しぇーぐれんしょうこうぐん
シェーグレン症候群
涙や唾液の分泌量が減って、ドライアイやドライマウスなどの症状が出る病気。自己免疫性疾患の一種
12人の医師がチェック 128回の改訂 最終更新: 2022.04.20

シェーグレン症候群の基礎知識

POINT シェーグレン症候群とは

涙や唾液の分泌量が減って、ドライアイやドライマウスの症状が出る病気です。自身の免疫のしくみが、涙や唾液などを出す部位を誤って攻撃してしまうことで起こると考えられています。診断のため、涙や唾液が分泌できているかを調べる検査、血液検査、生検(口の粘膜の一部を採取して顕微鏡で調べる)を行います。治療としてはドライアイに対して点眼薬、ドライマウスに対して人工唾液や唾液分泌を促す飲み薬を使用します。気になる方はリウマチ内科、膠原病内科を受診してください。

シェーグレン症候群について

  • 涙や唾液の分泌量が減って、ドライアイドライマウスの症状が出る病気
    • 本来なら細菌ウイルスから体を守る免疫のしくみが、誤って涙や唾液などを出す部位を攻撃してしまうことで起こると考えられている(自己免疫性疾患)
  • 他の自己免疫性疾患(関節リウマチSLEなど)に合併して起こりやすい
  • 男女比は1:14で、圧倒的に女性に多く発症する
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シェーグレン症候群の症状

  • 主な症状は以下の2つ
    • ドライアイ
      • 目がごろごろする(違和感)
      • 涙が出にくい
    • ドライマウス
      • 口が乾く
      • 唾液が出にくい
      • 乾いた食べ物を飲み込みにくい、
      • 虫歯が増える
  • これらの症状に加えて、発熱・だるさ・関節痛・リンパ節が腫れるなどの症状が出ることもある
  • 一部の方では腎臓や肺にも障害が及ぶことがある
  • 腫れたリンパ節が悪性化(悪性リンパ腫)することがあり、リンパ節が腫れたまま治まらない場合は注意が必要である
症状の詳細

シェーグレン症候群の検査・診断

  • 血液検査
    • 免疫異常の原因となる抗体の有無を確認する
    • 抗SS-A抗体、抗SS-B抗体が陽性となることがある
  • 唾液検査
    • 10分間ガムを噛んで分泌された唾液の量を調べる
  • 唾液腺造影検査
    • 唾液をつくる唾液腺という部位が破壊されていないか調べる
  • 涙の検査
    • 涙の分泌量が低下していないか調べる
  • 生検
    • 口の中の粘膜の一部を採取して顕微鏡で調べる
    • 白血球の数を調べる
  • ドライアイの検査
    • まぶたにろ紙を挟んでどれだけ湿ったかを量り、涙がどれくらい分泌されるかを調べる
  • ドライアイにより目の表面の角膜が傷ついていないか、眼科で調べる
検査・診断の詳細

シェーグレン症候群の治療法

  • 根本的な治療法はないため、症状をやわらげる対症療法が中心となる
  • ドライアイには涙を補充するための目薬を使ったり、涙がたまりやすくするように涙点プラグで涙の排出口に蓋をする治療が行われる
    • 人工涙液
    • ヒアルロン酸:目の表面を保護し乾燥を防ぐ
    • ジクアホソル:涙の分泌を促す目薬
  • ドライマウスには唾液を補充するために人工唾液のスプレーを使ったり、唾液の分泌を促す飲み薬を内服したりする
    • 人工唾液:足りない唾液を補充する
    • セビメリン:唾液の分泌を促す
治療法の詳細

シェーグレン症候群の経過と病院探しのポイント

シェーグレン症候群が心配な方

シェーグレン症候群では、ドライアイドライマウス(唾液が減って口が乾燥する)、関節痛といった症状が典型的です。

ご自身がシェーグレン症候群でないかと心配になったとき、最初に受診するのは膠原病科かリウマチ科の医療機関が適しています。専門の医師はリウマチ専門医ですが、リウマチ専門医には内科系の医師と整形外科系の医師がいるため区別が必要です(両者を認定しているのは同じ学会です)。その医師が内科に所属しているのか、整形外科に所属しているのかが分かれば判断がつくかと思いますが、シェーグレン症候群を診療するのは内科系のリウマチ専門医です。

シェーグレン症候群は問診・診察・血液検査・唾液量の検査・涙の量の検査・唾液腺生検などから診断します。唾液腺生検とは、唇の一部を採取して顕微鏡で観察する検査です。一つの検査の結果だけで診断ができる病気ではありませんので、内科のクリニックを受診してその日のうちに診断がつくというわけではありません。

特殊な医療機関としては、リウマチセンターを開設している病院もあります。これらの医療機関では、シェーグレン症候群を専門とする医師やその他スタッフが多く、重症度が高かったり、他の病気と似ていて診断の確定に難渋しているような方に適しています。なお、俗に「リウマチ」とだけ言うと医学的には関節リウマチを指すことが多いですが、「リウマチ系疾患」、「リウマチセンター」というような場合については、関節リウマチに限らず、その他の関節や全身の痛みを伴う疾患(膠原病疾患と重なります)をまとめて指します。シェーグレン症候群もこの中に含まれる疾患の一つです。

もしかかりつけの内科医師がすでにいるようであれば、いずれの場合でもそこから診療情報提供書(紹介状)をもらったうえで、より専門的な病院を受診することをお勧めします。シェーグレン症候群を診断する上で普段の様子やその他の病気の有無、検査結果はとても参考になりますし、診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうためです。

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シェーグレン症候群でお困りの方

シェーグレン症候群は自己免疫疾患といって、免疫細胞(白血球)が不適切に活動してしまうことが原因の病気です。効果的な治療は現時点で残念ながら見つかっておらず、ドライアイドライマウスへの対症療法が治療の中心となっています。

多くの方にとって、治療のために必ず入院しなければならないというような病気ではありませんが、完治が簡単に望める病気でもないため(症状が改善したり、薬の内服が必要なくなったりすることはあります)、継続的に通院を続ける必要があります。

膠原病は専門性の高い分野ですので、膠原病科(あるいはリウマチ科)の医師の中でも、専門とする分野が分かれていることが多いです。シェーグレン症候群のような自己抗体関連疾患(関節リウマチ全身性エリテマトーデスなど)を中心で診ている人もいれば、脊椎関節炎(強直性脊椎炎など)や血管炎顕微鏡的多発血管炎など)などを専門に見ている人もいます。小さな病院では膠原病が専門の医師がそもそもおらず、診療が難しい場合もあるでしょう。膠原病科のある総合病院であれば、それぞれの分野の専門家がいるでしょうから、適切な医師が担当となったり、院内で連携相談しながら治療に当たってくれることが多いです。他の科の病気と比べると、適切に診療できる経験をもった医師が少ないのが膠原病でもありますが、長く付き合っていく病気であるため、信頼できる主治医を見つけることが大切です。

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