夜間のトイレ(夜間頻尿)には意外と多くの人が悩んでいる? 医療機関で相談したほうがよい? | MEDLEYニュース
2022.03.22 | コラム

夜間のトイレ(夜間頻尿)には意外と多くの人が悩んでいる? 医療機関で相談したほうがよい?

夜間頻尿で受診する目安が分かります
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夜中にふと目覚めたらものすごくトイレに行きたい。でも眠いからベッドから出たくない。そんな経験はありませんか。毎日こんな状態ではストレスがどんどん増してきます。

「夜中にトイレに何度も起きてしまうんです」

「トイレに起きたあと、なかなか寝付けません」

 

上記は泌尿器科外来でよく聞く悩みです。医学的には「夜間頻尿」と表現します。なんともないような症状に思えるかもしれませんが、生活の質を下げる原因になるので、侮ることはできません。

 

就寝後に一度でもトイレに行くと夜間頻尿に当てはまる

「夜間頻尿」は医学用語の中でもやや混乱を招く言葉の一つです。ですので、噛み砕いて説明します。 まず、「夜間頻尿」という症状は就寝してから起床までの間に排尿があることを指します。夜の排尿全般を指すわけではありません。次に、トイレに行く回数についてです。「頻」という文字にはしきりに・たびたび・しばしばなどの意味があるので、頻尿というからにはしきりにトイレに行くイメージを持つかと思います。たしかに、単なる「頻尿」だと、トイレに何度も行くことを指すのですが、夜間頻尿では少し意味合いが変わります。

 

夜間に排尿のために 1 回以上起きなければならないという愁訴である」(夜間頻尿診療ガイドライン2020より)

 

1回でも当てはまることに、意外だと感じた人が多いかもしれません。夜間頻尿の文字だけをみると、排尿が何回もあることを連想させますが、医学的にはそうではないのです。 ここまで読んで、「夜中に1回ならトイレに起きることがあるけど、私は病気なの?」と不安に思った人がいるかもしれません。しかし、過度に心配しなくても大丈夫です。就寝から起床までの間のトイレは、多くの人が経験するものです。筆者も排尿のために目が醒めることはよくありますし、アルコールをたくさん飲んだ日には1回どころか数回はトイレにいきます。

ここでは、夜間頻尿の定義に当てはまるからといって必ずしも病気と診断される訳ではないですし、ほとんどの人は慌てなくて良いということを伝えたいです。とはいえ、中には積極的に受診したほうがいい人もいます。医療機関で相談したほうがいい場合については最後に説明するので、このまま読み進めてください。

 

夜間頻尿に当てはまる人はどれくらいいるのか?

40歳以上の人々を対象にした日本の研究によると、「69%の人が夜間に1回の排尿をし、14%の人が3回以上の排尿をしている」ということです。また、年齢が上がるとともに、夜間頻尿で悩む人は増加すると考えられており、加齢現象の一つだとも捉えられます。

参考文献:Urology. 2006 Sep;68(3):560-4.

 

夜間頻尿は医療機関で相談したほうがいいのか?

先に述べたように、夜間の排尿は多くの人がよく経験するものなので、過度に心配する必要はありません。一方で、夜間頻尿の原因となっている病気が隠れていることがあるため、積極的に医療機関を受診したほうがいい人もいます。具体的には下記のような症状がある人です。

 

【夜間頻尿で受診を検討したほうが良い人】

  • 排尿に関して他にも気になる症状がある
  • 排尿回数や排尿量が多い
  • 夜間の排尿のせいで寝不足だと感じている

 

それぞれについて詳しく説明していきます。

 

排尿に関して他にも気になる症状がある

夜間頻尿の原因として、前立腺肥大症過活動膀胱などがあります。こうした病気は夜間頻尿以外の症状も伴うことが多いです。例えば、「排尿間隔の短かさ」、「尿の出づらさ」、「尿もれ」といった症状です。夜間頻尿に加えてこうした症状にも当てはまる場合には、医療機関で相談してみてください。

 

排尿回数や排尿量が多い

人には、寝ている間は尿をなるべく作らない仕組みがあります。具体的には、抗利尿ホルモンというものを分泌したり、血圧を低くすることで、朝まで膀胱に溜めておける程度の尿しか作らないようにしています。こうしたメカニズムに乱れが生じると、夜間に作られる尿量が増えて、夜トイレに何度も起きたり、1回あたりの尿の量が多くなったります。このメカニズムを乱す原因には抗利尿ホルモンの不足・効果の低下もありますし、高血圧症心不全といった心臓・血管の病気も考えられます。 少し難しくなりますが、夜間の尿量が増加している判断基準として次の指標があります。

 

【夜間の尿量が増加していると考えられる指標】

  • 夜間の尿量が体重(kg)あたり10mLを超える
    • 例)50kgの人であれば500mL
  • 夜間の尿量が1時間あたり90 mLを超える(男性のみ)
    • 例)睡眠時間が7時間であれば630mL
  • 夜間の尿量が1日尿量全体の20%を超える(65歳以上では35%)
    • 例)1日の尿量が2000mLであれば400mL(65歳以上は700mL)を超える
  • 夜間の排尿量を1回分の尿量(最大量)で割って求めた数値が1.5を超える
    • 例)1回の最大排尿量が400mLであれば夜間の排尿量が600mLを超える

 

*夜間の尿量(夜間尿量)・・・就寝後から起床時の排尿を含めた尿量

 

上の指標にあてはまっているかどうかを自己判断するのは難しく大変なことなので、家でする必要はありません。ざっくりとにはなりますが、「1回の排尿量が昼間と同じくらいで、排尿回数が2回以上ある場合」は、何らかの異変によって必要以上にたくさんの尿が夜間に作られている可能性があります。受診の目安にしてみてください。

 

夜間の排尿のせいで寝不足だと感じている

夜間にトイレで目が覚めて、その後眠れなくなった経験がある人は少なくありません。それがたまになら問題はありませんが、度重なると慢性的な寝不足につながり、生活の質が低下してしまいます。このように、排尿による覚醒が睡眠の妨げになる場合は睡眠障害のサポートを受けたほうが良いので、医療機関の受診をお勧めします。

 

夜間頻尿はどの診療科に相談すればよいのか?

排尿に関する悩みを専門的に診ているのは泌尿器科です。近くに泌尿器科を標榜する医療機関があれば受診してみてください。クリニックでも病院でもかまいません。泌尿器科がなければ内科でも診療は可能なので相談してみてください。必要に応じて専門医を紹介してもらえます。

 

今回のコラムでは、夜間頻尿について簡単に説明しました。相談しづらい症状だとは思いますが、意外と多くの人を悩ませているので、必要に応じて医療機関を受診したほうがいいことを理解してもらえれば幸いです。 なお、夜間頻尿の原因や治療については次回のコラムで説明したいと思います。

 

 

参考文献

日本排尿機能学会, 日本泌尿器科学会/編, 夜間頻尿診療ガイドライン(第2版),リッチヒルメディカル, 2020

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。