[医師監修・作成]過活動膀胱とはどんな病気なのか | MEDLEY(メドレー)
かかつどうぼうこう
過活動膀胱
膀胱を制御する神経の異常によって、尿意が予期せず突然起こってしまうことを繰り返す状態
10人の医師がチェック 96回の改訂 最終更新: 2022.05.31

過活動膀胱とはどんな病気なのか

膀胱は尿を一時的に溜めておく臓器で、尿が一定量を超えると膀胱が縮んで排尿が行われます。この膀胱の働きに異常を起こす病気の1つが過活動膀胱です。ここでは過活動膀胱の概要として症状・原因・検査・治療について説明します。

1. 過活動膀胱とは?

過活動膀胱(英語名:overactive bladder)とは膀胱が活動し過ぎる病気のことです。過活動膀胱を理解をするために必要な、膀胱の働きと排尿のメカニズムについて最初に説明します。

膀胱の働きと排尿のメカニズム

膀胱は下腹部にある袋状の臓器で、尿を溜めておく役割があります。尿が一定量溜まると、広がっていた膀胱は縮んで尿を排出します。膀胱は主に筋肉で構成されており、筋肉を緩めたり収縮させることで広がったり縮んだりすることができます。普段は尿を溜めるために膀胱の筋肉は緩んでいます。一方で、膀胱の出口ある尿道括約筋は、普段は尿が漏れ出ないように縮んでいます。膀胱には尿がある程度の量になると、膀胱の壁にある神経が脳に「膀胱に尿が溜まった」という信号を送り、これが尿意になります。尿意を感じ排尿の準備が整うと、膀胱は縮み反対に尿道括約筋は緩んで、排尿が行われます。

過活動膀胱になると何が起こるのか

過活動膀胱になると上で説明した、一連の排尿のメカニズムにみだれが生じます。具体的に言うと、膀胱にまだ尿が溜まりきっていないのに尿意を感じたり、膀胱が縮もうとしたりします。排尿のメカニズムのみだれは、次の項目で説明するような症状として現れます。

2. 過活動膀胱の症状について

過活動膀胱の主な症状は次のものです。

  • 尿意切迫感
  • 頻尿
  • 尿失禁
  • 残尿感

過活動膀胱の症状では尿意切迫感が特徴的です。

尿意切迫感とは前ぶれなく我慢できないほどの強い尿意が起こることで、、水の流れる音を聞いたり、水に触れるたりすることで起こることもあります。その他の症状では頻尿(日中の排尿回数が8回以上)や残尿感、尿失禁(尿もれ)などがよくみられます。

詳しくは「過活動膀胱の症状」を参考にしてください。

3. 過活動膀胱の原因について

過活動膀胱が起こる原因については詳しくはわかっていませんが、膀胱に尿が溜まるのを脳が過敏に感じることが1つの原因だと考えられています。事実として、脳血管障害(脳梗塞脳出血)やパーキンソン病脊髄損傷多発性硬化症といった脳や脊髄の病気にかかった人は過活動膀胱が起こりやすいです。その一方で、脳や神経の病気がない人にも過活動膀胱は見られます。加齢や前立腺肥大症、骨盤底筋(骨盤を支える筋肉)の衰えも過活動膀胱の発病に関連していると考えられています。

4. 過活動膀胱の検査について

過活動膀胱が疑われる人には次の診察や検査が行われます。

  • 問診
  • 身体診察
  • 尿検査
  • 超音波検査

上記の診察や検査によって、尿意切迫感や頻尿といった症状が過活動膀胱によるものかどうかが調べられます。また、過活動膀胱の症状は他の病気でもみられることがあるので、過活動膀胱以外の病気がないかも調べられます。

詳しくは「過活動膀胱の検査」を参考にしてください。

5. 過活動膀胱の治療について

過活動膀胱の治療は薬物治療が中心ですが、運動療法や生活習慣の見直しといった薬を使わない治療法(非薬物療法)にも効果が期待できます。

薬物療法

過活動膀胱の主な治療薬は「抗コリン薬」と「ベータ3アドレナリン作動薬」の2つです。抗コリン薬は膀胱の収縮を促す神経の作用を抑えることで効果を発揮します。一方、ベータ3アドレナリン作動薬は膀胱の筋肉を緩めることで膀胱の過剰な収縮を抑えます。症状や副作用を鑑みて、どちらかの薬もしくは両方の薬が使われます。

非薬物療法

薬を使わない治療にも過活動膀胱の症状をよくする効果が期待できます。その中には膀胱訓練や骨盤底訓練が含まれますが、どのようなことなのかイメージが湧きにくいので個別に説明します。

■膀胱訓練:排尿を我慢して膀胱に尿が溜められるようにする

膀胱訓練は尿意を感じても可能な範囲で我慢することによって、排尿間隔を伸ばしていく方法です。頻尿が続くと、膀胱が広がる機会が減って、次第に膀胱が広がりにくくなります。この膀胱が広がりにくくなる状態を萎縮膀胱といい、過活動膀胱による頻尿症状を強めることになります。膀胱訓練では膀胱が萎縮するのを予防したり、萎縮した膀胱を再び広がるようにします。膀胱がだんだん広がってくると、尿が溜まりやすくなり、排尿間隔が長くなります。

■骨盤底筋訓練:骨盤底の筋肉を鍛える

膀胱が収まっている場所は骨盤底と呼ばれ、筋肉で構成されています。骨盤底の筋肉を鍛えると、過活動膀胱に対する効果が期待できます。しかし、骨盤底筋を鍛えるといってもイメージが難しいものです。どのように鍛えるかはわからない人は理学療法士や作業療法士に相談したうえでトレーニングすると効果的です。興味がある人はかかりつけのお医者さんから紹介してもらってください。

6. 過活動膀胱の人が日常生活で気をつけたいこと

過活動膀胱の症状は生活習慣によって悪化していることがあります。悪化の要因となる生活習慣の見直しの具体例として、次のものをチェックしてみてください。

  • 水分摂取が多すぎないか
  • カフェインを過剰に摂取していないか
  • 肥満になっていないか
  • 便秘がちではないか

上のリストの内容はいずれも過活動膀胱の症状悪化に関係しています。過活動膀胱は薬物療法にも効果は期待できますが、生活習慣を見直すことでより症状をよくする可能性があります。薬での治療とともに、自分でできることにも取り組んでみてください。詳しくは「過活動膀胱の治療」や「過活動膀胱の人の疑問や治療中の悩みについて」も参考にしてください。

【参考文献】

・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014
・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011
・UpToDate Lower urinary tract symptoms in men Authors:Kevin T McVary, MD, FACS Rajiv Saini, MD
・UpToDate Treatment of urgency incontinence/overactive bladder in women Author : Emily S Lukacz, MD, MAS