きゅうせいたんのうえん
急性胆のう炎
胆のう内で細菌が感染を起こしたり周囲の炎症が胆のうに達したりすることなどによって、痛みや吐き気などの症状が起きる病気
13人の医師がチェック 135回の改訂 最終更新: 2019.10.18

急性胆のう炎の治療の後、日常生活で気をつけることは?

急性胆のう炎では抗菌薬ドレナージ、手術などによる治療が行われます。多くの人は根本的な治療法である外科手術を受けますが、一部の人では手術を行わずに経過観察をする場合があります。急性胆のう炎が治った後にどのようなことに気をつけて生活すればよいかを解説します。

1. 胆のうを手術でとった後に注意すること

手術で胆のうを摘出した人では、急性胆のう炎の治療はほとんど終了したと言えます。手術の後に気をつけることについて説明します。

手術後の偶発症(合併症)には何があるか?

退院した後も手術でできた傷の痛みはしばらく続きます。とはいえそれほど強い痛みではなく、術後3ヶ月程度で痛みは良くなることが多いようです。ただし、手術の傷が強く痛んだり赤く腫れたりしてくる場合には、傷口に細菌が感染して起こる「創感染」という偶発症合併症)が疑われます。このような症状が出た場合には手術を受けた病院に相談してください。胆のう摘出手術による偶発症に関してはこちらでも詳しく説明しています。

胆のうがなくなったら消化吸収に影響はあるか?

胆のうを切除すると食べ物の消化吸収に影響が出るのではないかと心配になるかもしれません。しかし、胆のうがなくなっても肝臓で作られる胆汁の量は変化しないので、消化吸収には影響がありません。手術の影響で一時的に下痢や軟便が増える人もいますが、ほとんどの人は術後3ヶ月程度たつと元に戻ると言われています。

胆のう摘出術後に食事制限はあるのか?

手術の後も特別な食事制限は必要ありません。健康のためには栄養バランスのとれた食事をとるのが望ましいです。節度ある量であれば飲酒を継続しても構いません。また、飲食以外の日常生活や運動についても特別な制限はありません。

2. ドレナージを行った後、外科手術を待っている間に注意すること

胆のう炎の炎症が強くてすぐに手術が受けられない人では、経皮経肝胆のうドレナージ(PTGBD)や内視鏡によるドレナージを行って胆のう炎の炎症がおさまるのを待つこと多いです。ドレナージを受けたあと一度退院し、自宅で外科手術を待機している間に注意して欲しいことについて説明します。

なお経鼻胆のうドレナージ(ENGBD)を入れたままで退院することはほとんどありませんので、ここでは経皮経肝胆のうドレナージ(PTGBD)と内視鏡的胆のうステント(EGBS)について取り上げます。

経皮経肝胆のうドレナージ(PTGBD)の自己管理はどうすれば良いか?

PTGBDを入れた人は、右の脇腹からドレナージチューブが出た状態でいったん退院することになります。チューブの違和感があったり、チューブの管理が必要になったりして日常生活に不便が生じることもありますが、安全に手術を行うための重要な治療です。以下に重要な注意点について説明します。

◎ボトルに溜まる胆汁の量をチェックする
チューブの先には胆汁を溜めるためのボトルがついています。一日一回ボトルにたまった胆汁の量を記録してください。胆汁の量は病状によって異なりますので、退院する前に自分の胆汁量がどのくらいなのかをお医者さんに確認すると良いです。胆汁の量が大幅に減ったり、胆汁が出なくなった場合にはチューブがつまっている可能性があります。すみやかに病院に連絡して対応方法を確認してください。

◎チューブが抜けないように注意する
チューブは糸で皮膚に固定してありますが、強い力で引っ張ると抜けてしまいます。チューブが抜けると胆汁がお腹の中にもれて腹膜炎が起こることがあるので、引っ張ったり、引っ掛けたりしないように注意してください。万が一チューブが抜けてしまった場合にはすぐに病院に連絡してください。

◎チューブが入っている位置よりもボトルが高く上がらないようにする
右の脇腹からチューブが入っていますが、この位置よりもボトルを高く上げてしまうと胆汁が胆のう内に逆流してしまいます。座っているときや寝ているときもボトルの高さを上げすぎないようにしてください。

◎ガーゼを交換して清潔を保つ
チューブが入っている脇腹にはガーゼが当ててあることが多いです。2-3日に1回程度はガーゼを交換してチューブが入っている場所を清潔に保ってください。

◎湯船にはつからずシャワー浴にする
チューブの入っている部分がお湯につかると、チューブの脇を通ってお腹の中にお風呂のお湯が入ってしまいます。湯船につかることはできませんので、シャワー浴を入浴の代わりとしてください。

内視鏡的胆のうステント(EGBS)を入れている間の注意点とは?

胆汁の流れを改善させるためのステントを体内に入れた人では、特に違和感が出ることなく、退院してからもこれまでと同じように日常生活を送ることができます。

ただし、ステントを入れてから時間がたつと、胆汁や食べ物が付着してステントがつまってしまいます(ステント閉塞)。ステントが閉塞すると胆汁が胆のうから流れ出ることができなくなり、胆のう炎が再発して熱や腹痛が起こります。ステントが閉塞するまでの期間は平均3ヶ月と言われています。

このようにステントを留置していても胆のう炎が再発する場合がありますので、腹痛や発熱など胆のう炎に似た症状が出た場合には病院に連絡しましょう。

3. 手術をせずに胆のう炎が治った人が注意すること

外科手術で胆のうを切除した人は、急性胆のう炎が再発する心配はありません。しかし、抗菌薬のみで急性胆のう炎がおさまって手術を行っていない人では胆のう炎が再発する可能性があります。手術を受けずに経過観察をした人を追跡したデータでは、4-5年の経過観察中に25-35%の人が胆のう炎の再発で再入院したり胆のう摘出術を行ったと報告されています。

抗菌薬だけで急性胆のう炎が良くなったとしても、その後の再発の危険性を考えて外科手術を受けることがすすめられます。

なんらかの事情で手術が受けられない人は、胆のう炎が再発する可能性があることを覚えておいて、疑わしい症状が出たら速やかに受診してください。