ようついねんざ(ぎっくりごし)
腰椎捻挫(ぎっくり腰)
急に重いものをもちあげたり、体を強くひねったりすることで、背骨のまわりの組織に障害が生じ、急激な痛みが出た状態
12人の医師がチェック 129回の改訂 最終更新: 2023.08.28

腰椎捻挫(ぎっくり腰)の基礎知識

POINT 腰椎捻挫(ぎっくり腰)とは

腰椎捻挫は背骨のまわりの組織の障害が起こって激痛をきたす病気のことです。「急に重いものを持ち上げたり」「体を強くひねったり」した際に起こることがあります。症状が現れた状況と症状から診断が行なわれますが、椎間板ヘルニアなどの可能性が否定出来ない場合はレントゲン検査やCT検査、MRI検査などが行なわれます。普段どおりに過ごすことが症状を早く良くすることにつながると考えられているので、鎮痛剤で症状を和らげて普段どおりに活動することが望ましいです。腰椎捻挫の予防としては日常生活で重いものを持ち上げないことやストレッチなどが有効だと考えられています。

腰椎捻挫(ぎっくり腰)について

  • 背骨脊椎)のまわりの組織に障害が生じ、急激な痛みが出た状態
    • 人間の脊椎はたくさんの椎骨が積みあがってできている
    • 椎骨の隙間や周りには背骨の間のクッション(椎間板)・靭帯・膜などさまざまな組織があり、椎骨を支えている
    • 急に重いものを持ち上げたり、体を強くひねったりすることで、それらの組織が障害されてしまう
  • いわゆる「ぎっくり腰」は、さまざまな組織に起きた障害を総称する用語である
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腰椎捻挫(ぎっくり腰)の症状

  • 腰痛
    • 安静にしていると痛みが軽減するが、動こうとすると痛みが強くなる
    • 足がしびれたり、痛みが広がったりはしない
  • 太ももの裏側がしびれたりする場合は、椎間板ヘルニアを起こしている可能性がある
症状の詳細

腰椎捻挫(ぎっくり腰)の検査・診断

  • 腰椎捻挫を診断できる検査はなく、検査を行わず安静にすることも多い
    • 症状から大方の診断をする
  • 必要に応じてレントゲン検査やCT検査、MRI検査などの画像検査を行い骨や筋肉などの異常がないか調べることもある
    • 腰椎捻挫を診断するためではなく、それ以外の病気の可能性を否定するために行われる検査
検査・診断の詳細

腰椎捻挫(ぎっくり腰)の治療法

  • 主な治療
    • 痛みがあるとしても全く動けないほどの強い痛みでなければ、普段と同じように生活しようとすることが大事
    • 安静にした方が良いという説もあったが、現在では安静にしていると回復を遅らせる可能性があると言われている
    • 数日から1週間くらいで痛みが落ち着いてくることが多い
    • 痛みが全く良くならない、脚がしびれるなどの症状があれば、椎間板ヘルニアなどを疑い、追加で検査をする
  • 予防方法
    • 日常生活の動作で気をつけること
      • 急に重い物を持ち上げない​ ​  ・できるだけかがまずに、背中を伸ばしたまましゃがむ状態から持ち上げる
      • 急に腰をひねらない
      • 急に前かがみにならない
      • ストレッチや準備運動なしで激しい運動を行わない
      • 無理な姿勢(中腰・しゃがみ・腰をひねった姿勢など)で作業を長時間行わない
    • 日頃の運動習慣を作る
      • 足腰回りの筋肉が弱くなっているとぎっくり腰になりやすい
      • 特に太ももの裏からふくらはぎにかけての筋肉が短くなってしまうと腰椎(背骨の腰の部分)が負担がかかってしまう
    • ストレッチを行う
      • 筋肉が固くなると腰椎に負担がかかってしまうのでぎっくり腰になりやすい
治療法の詳細

腰椎捻挫(ぎっくり腰)に関連する治療薬

アセトアミノフェン製剤

  • 脳の体温調節中枢や中枢神経などに作用して熱を下げたり、痛みを抑えたりする薬
    • 発熱は脳の体温調節中枢に情報が伝わり、体温調節中枢から発熱の指令が身体の各部に伝わることで生じる
    • アセトアミノフェンは体温調節中枢に作用し、熱を体外へ逃がす作用を増強する
    • アセトアミノフェンは発熱や痛みの情報を伝える物質を阻害する作用をあらわす
アセトアミノフェン製剤についてもっと詳しく

非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)(外用薬)

  • 炎症や痛みなどを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、関節炎や筋肉痛などを和らげる薬
    • 体内で炎症や痛みなどを引き起こす物質にプロスタグランジン(PG)がある
    • PGはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の働きなどにより生成される
    • 本剤はCOXを阻害しPG生成を抑えることで、炎症や痛みなどを抑える作用をあらわす
  • 薬剤によって貼付剤(貼り薬)、塗布剤(塗り薬)など様々な剤形(剤型)が存在する
    • 製剤によって使用回数や使用方法などが異なるため注意する
非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)(外用薬)についてもっと詳しく

腰椎捻挫(ぎっくり腰)の経過と病院探しのポイント

腰椎捻挫(ぎっくり腰)が心配な方

腰椎捻挫とは、いわゆる「ぎっくり腰」のことをさし、急性腰痛症とも呼ばれています。重いものを持ち上げたときや、無理な体勢をとったとき、くしゃみをしたときなどに、突然起こる腰痛が特徴です。 腰椎という腰の骨自体には異常がなく、その周りにある関節や筋肉の捻挫などが原因と言われています。

ご自身が腰椎捻挫でないかと心配になった時、最初に受診するのは整形外科が適しています。また、腰椎捻挫によって動けなくなった場合などは、救急車を利用して病院を受診することがあるかと思います。

どのように腰痛が起こったか(受傷機転)という情報からある程度診断が可能です。レントゲン検査で骨折がないことを確認することもありますが、外傷がない場合や、軽い腰痛のみの症状であれば、レントゲン検査は必須ではありません。そのため、総合病院でなく、クリニックであっても十分に診療が可能であり、病院の選択で大きな差がつくことは少ない病気です。

検査のポイントとしては、腰椎捻挫と同じような症状が出現するような重症疾患ではないことを確認することです。そのためには、どのような状況で痛みが生じたのか、もともと何か病気を持っているか、足に力が入らない症状やしびれはないかといった内容が重要になります。他の疾患が疑わしければ、血液検査・CT検査・MRI検査などを行うこともあります。

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腰椎捻挫(ぎっくり腰)でお困りの方

腰椎捻挫の治療中は、痛み止めを使用したう上で、無理な運動は避けることが重要です。しかし、単にベッド上で寝ていればいいというわけではなく、むしろ腰に負担をかけない程度の日常動作は行った方が良いと言われています。特に長期間の安静は、回復を逆に遅らせる可能性が指摘されています。人によっては、とてもつらい腰痛が出現したり、足の痛みを訴える場合もありますが、時間経過とともに、長くとも2週間以内に改善することが多い疾患です。腰椎捻挫であれば基本的に重症化することはありません。症状が改善すれば、通院は終了できる疾患で、クリニックでも総合病院でも、治療方針に差がつきにくい病気の一つです。また、軽症の場合は、受診せずに自然経過で症状が治まるのを待つのも一つの手段となりえます。

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