きゅうせいたんのうえん
急性胆のう炎
胆のう内で細菌が感染を起こしたり周囲の炎症が胆のうに達したりすることなどによって、痛みや吐き気などの症状が起きる病気
13人の医師がチェック 135回の改訂 最終更新: 2019.10.18

急性胆のう炎の原因にはどのようなものがあるか

急性胆のう炎の原因の大部分は胆のう結石(いわゆる胆石)です。胆石が胆のう管にはさまって胆汁の流れを妨げることが引き金となって胆のう炎が起こります。ここでは急性胆のう炎が起こる原因をメカニズムごとに解説します。

1. 胆のう管を塞ぐもの

ほとんどの急性胆のう炎は、胆のう結石が胆のう管に詰まって引き起こされます。まれに胆のう腫瘍が詰まりの原因になることもあります。

胆のう管が塞がると胆のう内の胆汁が流れ出ることができなくなり、胆のうの内部に胆汁が溜まります。これを胆汁うっ滞と呼びます。胆汁うっ滞の状態が続くと胆のう内の胆汁に大腸菌などの細菌が感染し、強い炎症が起こって、急性胆のう炎の状態となります。

胆のう結石

胆のう結石(いわゆる「胆石」)は胆のうの中にできる石のことです。日本ではおよそ20人に1人が胆石を持っていると言われています。比較的多くの人が胆石を持っていますがその中で胆石による症状を起こす人は年間2-4%程度とされており、ほとんどの人は無症状のまま過ごしています。

胆のう結石が胆のう管にひっかかると、胆汁の流れが滞って急性胆のう炎が引き起こされます。胆のう結石は急性胆のう炎の原因の約90%を占めると言われています。

なお、胆のう結石により胆汁うっ滞が起こり胆のうが膨らんで痛みが出た状態は「胆石発作」と呼ばれ、胆のう炎になる一歩手前の状態と考えられます。

胆のう腫瘍

胆のうにできる腫瘍には胆のうがんや胆のう管がんがあります。いずれも比較的まれなタイプのがんですが、あまり症状が出ないため早期発見しづらいがんと言われています。

胆のう腫瘍が胆のう管を塞い場合にも、胆のう結石の場合と同じメカニズムで急性胆のう炎が起こります。

急性胆のう炎が起きている人で画像検査をしても結石が見つからなかった場合(無石胆嚢炎)には、原因として胆のう腫瘍がかくれていないかを注意深く調べます。

2. 胆のうの血流が悪くなるもの

胆のうに十分な血液が行き渡らなくなって胆のう炎を起こすことがあります。胆のうに血液を送っているのは主に胆のう動脈と呼ばれる血管です。この血管に動脈硬化が起きたり、血管がねじれたりして血流が滞ることが胆のう炎の原因になります。

動脈硬化

動脈硬化で胆のう動脈の血流が悪くなると、それがきっかけとなって胆のうに炎症が起こります。動脈硬化が起こりやすいのは、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などの生活習慣病になっている人です。特に、脳や心臓の血管、足の血管などに動脈硬化が見つかった人では他の血管にも動脈硬化が起きている可能性が高く、動脈硬化が胆のう炎の原因となることがあります。

胆のう捻転

胆のうと総胆管は細い胆のう管によって結ばれていますが、それぞれの形や位置関係は人によってまちまちです。通常、胆のうは肝臓の下の面にくっついた状態で固定されていますが、なかには胆のうと肝臓が固定されていない人がいます。これを「遊走胆のう」と呼び、胆のうが振り子のように自由に動いて、胆のう管の部分でねじれてしまう(捻転;ねんてん)場合があります。ねじれは自然に治ることもありますが、強いねじれで元に戻らなくなってしまった場合には胆のう動脈の血流が悪くなって胆のう炎を引き起こします。

3. 胆のうの機能低下を引き起こすもの

胆のうの本来の機能は、肝臓で作られた胆汁を貯蔵しておき食事のタイミングで一気に十二指腸に流し出すことです。この働きが弱くなると胆のうの内部に胆汁がたまってどろどろとした濃い状態になり、胆のう炎を引き起こす原因となります。

寝たきり状態・長期絶食

寝たきり状態で口からあまり食事を摂らない人や長期間絶食状態となっている人では食事の刺激がないため胆のうが胆汁を送り出す動きが少なくなって、胆のうの働きが低下してしまいます。胆のう内の胆汁は溜まったままの状態となり、どろどろとした濃い胆汁になっていきます。これにより胆汁うっ滞が起こり、胆のう炎が引き起こされると考えられています。

重症外傷・重症熱傷・大手術後

外傷とは怪我のこと、熱傷とはやけどのことです。重症の外傷や熱傷になった場合、また大手術を受けたあとには身体に大きなストレスがかかり、一時的に脱水状態になります。また、ベッド上で横になったままの状態で数日から数週間を過ごすことになって、しばらく食事をとれないことも多いです。脱水、寝たきり、絶食状態が組み合わさると胆汁うっ滞になりやすくなって、胆のう炎の原因となります。

4. その他の原因、危険因子について

胆のう結石ができやすい人の特徴として中高年女性、肥満、白人、多産婦などが知られています。これらのうち、肥満者では急性胆のう炎の発生率が高いというデータがありますので「肥満」と言われている人は注意が必要です(ただし、このデータの元になった研究では、BMIが男性38以上、女性34以上というとても高度な肥満の人を調べているので、日本人には必ずしも当てはまらないかもしれません)。

脂っこい食べ物を食べることが急性胆のう炎の引き金となることがあります。胆のう結石があると言われている人やこれまでに胆石発作を起こしたことがある人は、脂っこい食品を避けるようにすることで胆のう炎の予防になるかもしれません。

その他に、アルコール摂取やストレスは急性胆のう炎の原因にはならないと言われています。