります。

破傷風は多くの人が経験する病気ではありませんが、かかると高確率(20-50%程度)で亡くなる病気です。また、できるだけ早期から治療をすることがポイントです。「口が開かなくなる」「顔の表情が動かなくなる」などの症状がある人は、かならず医療者に伝えてください。

【参考】

・Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases 8th edition

国立感染症研究所サイト