かかつどうぼうこう
過活動膀胱
膀胱を制御する神経の異常によって、尿意が予期せず突然起こってしまうことを繰り返す状態
10人の医師がチェック 97回の改訂 最終更新: 2022.11.14

過活動膀胱の検査や診断について

尿の回数が多い人や急な尿意を感じる人には過活動膀胱が疑われます。過活動膀胱の症状は他の病気でも見られることがあるので、原因が他にないかが調べられる必要があります。そのために、診察や検査がいくつか行われます。

1. 問診

問診とは患者さんとお医者さんの対話による診察のことです。問診の主な目的は「患者さんの身体の状況・症状を把握すること」と「患者さんの背景を確認すること」です。 患者さんはお医者さんに症状を伝えてください。お医者さんからは症状の詳細や患者さんの持病、定期内服薬についての質問を受けます。 具体的には、お医者さんからは主に次のようなことを聞かれます。

  • 排尿の状況についての質問
    • 朝起きてから寝るまでに何回くらい排尿をするか
    • 夜寝てから朝起きるまでに何回くらい排尿をするか
    • 急に尿がしたくなり我慢が難しいことがあったか
    • 急に尿がしたくなり我慢ができず尿を漏らすことがあったか
  • 患者さんの背景についての質問
    • 過去にかかったことがある病気には何があるか
    • 現在治療中の病気はあるか
    • 定期的に飲んでいる薬はあるか

排尿回数は急に聞かれてもわからないことが多いと思います。大まかでも問題はないので、分かる範囲で答えてください。近々、受診を考えている人は、数日ほど排尿の状況について記録をしておくと、よりはっきりと症状を伝えることができます。 頻尿や尿意切迫感、残尿感といった症状は過活動膀胱以外の原因でも起こります。それは膀胱や前立腺の病気であったり、薬の副作用であったりします(詳しくは「このページ」を参考)。お医者さんは患者さんの背景についての質問で、症状が他の原因によるものかどうかの可能性を探ります。

2. 身体診察

お医者さんが直接患者さんの身体の状態をくまなく調べることを身体診察といいます。具体的には、患者さんの身体を観察したり、聴診器で身体の中の音を聞いたり、身体に触れたりして診察します。問診から得た情報を元にして、問題が起きていそうな場所は念入りに調べられます。身体診察の結果を踏まえて、その後に必要な検査が選ばれます。

3. 尿検査

尿検査では尿に含まれる成分を調べることができます。調べる具体的な項目は、糖やタンパク、白血球などです。過活動膀胱では尿検査に異常が現れることは少ないので診断の決め手にはなりません。尿検査の主な目的は他の病気が隠れていないかどうかを探すことです。例えば、頻尿や残尿感が出る膀胱炎では、尿検査で白血球が見られることが多いですし、頻尿を起こすことがある糖尿病では尿に糖が現れます。 尿検査についての詳しい説明は「膀胱炎になったらどんな検査をする?」で説明しているので参考にしてください。

4. 超音波検査(エコー検査)

エコー検査では超音波の反射を利用して、身体の中の様子を画像化します。過活動膀胱と同じような症状が出る膀胱や前立腺の病気を調べるのに向いています。実際に検査を行う際には、観察をする場所に超音波が出る機械(プローブ)を当てて、中の様子を調べます。超音波検査では主に排尿後の残尿の量などが調べられます。

【参考文献】

・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014
・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011
・UpToDate Lower urinary tract symptoms in men Authors:Kevin T McVary, MD, FACS Rajiv Saini, MD
・UpToDate Treatment of urgency incontinence/overactive bladder in women Author: Emily S Lukacz, MD, MAS