過活動膀胱の症状について
「排尿の回数が多い人」や「前ぶれなく強い尿意を催す人」は過活動膀胱が疑われます。ここでは過活動膀胱の症状と、過活動膀胱と似た症状が現れる病気についても説明します。
1. 過活動膀胱の症状
過活動膀胱では排尿に関連した次のような症状が現れます。
【過活動膀胱でよくみられる症状】
頻尿 - 尿意切迫感
- 尿失禁
残尿感
これらの症状はイメージが湧きやすいものもあれば、漠然としたものあるので、それぞれの症状を個別に取り上げて説明します。
頻尿
1日に8回以上の排尿があることを頻尿といいます。過活動膀胱が進行している人では、1日の排尿回数が15回を超えたり、数分間隔で尿意を感じるのは珍しくはありません。ただし、頻尿は過活動膀胱の症状の1つではありますが、頻尿があるからといって、過活動膀胱にかかっているかというと、そう単純な話ではありません。排尿回数は飲水量によって大きく影響を受けるので、飲水量を減らすだけで頻尿が良くなる人もいます。飲水量の多さが頻尿の原因となっている人は少なくないため、まず、飲水量と排尿回数を記録して、飲水量の影響の程度が調べられることが多いです。
尿意切迫感
急に我慢しがたい強い尿意が起こることは、過活動膀胱の特徴的な症状です。水に触れる、水の音を聞くといった特定の行動に関連して起こることもあります。
尿失禁
本人の意思とは無関係に尿が漏れてしまうことを尿失禁といいます。尿失禁にはいくつか種類がありますが、過活動膀胱では強い尿意のために我慢ができずに尿が漏れてしまいます。このタイプの尿失禁を切迫性尿失禁といいます。
残尿感
排尿後にも関わらず、尿がまだ膀胱の中に残っているように感じることを残尿感といいます。過活動膀胱では膀胱の収縮(縮むこと)が不十分なことが多いため、尿が出きらず膀胱の中に残ってしまうことから、残尿感が出やすくなります。
2. 過活動膀胱に似た症状が現れる病気
頻尿や尿意切迫感といった過活動膀胱の症状は他の病気でも見られます。原因によって治療が異なるので、症状がどの病気によるものかを見分けることが重要です。ここでは過活動膀胱に似た症状が現れる病気について説明します。
膀胱炎
膀胱炎は主に
詳しい説明は「膀胱炎の詳細情報ページ」を参考にしてください。
膀胱結石
尿の成分が結晶化したものが膀胱の中にできる病気です。
結石によって膀胱の壁が刺激されて残尿感や頻尿といった過活動膀胱に似た症状が現れる一方で、
詳しい説明は「尿路結石の詳細情報ページ」を参考にしてください。
膀胱がん
膀胱がんで多くみられる症状は痛みを伴わない血尿ですが、まれに頻尿を起こすことがあります。頻尿の症状が目立つ場合は過活動膀胱と見分ける必要があります。ちなみに、頻尿を起こすことが多いのは、膀胱がんの中でも膀胱上皮内
詳しい説明は「膀胱がんの詳細情報ページ」を参考にしてくてださい。
前立腺肥大症
詳しい説明は「前立腺肥大症の詳細情報ページ」を参考にしてください。
【参考文献】
・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014
・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011
・UpToDate Lower urinary tract symptoms in men Authors:Kevin T McVary, MD, FACS Rajiv Saini, MD
・UpToDate Treatment of urgency incontinence/overactive bladder in women Author: Emily S Lukacz, MD, MAS